鉄騎兵と戦術人形   作:ケジメ次郎

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目指せ風雲パーサ城2

「鹵獲・・・か」

「難しい注文だぜ」

 

 言うだけならいくらでもできる。

 実際鹵獲だってやり方によっては不可能じゃないと思う。前のパーサはボディや頭部を回収できる状態で倒したが、残っていた雑魚共がしっかりとズタズタにして処理していったから、やりようはあるはずだ。

 支社の廊下に短い会話が消えていく。

 

「要塞に引きこもってるってのもあれだよね・・・」

「前は廃工場だったのに、どんな出世をしたんだか」

 

 パーサは「代理人」というハイエンドの名前を出した。

 つまるところ「エージェント」の指揮下にあるという推測はされているものの、はっきりとした確証もないモノだ。

 なにかしら居るであろう上司は、何を根拠にこれほどの待遇を与えたのか。

 十中八九、Cbのアレしかない。パーサだけではなく、他のハイエンドも一枚噛んでいるという話もある。こっちの対策がすっぱ抜かれてる可能性は当然あったから。

 

「グリフィンは既に鉄血のハイエンドを鹵獲しているっていう噂、VAGは知ってる?」

「ハイエンドを?」

 

 一瞬聞き返してしまったが、あり得ない話でもなかった。

 雑魚はともかく、ハイエンドどもにだって個体差があって。パーサは俺に執着するぐらいなんだから、ぼっこぼこにされてぶっ壊される直前に慈悲を入れられて縋るって感じのやつもいるかもしれない。

 ハイエンドと言っても、それこそピンキリなんじゃないか。

 

「もしかしたら、僕たちが関知していないだけで。IOP製の戦術人形には鹵獲なり回収なりした鉄血の技術を発展させたものを応用しているんじゃないかって、考えるんだ」

「それはあり得るな」

 

 なにしろ敵はELIDと違って獣のような進化、変異方法ではなくて、技術をつかった開発、改修を行っている。それだけ技術は発展しているんだから、戦っているこっちがそれを研究することだって当たり前の話だ。

 その逆も当然あり得る。

 

「想像のしないところで、あっちとこっちの繋がりがあることだってあり得るかもしれない」

 

 スパイなんていつから存在していたのか分からないぐらい昔からあるものだし、敵から分捕ってきたものをそのままコピーすることだって常套手段。

 何がどうなっているのかを調べる必要があるが、それよりもパーサを早急にぶっ倒すことの方が重要度は高い。調べている間にパーサの魔の手が増えていけば、いたちごっこだ。 

 

「一つ引っかかっていることがある」

「まだ見つかってない人形が、ってことか?」

 

 人形という言葉を出すのと同時に手を強く握りしめてしまった。

 俺たちは探した。悪党どもによって慰み者にされたり、Cbに改造された人形達をIOPとグリフィンのデータベースと情報を照らし合わせて、探し回った。

 ダミーが納入された基地で編成拡大が行われたと報告のあった人形は、補給も休息も全くない状態でELIDとの矢面に出されたのではないか、という調査結果を出したことだってある。

 グリフィンのお偉いさんから下手に踏み込むなと言われた、利権者の家に潜入してボロボロの状態のダミーを見たこともある。

 それだけやっても、どうなったのかも分からない人形達も居る。

 捜査に関わっているほとんどの人員がやるせない気持ちを、人形達の受けた仕打ちに対する怒りで塗りつぶして情報を集めてきた。

 小隊の皆だって例外じゃない。むしろ一番と言っていいぐらい暗い部分を見てきた。仲間たちのその姿を近くで見てきたからこそ、今の議題ではないはずの悪党どもに対する怒りが湧いてきてしまった。

 

「少なくとも根本のプログラムが書き換えられているなんてことは可能性としては限りなく低いけど」

「こっちの重要技術が、ってことも頭に入れといたほうがいいわね。VAG、アナタ、お疲れ様」

 

 支社の玄関前で待ち受けていた副官サマが補足する。相変わらず完璧なこって・・・盗聴していたんじゃないかと思ってしまうぐらいだ。

 いくらでも思いつけてしまう。例えば、人類側に潜り込ませることができる見た目を得ているかもしれない。一番考えたくないことは、グリフィンにとってさえブラックボックスでIOPの機密であるASSTに触れられる可能性だろうか。

 

「ただいま416。帰ったら少し打ち合わせたい」

「あー、この後の話し合いには俺も必要だよな?」

 

 ハンヴィーに向かっているだけなのにそっと寄り添う二人の背中を見ると俺はお邪魔虫な気がした。仕事とプライベートを分けるってのはわかりきってるんだけど、偶に忘れそうになる。

 

「VAGと、RO、わーちゃんにウェルロッド辺りかな。コーラちゃんには人払いをお願いするよ」

 

 後ろに気配があることにこの瞬間ようやく気が付いた。それもそうだ、SAAは指揮官の専属の護衛なんだから。

 

「きゃっほー!了解です!」

 

 後ろから元気のよい声が聞こえたかと思うと、指揮官の背中に小柄な影が飛びついた。

 そっちに特化してるやつにはどう頑張っても勝てないのは分かっているが、長い間一緒に居るんだからもっと分かってもいいんだけどなぁ・・・




お気に入りとかもろもろありがとうござい。

色々やっていると創作に割く時間がなくなっていく・・・
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