鉄騎兵と戦術人形   作:ケジメ次郎

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感想返し
「皆さんお盛んですな(w

百合百合しい空気が!そして、FALの胃がヤバい。
胃薬ドーゾ。」




まぁFALもどちらかと言えばそっち側なんですけど(無慈悲
ヤベー奴の集団だと偶にモノすっごくヤベー奴が優しく見えることがあるんですよね。

あ、毎度のことながら重たい話になります。許して。出てくる指揮官がいい人ばっかなのでそれに対応するような話。

感想ありがとうござい。


3-2は仲間たちとの親交を深める章です


疑心の視線3

「あなたのセンス、ちょっともったいないわね」

「センス?」

 

 食堂に向かって歩いていると、先導していたFALが立ち止まって振り返ってきた。その表情はいつも通りのポーカーフェイスだが、雰囲気は変わっている。この感覚は・・・あれだ、リンヤオやサブリナがテンション上がって鼻息荒く迫ってくるときのに近い。

 

「才能はあるようだけれど」

「おい、なんでにじり寄ってくる!」

 

 一歩、後ずさる。背後には壁。顔の横に黒い影が飛び、油断していたせいであっという間に距離を詰められた。

 

「そんなに隙だらけでいいのかしら?」

「・・・悪い奴じゃないことは分かってる」

「本当はスイーツが楽しみでワクワクしてたのに?」

「べべべ、別にそういうワケじゃねぇー!」

 

 コロコロと面白そうに笑われ、迫られているのにも関わらず毒気が抜かれる。壁ドンされてシャツのボタンに手を掛けられているという状況は一切好転していないが。

 

「自由な世界へ、行きましょう?」

「その自由が露出的な意味なら断固拒否!」

 

 俺は服は緩めるが別に肌を見せたいわけじゃないんだ。FALのセンスはいいものだと思うけど、独特なものだし、特段に綺麗なわけでもない俺がマネするのは難しい。

 

「そうは言っても抵抗しないじゃないの」

「両手を引っ掴まれてなかったらぶん殴ってたんだけど」

 

 壁ドンする前に両手首を合わせられ、上に上げられている。身長差のせいで、自然と背伸びをする状態になって力も入らなかった。

 

「ふふふ」

「やめろォ!ボタンに手を掛けるのはやめろォ!」

「体は正直よ・・・」

 

 ヤバイ。このままではシャツの前のボタンが引きちぎられる。代えの服は持ってきていないから帰りがマズイ。

 

「FAL?私が居ることを分かってのその行動、挑戦的ですね」

「FG42!」

 

 風紀の乱れを感じ取ったのかFGが救いの手を差し伸べてくれた。

 FGが静かに怒りを携えてにっこりとFALの肩に手を掛ける。その姿はさながら死刑執行人。かっこいい。

 

「・・・VAGがこのセンスを確立するのは確かな未来よ」

「怖いこと言うなよ」

 

 そんな未来が来たら、俺はサブリナにどつかれるんだけど。逆にどうやったらあのシスコン拗らせた自称姉の目をかいくぐってそんな趣味に走れるとは思えないし、万が一にもそれが許されていたとしたら、俺はさっきのあの二人みたいな爛れた日々に陥っているに違いない。

 お小言を言う風紀の鬼とそれを受け流すファッションリーダーの喧騒を背中に、食堂に入るとさっき別れた二人が手を振ってきた。

 

 

 

 

「先ほどはすみません」

「・・・サ、VAG、なにがあったの?」

「聞くな。彼女の名誉のためにも」

 

 申し訳なさそうな顔で乱れた制服を抑えつつ、指揮官への親書を手渡される。

 さっきはこっちの報告だけで終わっていたし、後は帰るだけなんだけど・・・嫌な予感がしてくる、脈絡もないそれは気のせいと信じることも可能だけど、今までの的中率を考えると疑ってしまう。

 

「親書の内容なんですが。それに当たって事情をお話します。即応小隊への転属推薦、それに該当している子たちはちょっとここに来た経緯が特殊なんです」

「特殊、とは」

 

 内容のコピーを手渡され、ザっと中身を見る。大まかな情報としては三から五体の人形を即応小隊に転属させたいというもの。

 転属だなんてあまり穏やかではないし、こちらの指揮官の運営にも変なところはないと感じているが、特殊な事情というのが関わっているのは分かる。

 

「・・・この子たち、9A91もなんですけど、元はあまりよくない基地に所属していて」

「正式な転属ではなかった、と」

「はい。他にもその基地に人形は居たんですが」

 

 ・・・虫唾が走る。ブラック基地ってやつだ。

 転属を推薦された人形達全てに、カウンセリングが行われている。・・・戦術人形が見目麗しい弊害というべきか。辛い思いをしたはずだ。

 それ以外にも、業務を課せすぎたあまりになんて話もある。人形は人間と違うし、奉仕する立場だが、これは機械にだってやらせるようなものではない。

 

「それから時間は?」

「先任から引き継いだので、もう三年になるでしょうか。ソレの記憶自体は削除されている、システム上のエラーもない」

「・・・ヒドイ」

 

 サブリナが呟いた言葉がすべてを物語る。

 記憶は消したにも関わらず、人形の人格データにまでトラウマが残っているなんて、ひどすぎる。思わず握りしめていた拳が痛いことに気づいた。

 FALにAEK、FG達にもそんな過去があったなんて知りもしなかったし、サムとして喋っていた時には特に何も感じなかった分、しっくりも来ていないのが本音だが、簡便な報告書に触れただけで沸々と怒りがわくぐらいには胸糞が悪い。

 

「私が着任した時からずっと、ウチに居てくれて。一緒に頑張ってきたけれど、あの子たちがこの基地に居たのはリハビリ扱いだったんです」

「それで、こっちに転属させたいと」

「はい。そちらには仲のイイ、サブリナさんとあのサムさんも居ますから」

 

 指揮官の言葉を認識するなり、飲み込んだ唾が気道にはいって咳き込んだ。

 あまりにもナチュラルにカマをかけられて、取り繕えなかった。

 応接室の扉の方からは気配もする。多分聞かれていて、俺は血の気が引きすぎて何も言えない。

 そこに指揮官が追撃してきた。

 

「やっぱり、VAG-73MOD、貴方はサムさんですね」




重いんだよォ!
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