鉄騎兵と戦術人形 作:ケジメ次郎
前回までのあらすじ
を書こうとしたけど。150話の量を纏めるのは無理でした
二発の銃声が街に響き渡った。一発は大きく、高くから、鳴り響き。それに返すように小さな音が下から鳴った。
ショーの終わった後の喧騒は途端にパニックに変わる。多くの人々は銃声と言う物を知らない。それこそ居住区に住めるような人間ならば趣味で撃たない限り。
例え、趣味で銃を撃っていたとしても。
落ち着いたお祭りで鳴り響いた銃声は、パニックを引き起こすのに十分であり。
パニックは広がっていくものである。
「ひぃっ」
そんな街のパニックを眼下にして思わずそう声が出た。
ターゲットがこちらに気づいているなんて。
あんな猟銃のようなライフルで、正確にこちらの位置にカウンタースナイプを決めてくるなんて。
あまりにも正確に、スコープだけを壊すなんて。
あり得ない。あり得ない。相手は人間だ。しかも両足を看板に挟まれている。
「逃げないとッ」
ビルの階層、緊急階段を駆け下りる。相手の傍に居たハンドガンの戦術人形は、データリンクによればVAG-73のmod3。勝ち目がない。だが、相手はこちらを追いかけてくるだろう。
スナイパーは見つかってしまえば終わりだ。そういう生き物なのだ。
常に陰に隠れていなければならない。なのに、逃げ遅れた。
「そんなデカブツ抱えて、何してるのかしら」
「ちょっっとどころではなく気になりますね。風紀的にも」
よりにもよって警戒度の上がっていた巡回人形に見つかってしまった。
「チェックメイトよ。M82A1」
FAL自動小銃はしっかりと距離を保たれながら、照準を向けられている。
FG42はその後ろから周り込み、ホールドアップをさせる。
全てが。何もかもが。
終わりを告げた。
▽
「ぜーっ、ハーっ」
痛い。痛いどころの話じゃない。両脚がひしゃげている。あれだけ動けなかった足が完全に壊れている。
いや、そんなレベルじゃない。
相手。
恐らく対物ライフル。
自分の頭上にあった看板を狙った12.7ミリの弾丸の破片は肌という肌を切り裂いていた。血は留まるところを知らない。
「だけど、射点は分かった」
脇腹の痛みで危機に気づき、手にしていたホーワM1500。姉貴が買い与えてくれた、大切な相棒。ずっと一緒に戦ってきた。どんなクセだって大好きだ。ボクには一番なんだ。これが、一番の武器なんだ。
一発。お守り代わりに抱えていたセレクト弾をロードし、ボルトを押し込む。
誕生日に買ってもらった。高級なスコープはこんな状況でさえも、正確にズームする。
折角買ってもらえたのに。汚しちゃった。
あぁ、もう痛みが全身に回ってきた。本当に許さない。
一体だれがボクを狙うんだ。何のために狙うんだ。ボクがお前に何かしたか。
そう問い詰めたくなる。
「あぁ・・・もう・・・痛いけど」
呼吸を整える。
喧しい姉と、姉を自称しているサブリナ姉さんは簡単なバリケードとして、ボクの狙撃を援護してくれている。
QLU-131、又はQLU-11こと11式は竦みきってへたり込んでいる。そりゃそうだ。ついさっきまでおばさんと言って話していた相手が死にかけている。それも人形ではなく、人間が、だ。
11式狙撃グレネードランチャーがあったのならカウンタースナイプも楽だけれど、文句も言ってられない。彼女の手元には、半身はいない。
「陣形効果・・・か」
僕の目の前で盾を構えている姉貴は、ゲームで言ったらバフキャラ。
今だって、僕のM1500に肩を貸してくれた。
それが僕の体に、僕の力に、僕の勇気にバフをくれる。
「すーぅ、すーぅ、しーぃ」
照準が。手が、呼吸が、空気が定まった。ビル風だけが想定外だが。
トリガーを引いた。「目だけを潰すっ」
相手は狙撃手だ。スコープがやられれば、ほとんど何もできなくなる。示威行為には一番だ。
段々と意識が遠くなっていく。
あぁ・・・。
兄貴。
ボクはもう、十分に幸せだったよ・・・。
兄貴と一緒に居られくなって辛かったけど。
姉貴としてもう一度会えた。サブリナ姉さんとも会えた。マイクさんにもジョージさんにも、ボスさんにも会えた。
ロクヨンさんにも、フュンフちゃんとも、即応小隊の皆と一緒に居られた。
ずっと、ずっと、探し求めてるものなんてないけれど。ただ一つだけ分かることはある。
「姉貴・・・僕は」
「喋るなリンヤオっ、今止血してるんだっ」
「もう、どちらにせよ、助からないよ」
目がくらんで、姉貴の姿がよく見えない。ぼやけてきた。意識が重くなっていく。深い深い暗闇に、重りをつけた状態で引きずり込まれるように。
だけど、これだけは伝えて安心させなければいけない。
「兄貴、ボクは幸せだったよ・・・このくそったれみたいな人生」
ありがとう。もう口がパクパクと動くだけだった。
よしっ、とりあえず伝えたいことは伝えた。これでいいのだ。
「まだっ、まだっ、楽しいこと探そうってっ、言ったじゃんかよ!リンヤオ!」
「サムっ、救急車が来たよっ」
あとは、僕の底力だけ・・・だ。
▽
「・・・サム、気持ちは分かるよ」
「だけど、ご飯ぐらい」
「分かってるってっ」
分かってる。
リンヤオの命が長くないことも。そこで俺が心配したところで、絶対に奇跡が起こるわけでもないことも。
俺がどうやったって。
リンヤオを助けられない。
だって。元々、足を悪くさせたのは俺が原因で。
看板から避けられたのにも関わらず、両足を挟んだのは、俺を突き飛ばしたからだ。
俺は、そうやって。死神になってきた。
「あっ、そう言えば、今日は新人が来るんだよっ。それに、後方幕僚と人形も来るし!ほら!9A91ちゃんとそこの指揮官だった人!」
「・・・ぜぇったいに顔出さなきゃ、ダメか」
そうだ・・・俺は突入二班の班長だ。
ガサガサになった髪の毛をかきむしって、布団を蹴り飛ばす。緩めていた胸元と手首のリボンを締めなおして、書類に目を向ける。
「えぇっと・・・M60S・・・サクラ?ニューナンブの警察用拳銃か」
書類を捲っていく。
「ウチ側にはP226、と」
「G28・・・とG36cは・・・あぁ・・・あの二人もついに家族が来てしまったか・・・」
「AS VALに9A91、OTs12・・・」
「あれっ、書類ってもう一枚なかったっけ」
「うん」「・・・でも、今サムに見せるわけにはいかないんだ」
それってどういうことだよ。
前の基地に赴任した時のサプライズみたいなことか?
不満げな表情を出しつつ、隣の高い位置にある顔を睨む。笑顔で返されて、なんか納得がいかない。
姉を自称するサブリナと肩を並べ、いつの間にかひっ着いてきていた11式を引っ提げ。
「待たせたな。新人の案内を任された、先任のVAG-73・・・だdddddddd」
「あ、パパが壊れた」
なんで。なんであの姿がここにあるんだと思った。
体は思わず前のめりになってしまう。
この姿は、本物の妹ではないのに。
けれど。あれ自体は、素体は別に用意したものだったはずだ。だから、こいつは人違い・・・いや人格違い。そうだ。きっとそうに違いない。
そう自分に言い聞かす。
そして指揮官を蹴飛ばすことに決めた。
「ホーワM1500R!着任したよ、よろしくね!」
「それとボクの姉貴と、姉さんと、そこのクソガキ」
「改めて、よろしくねっ」
とりあえず、指揮官とペルシカは許さないリストに入れた。指揮官はさっさと、確保した狙撃犯についても情報を吐き出してもらわないといけないし。
今日は何の日?
・・・んでまぁ。気づけば半年に近いほど失踪してたわけなんですけど。
渋で一次創作したり、Twitterアカウント転生したりとかしてました。
あと特異点でJSちゃん掘り(62周)と限定ドロップ周回してましたね。
グローリーデイは音楽が好み。音楽を聴くシーンが大変良きでしたね
んで、絶頂スランプ期に陥ってます。
そんな中でもオリジナル作品2本、賞にぶん投げました。
片方は短編で、片方は10万字以上のやつです。カクヨムの方とpixivにあります。(室内あるみ名義です)
スランプからは抜け出せません・・・