なんかロボゲーの世界に転生したんですけど………   作:⚫︎物干竿⚫︎

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6話

本格的に外に出歩くのも辛くなって来た真っ盛りなある日、俺は海の上に居た。

 

例のごとく襲撃依頼である。目標は太平洋を航行中の資本同盟軍の補給艦隊だ。

 

「旦那。本当にこの装備でコイツ海上滑れんの?」

 

『スペック上は追加ブースターを使えば行けるはずだ。実際にどうするかは自分で考えろ』

 

「はいはいやりますよ………」

 

とは言え、真面目にどうしたもんか。モニターに表示された竜胆の装備を見ながら頭をひねる。

 

今回の竜胆はいつものガトリングと重機関砲と単装砲に加えて、バトルフレーム用の水上滑走用フロートとバックパックと脚部に追加ブースターユニットと腰部ハードポイントに大容量のプロペラントタンクを4本も引っ付けた水上戦仕様になっている………のだが、この竜胆のような超重量の機体で使うことは想定していない。そりゃそうだ。

 

しかも追加ユニットのせいで輸送機の格納庫に竜胆納まらないから、ハンガーで宙吊り状態だ。

 

 

「ところで、旦那が受けてくる依頼って資本同盟を対象にしたのばっかなのはなんでなんだ?見たところ旦那は皇華帝国のシンパとかってわけでもなさげだけどさ」

 

『それを知ってどうする?お前はただバトルフレームに乗っていればいいんだ』

 

「そりゃそうだけどさ。あんま目の敵にしてやってると叩き潰しに来るじゃん?」

 

『その時はお前を盾にでもして逃げるさ』

 

知ってた。

傭兵の命は消耗品。この業界の常識である。

 

「で。目標の戦力は護衛に駆逐艦2隻と軽空母1隻だっけ?」

 

『クライアントからの情報が間違っていなければな。軽空母に関しては6機の艦載機の運用が可能だそうだ。何を積んでるかはシークレットだがな、使えん』

 

「航空戦力かぁ………絶対戦闘機だよなぁ」

 

『だろうな。わざわざヘリを軽空母で使う理由が無い』

 

バトルフレームと言う次世代の兵器が当たり前の存在となって尚、空は未だに戦闘機の独壇場である。なぜか?それは単純に戦闘機が速いからだ。亜音速で空を飛び、機関砲やミサイルと言った強力な爪でこちらを仕留める恐ろしい鋼の猛禽類、それが戦闘機だ。

 

「まあ、やるだけやるさ」

 

どちらにせよ傭兵である俺には仕事を拒否する権利など無い。やれと言われたならその通りにやる。それが傭兵なんだから、

 

 

『よし、目標補給艦隊が見えて来たな。準備はいいな?』

 

「うっす。いつでもどうぞ」

 

『最後にもう一度言うが、今回の襲撃依頼の行動時間は10分だ。補給艦の撃沈は大前提として護衛艦も沈められるだけ沈めろ。しくじるなよ?』

 

「こんな海のど真ん中でコイツと心中は俺だって嫌すわ。それに」

 

一瞬、死なないですよねと言ったミリアの顔が脳裏を過ぎった。なぜかはわからんが、見たくない顔だ。傭兵なんぞのためにあんな顔をするなんて優しすぎる。

 

『やる気があるなら十分だ。行って来い』

 

ハンガーのロックが解除され、竜胆が落ちる。それに合わせてブースターを全て点火し、上手いことフロートで着水からの滑走が出来るように調整する。

 

「後は野となれ山となれだ」

 

着水。そして、水飛沫を上げながら竜胆が疾走する。とりあえずランディングは無事成功だ。次は本番のドンパチだ。

 

 

●●●●●●●●●

 

 

警報が鳴り響くのを聞くのと同時に食べていたハンバーガーを皿に半ば放り捨てるように置きながら立ち上がって、食堂から飛び出しロッカールームに走り込み通常の制服から対衝撃性などに優れたパイロットスーツに着替える。

 

俺の名はアイザック・フローライト。

自由資本同盟軍の航空機隊のパイロットで、階級は大尉。そして、そのなんと言うか別の世界からこの世界に来た人間らしい。

 

別の世界から来たとは言っても、この世界にきちんと愛する両親や妹も居る。だが、前世の記憶かわからないが、薄暗いカーテンも閉じた部屋に閉じこもりPCの画面に向かって「俺ならもっと上手くやるわ、このヘタクソ」だとか色々なことをがなり立てたりしていた記憶がまるで自分の経験かのように染み付いているのだ。幼い頃からずっと、

 

そんな記憶の中にあるような男にはなりたくなかった。だから、色々なことを必死になってやった。勉強もスポーツも。そうして生きてきたからか、軍に入隊後もやれる事をやれるだけやり続けていたらエースなんて呼ばれるようになってしまった。

 

とは言え、俺がやる事は変わらない。

 

ロッカールームから飛び出して艦内の格納庫にある自分の機体のところへ向かう。

 

「いつでも出られますぜ!大尉」

 

俺の機付きの整備士である中年のベテラン技師がサムズアップしてくるのに答えてハンガーの階段を駆け上がって開け放たれたコックピットに乗り込み、手早く機体を起動させる。

 

MT/A-01ライトニングファルコン(MTとはマシントルーパーの略らしい)。

それがこの機体の名前だ。この世界の主流機動兵器であるバトルフレームの中でも第四世代型と呼ばれるカテゴリに含まれる機体で、戦闘機のように自由に空を飛ぶ事が出来る。自由資本同盟軍が持つジョーカーの一枚とすら言える機体だ。

 

白く塗られた装甲とバックパックから伸びる翼のようなメインブースターから白鳥とも呼ばれている。

 

未だにエースと呼ばれることには違和感を感じるし、軍で唯一の第四世代型バトルフレームなんて言うものを与えられているプレッシャーは重たい、が、俺は軍人で兵士だ。そう求められたならそう努めるだけだ。

 

 

『こちらAWACSロングホーン。艦の防空レーダーが高速で接近する熱源を感知した。恐らくは例の情報にあった傭兵だろう。また情報に合わせて送られて来たデータによると対象は皇華帝国製第二世代型バトルフレームのAT-098竜胆をカスタムした機体らしい』

 

『竜胆?あんなもん俺らファイター乗りにとっちゃカモじゃないっすか』

 

気楽そうにこの軽空母レミニオンの飛行隊の1人であるドミニク・レッカー少尉がそう言う。事実大半のバトルフレームに対してファイターは絶対的な有利を取る事が出来る。

 

『油断するなレッカー少尉。ヤツは我が軍のバトルフレーム一個大隊相当を単騎で撃破している』

 

『マジかよ………』

 

『続けるぞ。戦闘スタイルは至ってシンプルに重装甲で耐えての撃ち合いと、ヤツと直面して生き延びた陸の連中からの情報によれば追加装甲をパージして、その際にスモークを撒きその効果中に高速での接近格闘戦を行うらしい。しかも使用武装は対バトルフレーム炸裂杭だそうだ』

 

対バトルフレーム炸裂杭。既存のバトルフレームの近接格闘兵装としては破格の破壊力を誇る兵装だ。欠点として密着状態でなければ万全の威力を発揮できない事を挙げられるが、それを補って余りある威力から開発されてから未だ尚、特殊兵装として自由資本同盟軍でも採用され続けている。

 

『炸裂杭ならファイターには関係ありません。それ以外の武装は?』

 

レッカー少尉とは違う落ち着き払った冷静な声でそうロングホーン問いかけるのはカレン・レーニッツ少尉。同盟軍でも珍しい女性のファイターパイロットで、端麗な容姿からファンも多いらしい。

 

『右腕に38ミリ重機関砲と左腕に60口径対装甲目標単装砲を1門ずつ。それにバックパックの左右ハードポイントに48ミリ三連装ガトリング砲を計2門搭載しているそうだ。ちょっとした移動要塞レベルの重火力だな』

 

呆れたようにそう言い切ったロングホーンは一つため息を吐いて、

 

『まあなんでアレだ。こんなバケモノに砲火を叩き込まれたとあっては艦船ですらただでは済まない。諸君らもそれを深く理解した上で出撃して欲しい………と、もう時間もあまり無いな。各員は発艦後、迅速に迎撃に当たってくれ』

 

 

傭兵………呼び方はどうあれど、その実態は奴隷だ。

アブレヒト。傭兵の国とも呼ばれるあそこ以外にだって傭兵は居る。全ての人に自由と尊厳をと掲げるこの自由資本同盟にだって少なくない数の傭兵と彼らを所有するオーナーと言う存在がいて、軍が表立っては出来ない後ろ暗い仕事に従事しているとは聞くが、

 

「貴様は何故戦う?傭兵」

 

発進位置へと運ばれるライトニングファルコンの中でそう呟き、甲板上の滑走路に移動すると同時にその考えを捨てて、操縦桿を握りフットペダルを踏み込みブースターの出力を上げ、

 

「アイザック・フローライト。ライトニングファルコン発艦する」

 

ファイターばりの急加速と共に全長10メートルほどの鉄の巨人が空へと飛び立つ。

 

それに続いて後から艦載機のファイター達が上がって来る。

F-46ワイバーン。就役から30年以上も空の王者として君臨し続ける資本同盟軍が誇る傑作機だ。双発の推力偏向ノズルを搭載したジェットエンジンやカナード翼による高い機動力とスピードで敵を翻弄する。俺もライトニングファルコンの前までは乗っていた機体だ。

 

『俺達は賑やかしみたいなものだ。バケモノの相手は任せるよエース』

 

編隊を組む5機のF-46の先頭の隊長機のパイロットであるジョージ・ノイマン中佐からそんな通信が飛んで来た。

 

『そこは俺達に獲物取られて悔しがるなよエースくらい言いましょうや隊長』

 

『レッカー少尉はなんでそういつも自信満々なんです?僕は不思議ですよ』

 

レッカー少尉の物言いにそう自信なさげに言うのはダン・モンロー軍曹。今回の補給艦護衛が初の実戦の新人パイロットだ。初任務なのに災難なとは思うが、いずれは経験することになる修羅場だ。

 

『ったく、飯の最中だったってのに空気の読めねえ傭兵だぜ。なあ?アイザックよ』

 

編隊の内、1機だけイナズマのパーソナルマークが描かれた機体のパイロットがそう話しかけて来る。F-46時代からのバディのロナルド・オーエン中尉だ。ライトニングファルコンに乗り換えてからも俺に追従出来る数少ないパイロットの1人である。

 

「ロニー。バーガーなら帰投してからまた食い直せばいい。そんなことよりも目の前の状況の方が重要だ」

 

『お堅いことで』

 

『各員お喋りはそこまでだ。もう目標が見えるはずだ』

 

ロングホーンにそう言われ、海に目を向けると水飛沫を上げながら真っ直ぐ突っ込んで来るダークグリーンカラーの見るからに重そうなハリネズミのように砲口を構えるバトルフレームの姿が目に入った。




いわゆるライバルキャラの投入。
才能豊かなイケメンな転生者………うーんこの

キャラ紹介他はどのあたりに入れた方がいいか

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