鉄騎兵と戦術人形   作:ケジメ次郎

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アイツを倒す三本の矢2

 

 

「二代目、百五ミリ砲の代わりを見繕ってきました」

「あぁ、ありがとう」

「旦那ぁ、なにを積むんだ?」

 

 事務所で野郎三人デスクを突き合わせて紙の書類を検める。

 いつも整備を外注している会社からは百五ミリ砲は使い物にならないが指定されたサイズの新しい砲であれば一日で改修して、数発程度の発射は耐えれるようにすると伝えられていた。

 そこでジョージに使えそうな主砲を調べてもらっていたのだ。

 ただ俺はあまりこういうものに詳しくないため、一つ一つの砲を説明してもらいながら選別していく。

 

「えぇっと、これはオートメラーラ社製の七十六ミリ砲を改造した主砲?」

「オートマティックっていう対空砲に積んでたやつだな。でも砲身しか原型は残ってない感じだと思う」

「元の砲はいれる場所を大きく取る必要があるのよね。発射スピードが変わっていないと書いてあるし、カートリッジ式の自動装てんにしているみたい」

「無駄に高いから却下だな」

 

 質量を速いスピードで撃てるのはいいが一つのカートリッジの撃ちきる速度が早すぎるし、そもそも応急修理じゃ撃てる弾数は限られている。それに全部の弾が勢いよく外れるなんてシャレにならないし。

 そして決断の決め手は値段。百ミリを超えた純正系の戦車砲よりも安いとはいえ、こんな値段の主砲を一回こっきりの搭載は贅沢が過ぎる。

 

「あっ、これとかどう?」

「砲身が短いけど、値段が恐ろしいぐらいに安いな」

「古い兵器だし載せてる車両も珍しい車両だったから、業者は価値を知らなかったのかしら」

 

 砲口径の大きいわりに小柄で要求される搭載箇所の面積が小さい。

 どうも安さの理由は、この砲の目玉の機能が補給できない事と整備をしていなかった事により使えなくなっているかららしい。その機能は必要なく、数発しか弾薬がないらしいがそれだけあれば十分な俺たちからすれば値段も含めて最高の選択肢だった。

 だが、これだけでは勝てない。

 砲身長が短くなったことに気が付かれてしまえば、パーサは警戒するだろう。それならちょっとした工夫を加えてやればいいんだ。

 悪だくみをして思わずにやけた顔を見て、二人は顔を見合わせた。

 

「「旦那(二代目)、笑い方が社長に似てきてるよね」」

 

 

 

 

 ガレージに入れば随分と印象の変わった一六式が居る。

 一六式は基本装甲(というか構造)の上に装甲モジュールを付けている。最初開発していた頃の試験でモジュールを外している写真も残っており、今回は毛並みを刈った羊のような一六式の車体にそのまま装甲板などを張り付けているだけだ。

 砲身は前とほとんど変わらないように見えるが、その実本来マズルブレーキがある位置にスリットは入っていないし、砲口も開いていない。

 

「全く突飛な事を考えるな、サム」

「意表を突くのは戦術の基本だろ?」

「ま、今のボスはお前だからな。上司に責任を押し付けて、仕事を成功してこい」

「分かってるって」

 

 俺の考えた作戦を聞いた乗員の三人は驚いていた。俺には成功させる自信があるけれど、それを遂行するのは乗員たちだし、彼らが理解できなければ失敗する確率だって大きい。

 いくらか理論を説明し、これ以外の方法を考えるのは時間も予算も足りないことを伝えると、まずはマイクがオーケーを出した。続いてジョージが納得し、サブリナは「俺が肉弾戦をしないのなら」と認めた。

 ここまでが作戦実行日の四日前の出来事。目を覚ましたのが前回の翌日で、一週間に迫っていた期限はあと三日と半日に迫っている。

 心臓はずっと痛いままだ。鼓動を打つたびに胸を押さえてうずくまりたくなる。それでも戦わなければいけない。

 

「ペルシカ女史から、解析結果を聞いた」

「パーサのダミーのデータだな」

 

 俺たちが倒した二体目のパーサのダミー、その骸は雑魚の掃討を行った後の人形部隊が回収していた。胴体はボロボロで電脳が収まっている頭もあまり原型をとどめていなかったそうだが、かろうじてダミーリンクの情報や敵の作戦情報などを抜き取ることは出来たらしい。

 

「パーサのダミーリンクの数は三。履歴は一番最初に倒して物も更新されていないから、数は増えていないとみている」

「だから、ダミーと本体で合わせて二体。しかもその内一体はVAGのケースレス弾を喰らっているってことか」

 

 大きく深呼吸する。

 手負いのパーサとなら、今の一六式でぶちかませるだろう。無傷の相手は少し難しい。それも二部隊は居る人形部隊が相手をしてくれるはずだ。

 厄介なのは他の雑魚人形が数に任せて押し寄せてくることだが、その心配も次の情報で薄れた。

 

「各戦線やグリフィンの各基地から戦闘が始まっているという情報が回っている。パーサの命令ログを確かめてみれば、大規模な攻勢を行っているらしい」

「つまりパーサへの攻撃は?」

「最初の二部隊以上の戦力は投入できないそうだ。それでも、やれるか?」

 

 一度一六式の方向を向く。準備のために座席に入っていた家族たちがハッチから顔を出した。

 

「やれる。やってみせるさ」

 

 作戦開始は二日後だ。

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