鉄騎兵と戦術人形   作:ケジメ次郎

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目指せ風雲パーサ城4

 

 暗がりの中。

 

「うっぷ・・・」

 

 揺れる車内、かつ外が見れない環境で、人形はしないはずの乗り物酔いは酷くなる一方。どういう仕組みなのかも分からない。俺が人間な部分は電脳だけで、センサーは全て人形のモノなのに。俺はアンドロイドであってサイボーグではないのに。

 何度目かも分からない俺の呻きに、車内の雰囲気はあきれ返っていた。

 

「416、またVAGよ」

「はいはい。ホーワ、ついでにFALと交代しなさい」

 

 同じ髪色の天然パーマで隣に立てば同じぐらいの高さになる人形、ホーワM1500が降りてきた。ウチにはもう一人ホーワ製が居るが区別はつくし、ナンバーの方が分かりにくいので「ホーワ」呼び。

 

「はーい。ほら、姉貴ー。げーっしようげーっ」

「うっぷ・・・わがっだ・・・」

 

 もう今日で三回目ぐらいのやり取りは、何をすればいいのかすらもやり取りがない。

 背中を摩られて少し落ち着いてから、捕縛された荷物の隙間を通ってキューポラの下までたどり着いた時には喉元まで何かが上がってきていた。

 後ろで着席姿勢になってスリープに入ったホーワを操作していたのはリンヤオ。体の方は俺の座っている横の即席ベッドで寝ながら機材と繋がっている。流石に長い間負荷をかけてずっと使えばダメージが出るので、適度な休憩も必要だった。

 それはそうとして、キューポラから出て地面に吐ける瞬間になったのとダムが決壊したのは同時だった。

 

 

 

 

「なんでFALはこの謎の生き物をつれてきたんだ・・・」

 

 俺はスカートの中に頭を突っ込んでる白い生き物を引っ張り上げ、ぼやく。

 

「悪い?」

「そういうわけじゃねぇけど、飯とかどうすんだよ」

 

 これどう見ても普通の生き物だろ。

 キューポラからあちらこちらを眺めているFALは車内にチョコレートの銀紙を投げてきた。

 すげぇな・・・俺は水すらも飲みたくないレベルなのに・・・流石人形・・・俺も人形だけど・・・

 思考をそっちに向けると、何故か少しだけ吐き気が戻ってきた気がする。

 

「てめっ!ちょっ!何回顔を突っ込むんだよ!」

 

 FALが使っている吊り下げ式のシートの上に毛布を敷いたところに置いた白い生き物は、俺が目を離したすきに、スカートの中にルパンダイブ。

 飽きないどころか、ペースが早まっていやがる。俺よかもっといいのが居るだろ!ロクヨンだったら喜んで遊んでくれるぞ!?

 少しだけ穏やかな雰囲気が流れている車内には、俺の声ばかり響く。周りが基本的に寝るか静かに休んでいるのは、昨日の夜バカ騒ぎしたからだろうか。

 それとは別に俺の妹は単純に車に酔いまくるので寝ていた。これが血の繋がりなんだよなぁ。

 

「姉貴、うるさい」

「あっごめん」

 

 隣のシートからかかっていた重みから怪訝な声が届き、俺と白い生き物との間でスカート内の利権を巡った戦争は休戦と相成った。条件は俺がこいつを抱えること。まぁ、可愛いから気にしないことにする。

 

「あーと二人もうるさかったよな・・・ごめん」

「いやいや大丈夫だよ。それはそれとしてその生き物はスケベちゃんよね・・・」

「非常食にすることも検討しましょう」

 

 ロクヨンが知恵の輪を動かしつつ対面側から丸まった生き物の体を摩り、36はルービックキューブをぐちゃぐちゃにしている。

 そんな二人・・・主に36の言葉で手元から怯える様子がひしひしと伝わってきたので、少しだけ甘えさせてやることにした。

 

「大丈夫大丈夫。しっかりと貢献してくれたらいいのさ・・・だけどスカートの中潜ったら煮るからな」

「姉貴、多分こいつなんも分からないと思うよ」

「・・・うん、俺も今おんなじこと思った」

 

 優しく撫でていたらお腹を出して喜びの感情しか出してないし。

 一応、FALとは作戦の時に意思疎通していたりして囮になったりなんなりをするので分かってないわけでもないんだろうけど。

 出発して四時間ぐらい?そろそろ最前線を抜けたころ合いだろうか。

 車内に固定されているデジタル時計を見ればそろそろお昼時だ。

 

「VAG、無線の応答をお願い」

「休止場所の打ち合わせなら416でいいんじゃないか?」

 

 車両内インカムに聞こえてきたのはナビゲーター席に座っている、偵察部隊の隊長である416。

 その言葉に嫌な予感がして、話を逸らす。後ろをついてきているのは一六式というこの状況、あっちの無線を使っているのはサブリナなんだ。

 

「逃げるつもり?」

「そんなつもりは、ない・・・んだけど」

 

 グローザの少しだけ強い口調に、言葉は尻すぼみする。

 会いたい。話したい。一緒に居たい。そんな自分の気持ちは分かっているのに、踏み出せないまま、出発してしまった。

 昨日のバカ騒ぎでは、周りの男どもとそのお相手どもがなんかいい雰囲気だったし・・・羨ましくないと言ったら嘘になる。醜い思考だから決して言葉にも、表情にも出すものではないが。

 

「はい、もう繋がっているわ」

「あ、ありがとう・・・」

 

 トランシーバーの応答スイッチを押そうとするのに十秒ほど迷い、ボタンとにらめっこ。

 

「あ、と・・・サブリナ」

「なに?」

「き、今日はいい天気だな!」

 

 十秒ほどの無言のあと、あちらが応答スイッチを切った音だけが俺の耳に届いた。

 そりゃそうだよなぁ・・・

 色々と調子がくるっていて、結局数か月ぶりの会話にも関わらずよりによってそんな変なテンションの言葉しか出なかった。




かんそーがえし
「みんなゴツくて立派なの持ってるからね。仕方ないね」
ものすごい勢いでいっぱい出る熱いモノ(嘘は言っていない)撃った時には熱を帯びるのも同じですね!
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