鉄騎兵と戦術人形 作:ケジメ次郎
声帯実装じゃよ。セリフも追加されるだろうなぁ…楽しみじゃよ。「しまった〜出前を〜」のくだりが聴けると思うと今から正座全裸待機せざるを得ない
嬉しくて震えています。早くどこかのメーカーさんはJS9か輸出版のガスブロ出してください
あとK11もすきなので楽しみです
M82ちゃんも来るんですか…嬉しい、嬉しい…
感じる。
じんわりと手が汗ばみ、脇腹はチクチクと痛み続けていて、唇が乾いていく。
いくつかのピース自体は用意されていた。だからこそ、覚悟自体は出来ている。それでも、どれだけ準備をして構えていようが心の底には恐怖感が芽生え、体に現れるのだ。
周りの空気も張り詰めるあまりに、静まった車内の息遣いが耳をつつくような錯覚。
「やっぱり」そっと呟いた言葉は、一六式の本当にすぐそばで起きた炸裂にかき消された。
一キロ以上先からの攻撃はランチャー類にしては遠距離が過ぎ、銃器にしては爆発が大きく、砲撃にしては感覚が短すぎる。
故にはじき出される仮定はただ一つで。
「ホーワ!射点は!」
「えぇっと、千三百ぐらいのブッシュ!」
ホーワの声でそれも確定に近いものになった。
「サブリナ、狙えますか?」
「位置関係上、キツイです!」
一六式、特に砲手のジョージは誰よりも敵に当たるかどうかを読むことに長けている。
あちらは草むらに潜むかのように、低い姿勢でこちらを狙っているのだ。
「ホーワ」
「銀髪、ロング、フリフリの服。多分、パーサ」
冷や汗が車内の床に落ちた気がした。思考は動きを拒もうとするし、絶望的な状況ということで考えを巡らせようとして、頭の中がよく分かんない。
「一撃で、倒せる?」
416は決断を迫られている。射線的に、今動き出せばスピードの上がる寸前までに被弾するのが分かっているから、車列は動くにも動けないのだ。
一度睨みあいに入ったせいで静まり返った車内、迷いが手に取れるように分かる一瞬。
何もできない己の無力さに、拳を握った。
「武装の無力化、なら」
色々ありすぎて脳が情報をしっかりと受け入れる状態にもないのに、言葉から伝わる妹の肝っ玉にノックアウトされそう。
ホーワは落ち着きはらっていて、出来るラインを嗅ぎ分け、既に敵を睨んでいる。
その様子が、未だに俺の中でのリンヤオのイメージとは中々にすり合わないようにも感じるし、どこかしっくりとも来て、認識がオーバーフローに陥ったのだ。
「それが、一番確実だと思います」
作戦前のブリーフィングでは、いままでのパーサとの戦いを改めておさらいした。そして、パーサが頭をぶち抜かれても行動できたという事実すらも、全員が共有している。
この状況で、ヘッドショットしたとしても。リヴォルトを名乗るパーサだって同じ可能性があった。
ホーワが狙撃で鈍らしたり、一六式が引き留めても、長引いてしまえば一番受け入れたくない状況に陥る。
あのパーサ以外にも本体なりダミーが控えているのは分かっていることだし、量産型の鉄屑どもがたかってくるのだってそれほど時間がかからないはずだ。
「それが最善手ね。グローザ、ルートは変える。サブリナもそれを追いかけて」
三十秒。アナタを信じます。
416の言葉と共に、誰も息をすることをこらえてしまうほどの静寂が訪れた。いや、エンジン音だけは響いているから、かき消されているだけなんだけど。
ホーワの集中力を削らせるわけにもいかない。
ひっ迫する状況、敵に存在を察知された事実、作戦の難度が上がっていくという現実。人間ばかりだったとすれば誰かの取り乱した様子がトリガーとなって不安が溢れだしたっておかしくない。
人形ばかりという構成が、橋を支えるトラス構造のようにパニックを引き留めているように感じた。
俺はいつだって、強固な心を持った味方に助けられるのだ。
「機関部にダメージ!」
▽
静けさとピッタリの、肌寒さ。シュラフから体を起こすと、未だに起きるべき時間でもないことに気が付いて力を抜いた。
「センチメンタルなんて、キャラじゃないのに」
丑三つ時。そんな感じに、言いようも知れぬ不思議な感覚に陥るような空気。けれど、見上げれば数えることなんてできないぐらいに敷き詰められた星が見える、風景。
本当に綺麗で、息をのむ。
「・・・はぁ」
感傷に浸りかけた気分を振り払っても、今度は別の暗い感情で布ごしの綿の感触も固くなった。手を開いて、また握って。
どうしようもできないと言い訳してまで、何もしなかった自分にいら立ちが募っていく。
「もしも」や「たられば」、後から色々言ってもなにかが変わるわけではないことだって分かってる。
それでは収まりがつかないほどに、自分には理解できないような感情。
考え始めると何も手がつかなくなりそうだし、何もしない時間に少しでも気を緩めるとそのことばかり考えてしまう。
巨大すぎて、重力を得たそれに何もかも引っ張られていた。
これで三十路すぎたおっさんなんだから、どうしようもない。
「嫌われている方が当たり前」
俺は待っていろなんて抜かしたくせに、迎えに行こうとすら踏み出していない。むしろ後ずさりしていた。
現実を呟いただけなのに、受け入れたくないあまりに体が反応する。
「今は、ぶっ飛ばす事だけを考える。なるようにしかならない」
立ち上がる。例え、どんな未来が待っていようとも。今から全てを見通せるわけでもない。
歩哨に交代する時間はまだ先だけど、意識はすっかり切り替わっているし、汗ばんだ服をインナーを着替えたかった。
シャツのボタンを外していると、寝返りを打ち過ぎた誰かが何かにぶつけたような鈍い音がした気がした。
「・・・気のせいか」
次回のタイトルも思いついていないんですよ()