鉄騎兵と戦術人形 作:ケジメ次郎
本当に、申し訳ない(画像略)
お気に入りとか諸々もありがとうございます。
雨が強すぎて、カッパを着ている意味がないんじゃないか。ふと思い立ち、カッパを緩めた。
いくら撥水性しやすいものとはいえ所詮は普通の服だから濡れ始めているし、装備類はちゃんと防水処理してある。こんな邪魔なもの、さっさと取っ払うに限るのだ。
大雨は視界を遮るように霧を作り、鳴り響く銃声と騒ぎの音は乱戦に陥っていることを教えてくれる。
敵の位置、味方、状況。徐々に分かる状況と共に、自分のやるべきことが俺の体を動かしてくれた。
「数が多すぎます!」
「ぼやいてないで!って?!」
思わず、といわんばかりのテンションで人形同士の通信に響いた、FGのぼやきにWAの怒声。支援組の背中越しに戦場が見えてきた。
ニーマムにマンティコア、装甲を持った機械タイプは目立つ。味方を翻弄しているのは、小さくて厄介なダイナゲートとそれの装甲持ち。人型タイプは見分ける余裕がないが、とにかく種類と数が居る。
「イージスまでいんのかよ。たまんねぇな」
正規軍の頃より見慣れた装甲兵が、押し寄せていた。
高台から勢いよく飛び上がる。出来るだけ注目を引き付けるように。
すぅ、と息を吸ってから。戦場に響き渡るぐらいの大声を。名乗りを上げるように叫ぶ。
「待たせたな!」
カッパを脱ぎ捨て、突出したイージスにぶん投げた。
「VAG!」この声は多分AA‐12。
味方がいるところと、着地位置は離れている。ウチの小隊は一六式を円陣で守り、火力を維持しているのだ。
故に、小回りの利く格闘タイプを優先的にぶん殴る。俺にヘイトを集めて、一六式の火力で装甲タイプをぶっ飛ばすのだ。
「気を抜かないで!」
416の号令と共に、戦闘はより加速した。それまでと違うのは、乱戦ではないこと。戦いが進むにつれて、M72の火力が、一六式の対空機関砲とブローニングの火力も、使いたい放題に出来ていた。
「次だ」
二つのナイフを構える
四体に囲まれ、八つの剣筋。振り下ろす動きの予備動作と直感で嗅ぎ分けて、避けれないモノはバヨネットで弾き、返す刀でぶん殴った一体を盾にした。
「二十二!」
怖いぐらいに敵の動きが見えている。
手に取るように状況を飲みこめて、最善の動作が体が出てくるのだ。
右にかかる三度の衝撃とともに、左腕で押さえつけていたプルートの首筋に念を入れ、そのままピンに手を掛ける。
「二十三!」
動きの止まった一体は、動揺のままに水溜まりに伏せていた。流石に人形だけあって残りの二体の動きは遅れていないが、視野狭窄に陥っているのは見え見えだ。
跳ねた泥のしぶきの間合いに、炸裂音。
「二十五」
泥水のシャワーの中で一息。まだ、続く。
頭の中に出てくる興奮の感覚は、いつになっても慣れない。小心者のくせして、楽しんでいるようにも感じるからか。少し、フクザツな気分。
「つぎっ?!」
やっばい。頭上に剛腕が振り抜かれる。
盾を持って近づいてくるガードの銃剣がついたハンドガンをいなしたところに、プルートとドラグーンに囲まれ、かなりの不利に追い込まれているのに、イージスがタイマンを張ろうとしてきやがった。
次から次へとキリがない。主戦場はほとんど優勢だが、俺が突出しすぎている。
逆に言えば、引き付けることによって目的を完遂したとも言えるし、ここからの巻き返しが俺の本領だ。
それでも、少しだけ冷や汗は出てくる。
いかんせん数が多いから、頑丈なイージスばかりに力を割けず。混乱に陥っている敵にも、連携らしい行動が起きていた。
汗と、雨と、ぶん殴った鉄血のオイルにまみれた肌の感触はよく分からない。
「随分と手こずっているようですね?」
そんな均衡を破るように影が乱入してきて、デカブツ装甲兵を怯ませるやいなや、お互いを守るように背中を合わせた。
「まだ本気出してないだけだしぃ?」
ていうか、一対多ならまだ俺の方が少し強いし!多分。
「私は背中を預けるのに不足ですか?」
「いーや、全然。むしろありがてぇ」
ウェルロッドが来たということは、この乱戦も終わりに近い。
軽口を叩くぐらいには長くて深い付き合いだし、訓練でお互いの癖は嫌というほどに体と脳裏に染みついているから、これほどまでに格闘で共闘できる気楽な相棒もそうそういないのだ。
合図することなく同時に動きだし、示し合わせたようにいなした敵同士をぶつけ。どちらから言うまでもなく、止めを差す。
「VAG!」
倒したと思い込んでいたリッパ-が最後の力を振り絞って、得物のサブマシンガンを構えていたことに気が付いたのは、別の敵に半身を使った瞬間だった。
「やべ!」
掴んでいたバヨネットを投げるが、間に合わない!
今更になって脇腹が強く痛むことに気が付いた。この戦闘中は常に痛かったせいで、頭で情報を処理するのが遅れている。
「へっへーん!僕のことも忘れんなよ、姉貴!」
「助かったホーワ!」
そんなピンチを救ってくれたのは、ホーワM1500ことリンヤオ。長距離用のアンテナを使って、立派な狙撃人形として戦っていた。
「あ、わーさん?!待って!これは!あれです!りんきおーへんにおもわず!」
「わーさん言うなぁ!」
銃声の止んだ広場の音をかき消すように、無線には大きな会話が鳴り響く。
周囲警戒を放り出してまでこちらを助けたのか、それとも飛び出して撃ったのかは知らないが、遠目で見ても怒っている様子のWAに引きずられていった。
ドルフロのアニメ楽しみ(緩い感じだけど)
あと、コラボの416の破壊力よ・・・(それ以外もとてもよかった)
この話、もっと進む予定だったのに六割分しか書けなかった。つまりパーサ登場は次回まで延びるのじゃよ。
実のところ、(幕引き)と(エピローグ)に関してはほとんど固まっているんだけど、クライマックスのシーンは色々迷っていて時間がかかってます。なんとなーく固まってきたんですけどね。でもね、終わらせますよ!