鉄騎兵と戦術人形   作:ケジメ次郎

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もっと派手にね1

「・・・嫌な予感がすんだけど」

「奇遇だね、僕もだよ」

「どうしたの二人とも?」

 

 俺は今日は夜間待機、サブリナとリンヤオの仕事の終了前に引き連れて指揮官の元を訪ねろという命令を遂行していた。

 地下司令部を進んでいく間、俺とリンヤオはそれぞれ逆の方向の脇腹に手を当て暗い表情。

 ・・・もしかしてリンヤオは何かを左わき腹で確かめることができるのか?

 過去の妹の姿を思い返すが、確かにその傾向がある。俺が怒る寸前にだって抑えていた。どういう仕組みなんだそれ。

 

「そろそろさ、地区のお祭りだよね」

「フェスティバルって美味しいもの出るのかなぁ」

「そういう話じゃねぇぞサブリナ」

 

 まだ二か月も先の話なのに、よだれが出そうなぐらいに今か今かと楽しみにしているサブリナに水を差し、嫌な予感の内容を想像する。

 地区のお祭り、支社がメインの協賛をするそれには当然付近にある基地にも「出し物」が強制されると聞いていた。

 出し物と言ってもそれぞれが担当する警備をおろそかにしない程度、ほんのちょっとの人員を出すもので、屋台がベターだ。基地から要員を出し合って大きな店を作るってのもあり。

 

「指揮官、来たぜ」

「VAGにサブリナさんにリンヤオさん、呼び出しに応じてくれてありがとう」

 

 珍しく執務室に居る指揮官は支社での打ち合わせを終えたばかりで制服のジャケットをソファに投げていた。

 それを副官のWAが皴にならないようにハンガーにかけて片付けている。すっかり様になってきた辺り、頑張っているようだ。他の二人がレベル高いもんな・・・416は言わずもがな。SAAはあぁ見えてかなりしっかりしている。

 

「これは見てもいい資料か?」

「それが主旨だからねぇ。コーラちゃん・・・はやめておこう。WA-飲み物ー」

「私は飲み物じゃないんだけど」

 

 こんなテンプレなやり取り滅多に見ないぞ。それ、指揮官の故郷の子供のテンプレだよな。

 パラパラっと一纏めの資料を読んで行くと、やはり内容は地区のお祭り。

 ステージと出店のブース、各企業の宣伝ブースに合コン・・・変なところはない。

 ステージは開幕と終幕以外は、四十五分ごとにそれぞれが出し物をするというもの。

 出店のブースは飲食や雑貨物に加え、個人のバザールが並ぶ。雑多な状態になるので警備するのが一番つらいところでもある。

 企業の宣伝ブースは・・・グリフィンも戦術人形が危険なものではないとアピールしたりするし、IOPはハイエンドの民生人形を展示するし、最近じゃあポインターを作った鹵獲ダイナゲートの企業だったりも出店するのが決まっている。

 人形とかPMCの展示以外にだって、他の民間会社がかなり出てくるのが決まっていた。世界が朽ちているとは言っても、人が居て集まって社会が構成される限り経済はなくならないんだ。

 

「それで、基地ごとの出し物を打ち合わせに行ったのよ」

「ごめん!よりによってステージを当てたんだ!」

 

 嫌な予感に一歩近づく。

 申し訳なさそうに頭を下げる指揮官が続けた言葉は大体予想がついていた。

 

「一六式は地上展示をお願いするとは既に打診しているけど、MCVカンパニーさんには出し物も手伝って欲しいんだ!もちろんそれ相応の報酬は出すから!」

「えーと、サムが一緒なのは?」

「三人でステージに出てもらおうと・・・」

 

 ほらなぁ。

 このメンツで呼び出したということは、リンヤオはM1500を使うことになるだろう。悪趣味にも、俺たち三体は同じ意匠が施された人形だ。

 統一感を出しつつ、なおかつ小隊所属の人形は俺一人で済む。実にクレバーな案だ。

 

「折角、見た目が綺麗で揃っている。人形だからある程度の練習とデータを入れるだけで簡単に常人を越えられる。そんな好条件でなおかつ人の心をつかむには、なにがいいかしら?」

「「「・・・」」」

 

 熱弁し始めたWAを傍目に俺たちは無言を貫く。

 なんとなくわかってはいる。

 見た目が良くて、統一感があって、少人数でも問題ない、集団。

 

「そう!歌って踊るのよ!」

「「「・・・はぁ」」」

 

 アイドルである。うーん安直。それ以外の提案を思いつけないんだけども。

 

「えぇっと、二人はどうしたい?」

「俺は、やれと言われたらやるし全力は尽くすけど・・・」

「けど?」

 

 サブリナの問いかけに応えつつ、俺は次第に顔を下に向ける。

 言いたかないけど、言わないと後で思い返してダメージを受けそうなんだ。

 

「俺、もうすぐ三十歳のおじさんだぜ?」

 

 俺の精神ことサム、御年三十歳。人間だったらそろそろ体力の減衰とか諸々が気になってくる、そんなお年頃だ。

 悲しいけどおじさんである。認めたくないその事実。

 

「「「あぁ・・・たしかに」」」

「VAG!そんなことがどうしたっていうの!アンタならトップアイドルを目指せるわ!」

 

 WA、それは色々と吹っ飛ばし過ぎてないか?他の三人は理解してくれたようだけど。

 

「そんなわけで・・・VAGとSPAS-12という体のサブリナさん、M1500の三人でステージっていうのが、第一のプランなんだ」

 

 三人で少し話し合った後、俺が代表して答えを出す。

 

「やる。やるからには全力をかける。だから、頼むぜ?」

「・・・報酬は多めに出します」




歌って踊れる三姉妹爆誕。

WAは今回も鑑賞会した作品の影響を受けてんじゃないかな・・・



感想返し
「モテモテなんだけど、
「あ、此ヤバいヤツやん」ってなる。
ファミパン炸裂してる。」

ヤバい奴に好かれるあたりサムは生粋の主人公気質なんだよなぁ・・・まだ、やらかし回想出てきてないけど、近いうちに出るので震えて眠れ。
これかぞやぞ。
本当はファミパン(自分の仲間にしようとする)しようとしたけど、それはちょっと違うなってなったので書き換えた。


感想お気に入り、ありがとうござい。これからもぶっ飛ばしていくんで。
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