なんかロボゲーの世界に転生したんですけど………   作:⚫︎物干竿⚫︎

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7話

掃射力の高いガトリングを撃ち、飛来するミサイルを叩き落とし全速力で竜胆をかっ飛ばす。

 

「おいおいおい。なんで、こんな小さい木っ端みたいな補給艦隊にトップエースが乗ってんだよ⁈」

 

戦闘機に混ざって空を自由に飛び回る白い巨人は言うまでもなくバトルフレームであり、自由資本同盟の虎の子の機体である第四世代型バトルフレームのライトニングファルコンだ。

 

自由資本同盟軍のトップエースパイロットのアイザック・フローライトが駆る機体でトップエースの名に恥じない戦果をこの機体と共に挙げている。旧型艦ばかりとは言え、戦艦1隻、正規空母(飛行隊6機編隊を同時に3編隊以上運用出来る空母)1隻、重巡洋艦2隻、軽巡洋艦3隻、駆逐艦6隻を単騎で一回の戦闘で沈めたらしいが、バトルフレーム単騎が一個海軍戦力相当ってどんな悪夢だ。

 

見たところ武装はバックパックから伸びるブースターユニットに接続されたミサイルランチャーと右手に持ったスナイパーライフルに左手のライフルだけだ。仕込み武装が有ったとしてもナイフか拳銃くらいのものだろう。

 

それに警戒すべきはコイツだけではない。ライトニングファルコンと共に攻撃を仕掛けてくる戦闘機。こいつらだって無視は出来ない脅威だ。何せ狙えないくらいに速い。こちらがブースター全開の最大速度なのに対して、向こうはトップスピードにすら到達していない。様々な航空機動が出来る程度のスピードしか出ていない。様々な角度からミサイルや機関砲をヒットアンドアウェイで叩き込まれるんだから、たまったもんじゃない。

 

ガトリングの弾幕を抜けてミサイルが迫り、爆発する。近接信管により目標に接近しただけで爆発してダメージを与える特殊弾だ。まあ、このミサイルの爆発そのものは問題なく装甲で耐えられる。だが、爆炎で見えない一瞬の間に叩き込まれる鉛玉のダメージがシャレにならない。装甲表面の高温化で脆くなったところに入って来るからより一層タチが悪い。

 

そして、何よりも竜胆の脚部にフロートを付けた上でブースターでかっ飛ばす事によって無理矢理この水上と言う環境での活動を可能としている現状、地上なら追加ブースターに任せてサイドステップやらバックステップやらの回避挙動を行えるが、踏ん張りも利かなけりゃある程度以上のスピードを維持し続けないと河童に引きずり込まれてガメオベラなわけで、出来る事と言えば蛇行とか旋回くらいしかない。

 

重ねて言うけども無理無茶も良いところだ。相手はハイGターンやらインメルマンターンにスプリットSやらの空戦機動を駆使して追い縋って来るのに、こっちは拙い船乗りの操る船も同然だ。しかも、なんか1機ガチの変態機動してるのが居る。なんだあの180度ターン。

 

ロックオンアラートが鳴り響く。機体が急減速するのも構わずに咄嗟に機体を直角に曲がらせる。目の前に竜胆が上げるのとは別の水飛沫が上がり、更に機体のセンサーが水没のアラートが追加で鳴り出すがなんとかスピードを上げて態勢を立て直す。

 

「バトルフレームが空飛びながらそんな高速で砂してんじゃねえ!」

 

旋回し、モニターにライトニングファルコンを捉え左の単装砲を向けて撃つ。さながら空中でサイドステップするかのように横方向に飛びながら右のスナイパーライフルと左のライフルを撃って来る。てか、普通に考えてスナイパーライフルを片手だけで使えてるのおかしいわアレ。

 

ライトニングファルコンの攻撃をどうにか躱したところで戦闘機達からの攻撃が飛んで来る。尾翼と主翼にイナズマ型のパーソナルマークが描かれた機体が特にヤバい。残りの4機が連携を意識した常識的な飛行なのに対して、連携なんて最初から考えていないような軌跡を描いて飛び、ミサイルや機関砲を撃って来る。

 

それを適当に右腕を振るいながら重機関砲を斉射する事で払い除けて補給艦隊の方に向かおうとするが、そうはさせじと突っ込んで来たライトニングファルコンがこっちの進路を塞ぐようにミサイルをを撃って来る。ノーロックで撃たれたミサイルがカーテンのように目の前に降り注ぎ、進行方向を変えざるを得なくされた。

 

舌打ちをしながら、ライフルを撃って来るライトニングファルコンと撃ち合うが、真上からのロックオンアラートに無理矢理機体を旋回させて回避しようとしたが間に合わずにミサイルや機関砲が真上から降り注ぎアラート音に加えて警報ランプが灯り、コックピット内が赤くなる。

 

サブモニターに目を向けて被弾状態を確認すると、頭部と上半身がオレンジになっていて、プロペラントタンクが1本空になっていたのでパージする。少しまずい。想定ではプロペラントタンクを1本消費する頃には補給艦隊に肉薄している予定だったのがオジャンだ。

 

さて、どうする?とてもじゃないが無視出来るような連中じゃないぞ?ついでに言えばはたき落とすのもほぼ無理と来た。無理ゲー過ぎて笑えて来るわ。ハハッ意気揚々と襲撃に来てコレとか何をしに来たんだかね俺は。

 

 

「傭兵が命を惜しむのは贅沢。躊躇うな、ね………」

 

傭兵の基本的な教えを口ずさんで、竜胆をかっ飛ばす。

ミサイルが着弾し、左のガトリングが吹き飛んだがまあいい。機体本体には直撃してないんだし、それに最悪左腕の単装砲さえ有れば補給艦くらいなら沈めれる。

 

ミサイルが着弾して右肩の追加装甲がもげたが、右腕は残ってる。なら問題ない。全速力で前に進む。艦影が見えて来たがまだ艦種までは分からないので頭部カメラの望遠機能で確認する。そこまで大きくは無いが武装してる艦だ。駆逐艦だろうか。まあいい。なんであれ沈めればいいだけの話だ。

 

目の前の艦から垂直にミサイルが撃ち出され、艦首側艦上に搭載された砲がこちらを向いて火を噴き、光弾がばら撒かれる。この前の試験機に装備されていたものとは比べ物にもならない艦砲として完成されたパルスレーザーである。竜胆の装甲を信じてその弾幕の中に突っ込み、一気に距離を詰める。瞬く間に追加装甲が鉄くずと化して行くがなんとか肉薄することに成功した。

 

「まずは一隻ィ!」

 

吠えながら発砲。艦の側面部をなぞるように駆けながら全兵装からばら撒かれる弾丸が艦をズタボロにして行く。ここでガトリングの弾が切れたのでパージしながら、今度は艦首側から艦尾側へと駆け抜けながら反対側からも鉛玉をしこたま叩き込むと爆発炎上した。それを横目に見て確認して竜胆を旋回させる。

 

モニターの向こう側には他の艦とは明らかに見た目が異なるクレーンなどが特徴的な補給艦の姿があった。そちらに向かって竜胆をかっ飛ばした瞬間、竜胆の装甲ごと胴体右側が砕けて激しい衝撃が襲いかかりコックピット内も破損し飛んで来た破片が操縦桿を握る右腕に突き刺さったり、顔を切ったりしたが目に飛んで来なかったのは不幸中の幸いってやつだな。それにまだ操縦桿も動かせる。なら、問題無い。

 

ひび割れたサブモニターを見れば、機体右側が全体的にレッドで右腕は欠損を示すブラックになっていた。だが、逆に言えば欠損しているのは右腕だけだ。まだコイツは動く。なら問題ない。

 

無事な左手でメインコンソールを叩くように操作してもはやあるだけ無意味な追加装甲をパージしてスモークをばらまいて、

 

「こっからが本番だ」

 

装甲が減った分軽くなった機体はより加速し、破損のダメージも重なって軋んで悲鳴をあげるが、まあもうちょっとだけ付き合えよ相棒。

 

スモークの中を補給艦が居た場所に向かって突き進む。

武装は単装砲と炸裂杭だけだが、非武装の装甲も薄い補給艦くらいなら仕留められる。

 

「見えた」

 

単装砲を補給艦に向けて撃とうとして、咄嗟にパージする。一瞬だけ宙に浮いた単装砲がねじ曲がるようにひしゃげて砕け散る。下腕部ハードポイントの炸裂杭を展開して撃発用グリップを握り、飛び降りて来た機影に向かって振るう。

 

飛び降りて来た機影、ライトニングファルコンが炸裂杭を握った左腕を振るうのに合わせて竜胆を蹴り、そのまま距離を取って左手のライフルを撃って来るのを竜胆の脚部のフロートをパージして真横に竜胆を飛ばして回避する。

 

レーダーも何も無力化するこのスモークにあんな高速で突っ込んで来るなんて大したクソ度胸だよこのパイロット。計器類すら狂わすから高度とか完全に目測になるし、スモークで見辛いから気付いたら目の前が海面でもおかしくないってのに。

 

まあ、そのクソ度胸の持ち主はもう1人居るらしいが。

機関砲を撃ちながら戦闘機が1機、ライトニングファルコンよろしく突っ込んで来た。三次元機動出来る第四世代型バトルフレームであるライトニングファルコンならまだしも機動性やらで劣る戦闘機でやるとか正気かよコイツ。

 

スモークの効果時間は残り8分。そして、推進剤の残量から見て戦闘継続可能時間はギリギリ5分あるかどうか。しかもフロート捨てた分余計に推進剤の消費が増えてるから下手すれば3分くらいか………

 

残った兵装は炸裂杭のみ。機体状況は最悪。

相手は間違いようもないエースが2機………これはいよいよ俺もきたねえ鉄くずの仲間入りか?

 

飛来した弾丸を躱しながら空になったプロペラントタンクをパージ。これで残りは2本。いよいよ後が無くなって来やがった。

 

ブースターを全開で竜胆をかっ飛ばし補給艦との距離を詰める。飛んで来たノーロックのミサイルをかいくぐり、更に接近する。衝突しそうなギリギリで突っ込んで来た戦闘機から至近距離で放たれたミサイルを炸裂杭の装甲部分を盾にして防ぎ、そのままスピードを維持したまま補給艦に向かって突っ込んで炸裂杭を打ち込む。杭を打ち込んだ場所から補給艦の側面部が大きく抉れた。そこへ更に竜胆をターンさせて追加で炸裂杭を叩き込むと、艦内の補給物資の爆薬でも吹っ飛んだのか、盛大に爆炎を上げながら補給艦が内側から爆発炎上する。

 

そして、竜胆の左腕が肘から先がもげて文字通り手も足も出せない状態になった。目標の補給艦は沈めた。なら、やる事は1つである。

 

「にぃげるんだよぉぉぉおおお!!!台所の黒光りするアレのようにィ!!!」

 

叫びながら脱兎のごとく逃げる。鉛玉やらが飛んで来るが無視だ無視。どうせ逃げるしかなんも出来ないんだだから!!!

 

スモークの効果範囲から飛び出すと、待ってましたばかりに上からのロックオンアラートが鳴り響く。ブースター全開でサイドステップやらなんやらととにかく動きが不規則になるように竜胆をかっ飛ばしてひたすら逃げる。

 

「やべえええ!!!推進剤がマジマッハ!!!」

 

凄まじい勢いで減って行く推進剤に悲鳴を上げながら、追って来る戦闘機隊に帰れ!と吠える。

 

最後のプロペラントタンクの推進剤が半分ほどになったところでようやく戦闘機隊が引き上げて行った。

 

「………ははっ………生きてらぁ………ははっ………」

 

なんか変な笑い声が出て来た。

 

『また随分とズタボロだな』

 

「ああ。旦那も無事だったか」

 

『索敵範囲の外に居たからな』

 

「さようでございますか………こっちは酷い目に遭ったわ。ライトニングファルコンは出て来るわ変態機動する戦闘機は居るわ」

 

『何?ライトニングファルコンだと?』

 

「こりゃハメられたな旦那」

 

『のようだな………さて、回収するぞ』

 

「たのんますわ。正直言って限界なんすわ」

 

上からゆっくりと近付いてくるティルトローター式の見慣れた輸送機を見上げながら弱音を吐く。あ、やばい。ちょっと視界がおかしくなって来た。




なんとか最初から最後まで戦闘シーンで行けたよ!

良い勝負したと思う?そんな上手い話なわけがない。竜胆大破に対して、今回の相手戦闘機もバトルフレームも含めて無傷なのだ(

キャラ紹介他はどのあたりに入れた方がいいか

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