鉄騎兵と戦術人形   作:ケジメ次郎

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もう少しじっくりと練ってから書きたい


古城に響く音2

 前から迫る気配。全員にイヤーな予感が走って視線がぶつかりあう。

 

「やべぇな」

 

 廊下の奥から最初に現れたのは、銃剣付ハンドガンなんていう尖った武器と、特徴的な盾を持つ護衛(ガード)。移動は遅いが頑丈を売りにしていて、ヘイトを稼ぐタイプだ。それが、警察が暴徒を押し返すようにスクラムを組んでいる。

 

「さっすがに、処理しきれないわね」

 

 ガードの奥にはミニガンのようなマシンガンを強打者(ストライカー)が構えている。四番のスラッガーかよ、なんて現実逃避するぐらいには、ダンジョンの廊下という細くて長い条件では絶望的過ぎた。

 俺たちが身を隠しているものなんて、崩れた木の壁をかき集めただけ。この睨みあいだって、あちらはいつでも火ぶたを切れるし、絶対に勝てる状況。

 FALがすっとライフルグレネードを取り出すが、36の膝に小突かれて戻した。

 ライフルグレネードの威力、閉鎖空間。壁なんかが崩れるだろうから時間稼ぎには十分だが、射程と放射の飛び方、天井の高さ的に、ガードに塞がれてしまう。

 更に、地下の空気が震えるような錯覚と共にずっと奥から、大きな影が近づいていた。

 

「どうやって・・・」

「多脚戦車は聞いてないわよ」

 

 空間に埃を巻きたてながら現れた正体は、がちがちの装甲に似合わない四脚の機動性が合わさった無人四脚戦車(マンティコア)

 一六式の百五ミリならば一撃で吹っ飛ぶし、対空機関砲でもボロボロにできるが、俺たちにとっては手の届かないような暴力の象徴だ。

 一六式に乗っていた頃は、接近戦にさえならなければ、イイ腕をしている乗員のおかげで特に怖い相手でもなかったのに。

 それなりにデカいってのは戦いにおいてアドバンテージになるのだ。

 倒せるとすれば、M72で足を止めて接近してぼこぼこにするぐらい。つまり、今の状況では無理。

 

「インディかな?」

「黄金像なんて盗んでないのにな・・・」

 

 しかも、ちっこくて素早い敵がガードの前に出てきやがった。この状況においてイヤーな相手がいっぱい。

 

「・・・装甲型ダイナゲート(タランチュラ)までいんのか、よ?」

「どうしたのかしら」

 

 人形同士の通信。普段は小隊の仲間たちぐらいとしか繋がらないそれに、荒い息が入ってくる。

 これ、三人にも繋いだ方がいいか。

 

「これからも家族だ!」

 

 通信に響いたどでかい声と、爆発の轟音。音量設定なんてくそくらえみたいな爆音に目をぱちくりとさせるしかなかった。

 一瞬に起きた出来事の情報量が多すぎる。

 

「今の声は誰?」

「あー、多分俺の知り合いだぜ」

 

 視界がどうなってるのかも分からないぐらいに、粉塵が漂っている空間。たしかグローザのいた辺りから聞こえた問いに軽く答える。

 

「IFFはブルーだね」

 

 一向に視界がクリアにならないせいで、得られる情報はサーマルとIFF表示だけ。外見特徴も分からず、情報はただ近くに居るのが戦術人形とダミーの集団というぐらいだ。

 聞こえてきたセリフと発信元の名前で、俺は相手がだれか分かったけど。

 

「迎えに来たわ」

「助かったぜ、ありがとう」

 

 伸ばされた手を掴んで立ち上がる。握る手に力を込めた。

 

「助けてあげたのに、優しくしてよね?」

「なんも知らせずに天井落とす奴がいるかよUMP!」

 

 物理的に頭が痛くなるような暴挙に打って出たのは、俺の知り合い、45と9だ。

 事前ミーティングにだって名前は上がっていなかったし、一度調べてもどの基地に所属しているのかも分からない二人。最後に会ったのは、女性指揮官のところで黄昏ていた時だ。

 その基地に居たグローザとFALにも面識がないのかと振り返るが、どちらもしっくりと来ていない様子。

 

「こっちはこっちに任せて!」

「上に行った方がいいから」

 

 指で示された先は、崩落した石の天井と壁から滝のように落ちてくる水。

 

「外と繋げたの?」

「ちょっと爆薬量ミスっちゃった!」

 

 それはそんなに誇るように言うものではないだろ。

 

 

 

 

 地下に用事のあるらしいUMP姉妹・・・と先に奥に進んでいた人形とダミーたちと一度分かれ、戦闘の場にひた走る。

 参加している歩兵部隊は大きく分けて三つ。いくつかの基地から集まった部隊が、あちこちで戦闘しているところとは遭遇した。

 

「416!戦況はどんな感じ!」

「三分、持ちこたえさせます」

「二分で間に合わせる!」

 

 広すぎる古城、特に三つある尖塔と入り組んだ城壁。何と戦うために作ったんだと問いたくなるぐらいに複雑な構造は、それこそ立てこもる方にだって不親切だろう。

 雨脚は強くなる一方で、視界は狭まっている。IFFのおかげでフレンドリーファイアが起きないのが救い。

 

「VAG!貴方だけ先に行ってください!」

「はぁ?!」

「なんのための外骨格よ!」

「先に行って持たせてよね!」

 

 三人に言われてようやく気が付いた。俺は身軽だし、尻尾と外骨格のおかげでパルクールなんかは有利。なにより、銃の重量やかさばり方が比べ物にならない。

 

「今気づいたぜ、ありがとう!」

 

 RPGだとしたら完全なバク技を使ってステージ間をショートカット。数十秒単位しか変わらないが、刻一刻と変わる状況の一秒はあまりにも大きいのだ。




「これかぞ(天井崩落)」

次回、パーサ登場。(の予定)


時間をください・・・時間を・・・


追記:すみません!9/21分の更新、文章がこれっぽちとも固まらなかったのでお休みです!
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