鉄騎兵と戦術人形   作:ケジメ次郎

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はい(昨日の更新を落としました。この話書くのにかかった時間はいつもの三倍以上ぐらいです)

どうやって初期は一日2パート更新を続けていたのか自分の中で疑問になっている。

今後は更新の日が開くことも増えていきます。
ただ、連載分はあと少しなので。
幕間とかの更新はもっと遅れるかもしれません。(ストーリーとかすっぽ抜けたヤバイ回が思いつけばサッと書くかもしれない

あと、書いている僕個人でもキャラとかの話を全てカバーできなかったので(36とマイクの話ももっとねっとりやりたかったし、たらしのジョージもやりたかった)

そんなわけで終わりの見えてきたこの連載、よろしくお願いいたします!


ぶっ飛ばす1

「ヤバいネぇ!サイッコウだネぇ!アはハハっ!」

 

 雨音を突き抜けて響くパーサの声は、透き通っているハズなのに不快感を感じてただひたすらにいら立ちを助長する。

 

「どこだ、どこに隠れていやがる・・・」

「先制されるのは、まずいですね」

 

 霧に覆われた古城の中、視界に籠るようにパーサの声が反響し続けていた。

 ウェルロッドの言葉が全て。

 パーサが持っていると推測されているのは、ウチに来るはずがどこかに消えた火器。それは距離を離して撃つことができ、なおかつ隠れた位置からの大きな火力を持つ。

 35ミリグレネード弾を長距離射撃が可能なランチャーだ。

 補給中にあった攻撃が、このグレネードランチャーの攻撃と類似していたのは間違いなかった。

 

「まさか、おびき寄せられた?」

「怖いこと言わないでくださいよ!」

 

 AA-12の不穏すぎる言葉にMP5の小さな肩が少しだけいかる。

 タスクフォースの半分ほどがこの広場に集まっているのだ。もし、一連の乱戦がここまで引き付けることだったのなら。この広場を爆破、砲撃、機関銃での殲滅、どんな手段であろうと大打撃。

 周りの城壁は複雑な構造と、そこから起因する散発的な戦闘でクリアリングに時間がかかるから不安を助長する。

 さっさと終わらせないと、こちらはジリ貧にしかならない。

 撤退時刻は、二時間と少し。それ以上に伸ばせないのは、作戦の大前提だ。

 

「こちら、チャーリー隊。接敵しました」

 

 即応小隊に居る五体の元同僚、9A91からの報告を口火に戦闘が始まる。静かだった広場の味方は、既に動き出していた。

 

「奥の城壁、南方向から砲撃。狙撃班!」

「西側城壁付近からもよ!」

 

 パーサの不愉快な笑い声がこだましている中に銃声と、着弾音、雨の匂いを突き抜けるように火薬の匂い。

 

「まだまだ居るのかよ・・・」

「一つ一つこなしていくしかありません」

 

 目の前にも敵が出てきた。さっきまでの戦闘によってできた鉄屑のスクラップが生き返ったんじゃないかと錯覚するぐらいに敵が向かってきている。

 しかも、まだ来やがった。

 

「ダミーリンクは、フル、か」

 

 広場に泥水一つ立てることなく、ぬるりと現れたのは。二度と見たくないぐらいに嫌いな、あのゴスロリ服。髪の毛一本すらも憎いそれが、目の前に出てきたことに冷静さを削ってきた。

 パーサのダミー。狙撃してくるのが二体、城壁の中で暴れているのが一体、そして目の前に居るのも一体。こちらの基準で言えば、ダミーリンクは最大に使われている。鉄血の技術によってそれ以上のダミーを従えている可能性も当然、考えなければならない。

 

「本体の姿は近くに見当たりません」

「自律式、ってことね」

 

 ROが率いる前衛組が目の前の一体と睨みあい、WAの支援班は狙撃をしてくる二体のダミーと集まってきている雑魚共との駆け引き中。

 偵察中不在になる416の代理の小隊長と副官を代わっていたのはこの二人だ。

 小隊の中の班を纏める四体が交信する通信域で、パーサの手札を予想する。

 

「Cb事案においても、ダミーの自律技術はあったわ」

「厄介がすぎる」

 

 心の片隅にあった最悪の仮定が、がっつりと答えに近づいてきたのだ。

 

「QLU-11の本体は二丁、パーツ類を合わせればあと二丁よ」

「ホーワは、スコープが見えないって言ってるケド」

 

 頭が痛くなった。こちらを狙撃してくる二体のダミーまでの距離は数百メートルを超えて、いつでもこちらを撃てるように舌なめずりをしている。

 

「こちらでも確認しました。照準器はついていない」

 

 RO達の目の前に居るゴスロリの手には、照準器システムの機材が取り除かれた火器単体だけのQLU-11が収まっている。

 こちらの銃のために新造したボディでもないのでASST、烙印システムの恩恵を受けているわけではないだろうし、例え烙印システムがあろうが、普通はスコープを使うはずなのに。

 

「嫌になるぜ。ほんっとに嫌になる!」

 

 焦りと不安が入り混じるあまりに思わず、髪を結んでいたゴムを引きちぎってしまった。

 いくらか証拠はあった。一番の決め手は、ダミーネットワークはIOP製が製造する「第二世代戦術人形」に定義される人形の重要技術。

 行方の知れぬ戦術人形も居る。だからこそ、こういうことだってあり得るわけだ。

 自分にとって都合の悪いことは思考から抜き取ってしまいたくなるし、実際これからのことは頭が痛くなった。

 重い思考の中で答えを呟く。

 

「パーサはコアの中身を解析し、一定の技術としてコピーすることに成功した」

 

 これが、証明できてしまった。

 IOP社の。16labの。機密。ペルシカのアマしか全容を把握していないようなブツだから、詳細全てを知っているとも思えないが、こちら側の戦術人形のアドバンテージが揺らぐような事態なのだ。

 こんな研究成果を見込めたから、パーサの上司はこれほどの待遇を与えた。

 

「それに、別の技術にすら昇華させた。VAGの言う通り、本当に嫌になるわ」

 

 つまりは鉄血の持つFCS技術をこちらの銃器と合わせ、更に言ってしまえばダミーリンクシステムも実装したということだ。

 だけど、と一言置いて我らが小隊長サマは冷静になった。

 

「・・・なおさらに鹵獲しないといけない」

 

 作戦の目標は何一つ変わっちゃいないんだから。




感想返し
「久しぶりに一気読み!物語も佳境に入りつつ、パーサーが出て来て、此ヤベえ奴だモード(w」
パーサとかいう当作屈指のヤベー奴。(他のヤベー人形と妹から目を逸らしつつ。
人間の頃は戦うのに必死でパーサの言っていることほとんど聞いてなかったサムですが、VAG-73modになった今、全てを聞き取れる可能性が・・・あっ


お気に入りとか感想とか諸々もいつもありがとうございます。
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