鉄騎兵と戦術人形   作:ケジメ次郎

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三つのシーンを入れたけど、色々ぶっこみ過ぎてタイトル成分が薄い。

記念すべき百話がこれとか田舎の母さん泣いてるぞ???


スキン「精神三十路幼女」

「姉貴ー」

 

 左からリンヤオの声がする。こっちは壁側だから、ベッドに侵入されているらしい。ちょっと重かった。

 

「サムー」

 

 続いて右からはサブリナの声がする。声の振動が鼓膜に届いて気持ちいい。彼女の声は非常に落ち着いた。

 

「「起きてよー」」

 

 こっそりとした声が両耳をイジメるように聞こえてきて体がぞくぞくっとする。

 折角の非番、朝ぐらいゆっくりしようと思っていたのに。

 

「やだ」

 

 俺はだらけたいという本能と、これ以上耳元で同時に囁かれてしまってはおかしくなるという事実のせめぎ合いに苦しみながら、断固とした意志を示した。

 

「そんなこと言っていいのかい?」

「私たちが、交互にカウントダウンするよ」

「それでも起きなかったら」

「どうなると思う?」

 

 ダメだ。起きてもどうせ言いなりになることは分かりきっている。

 耐えなければならない。妥協こそが敗走への第一歩だ。

 

「じゅーう」

「きゅーう」

「はーち」

「なーな」

 

 無情にもカウントダウンは進んでいく。突入する時のそれと違って、緊張感はないモノの、心で何かしらの警鐘がなった。

 

「ろーく。あれ、姉貴反応してるじゃん?」

「ごー。本当は起きたいんだよね?」

 

 ダメだ。ヤバイ。心が冷静を保てない。ただ囁かれているだけなのに。

 

「よーん。意地張ってるんだ」

「さーん。そういうところも可愛いよね」

 

 開けてはいけない扉の鍵が段々と回っていく。もうドアノブに手がかかっていた。

 

「にーぃ。姉貴は僕たちの事大好きだもんね」

「いーち。早く起きてよー」

 

 いつもははきはきしているハズの声が、ねっとりと湿度を感じる。カウントは残っていない。

 

「「ぜろ、ぜろ、ぜろ・・・ぜろ!」」

「・・・ッ!」

 

 

 

 

「なんつー目覚めだ」

 

 ぼやきつつアイスコーヒーを飲めば、僅かに残っていた眠気が飛んでいく。

 

「!」

「ポインターだけが俺の癒しだよ・・・」

「!」

 

 結局、カウントダウンが終わった後も俺は必死に抵抗した。五分で陥落したけど。

 食堂でトーストを齧っていると膝にポインターが飛び乗ってきて、尻尾モジュールを頻りに振っている。

 撫でているわけでもないが、俺の言葉を認識して更に喜ぶのは技術の進化を感じた。うい奴め。

 

「おはようございますVAG」

「おはよう、よんいちろ・・・あれ?」 

 

 対面に座ってきた416はいつも通り冷静な無表情・・・?なんだか小さいような気がする。気のせいじゃない。小顔の顔が比率的に大きいこれは紛れもなく。

 

「なんですか」

「指揮官と416の娘・・・?」

 

 子供だ。

 416を小さくしたみたいな子供がいる。服装はかわいらしさ全開、ハニートーストを切り分けて食べようとしているが、ただでさえ小さかった口がミニになったせいで口元が汚れていた。

 

「正真正銘の完璧なわたしですけど」

「・・・そうだな。ちょっとこっちに。そうそう、よし取れた。もうちょい小さく切り分けな?」

 

 俺が紙ナプキンで口を拭ってやろうとすると素直に反応するのが新鮮だ。

 もぐもぐと口の中いっぱいにするように食べる姿は、滅茶苦茶刺激される。

 俺も中身は三十歳。このぐらいの子供が居ても別におかしくないレベルなのだ・・・直視したくなかった現実。

 今は戦術人形で、どう頑張っても見た目は少女なんだけど。

 

「VAG、指揮官が呼んでいましたよ」

「嫌な予感がする」

 

 416のこれはスキンだ。そしてIOPは俺のスキンを作りたがる。ちょっと、胃腸が痛む感じで右脇腹が痛い。嫌な予感はよく当たるのが、今だけは憎かった。この後のことが予想できるのだから。

 

「ふっ」

「お前、中身はしっかりしてるだろ」

「なんのことでしょうかー」

 

 俺の様子を鼻で笑うロリイチロクを見て俺は全てを察する。スキンと言えど中身は変わらないらしい。

 子供になったおかげで表情豊かなそれを見てると毒気は抜かれた。

 

 

 

 

「言わんこっちゃない」

 

 命令でスリープモードに落され、気づけば俺は子供になっている。指揮官にはあとでケツバットをお見舞いすることに決定だ。

 淡い色のワンピースにワンポイントで大きな紺のリボン。髪はここに連れてこようとした36に三つ編みにされた。

 別に悪の組織の取引も見ていないのに理不尽でしかない。

 

「うぇへへへへ・・・サムが幼女になった」

「サブリナ、よだれを拭いた方がいいと思うわ。サムに嫌われないためにも」

「可愛いなぁ姉貴・・・」

「リンヤオちゃん、仕事はまだ終わってないって」

 

 色々とタガ外れかけている二人を、比較的冷静な二人が宥めている。そうでもしなければ、何処にとは言わないが俺は連れていかれただろう。こんな二人は知りたくなかった。知らないお姉さんに着いて行ってはいけませんってか、やかましいわ。

 

「・・・ウェルロッド」

「な、なんでしょうか!」

 

 俺の周りをローアングラーもびっくり、かつ兵士すらも真似できないような匍匐でシャッターを切りまくっていたウェルロッドを睨む。

 

「写真撮るのだけはやめてくれ・・・」

「その表情!その表情最高です!」

 

 こいつキャラが壊れてやがる。

 着任した時なんて、「自分は影の存在だから」云々かんぬんと歓迎会を拒否しようとしたのに。

 

「うぇへへへへ」

「姉貴のロリ・・・いや無理。尊すぎて無理。死ぬ」

「次は笑顔をください!」

 

 カオスすぎないか?




次回予告
応援のお礼にFAL達の指揮官の元を訪ねることになったVAG、しかし既に怪しまれていて…
3-2「即応小隊の日常(仮題)」一話「疑心の視線」


章題がネタ切れなんじゃ…2-2のタイトルとほとんど変わらないじゃないか…
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