鉄騎兵と戦術人形   作:ケジメ次郎

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うそ、俺の会社ヤバすぎ・・・?2

「頑張ってたんだな」

 

 目頭が熱くなって手に持っていた書類を置く。内容は俺が居ない間の業務内容や会社の経営だ。

 俺が動けなくなって今日までに大体十か月。

 

「赤字ギリギリだけどな」

「いや、すげぇよ。一六式があの状態で時々黒字すら出してるなんて」

 

 一六式は主砲の換装をする資金がなくて装甲モジュールなどの換装を黒字のたびにやっているようだった。元々のMCVとしての威容はない。それでもなんとか依頼をこなしているのはひとえに乗員達の努力だろう。

 装填手のサブリナが車長席で周囲警戒。ジョージが無線機を操作して指揮を行い、マイクは自分でナビゲートする。自分たちの職務を超える仕事をこなし続けていたのが、俺が戻ってくる場所を守るためだってんだから、泣くのをこらえるのは無理だ。

 

「サム。それで一つ話があるんだが」

「俺も一応治安維持の時ぐらいは出張れるぜ?」

「違うんだ。我が社・・・G-MCVカンパニーは名前の通りグリフィンの子会社だ。契約上、グリフィンからお前を招集すると言われたら断れない」

 

 ついに呼び出されたってことか。俺はこっちで働きたいんだけど、戦術人形である立場上文句も言えない。

 

「サムを送り出してもこっちはグリフィンから護衛とか雑用をそこそこの単価で割り振ってもらえるからいいんだけど、主砲を換装したいのよぉん」

「資金を稼いで来い、ってことな」

「サムの旦那が居なくてもこっちは持たせられるからさ!」

 

 ジョージとマイクはMCVカンパニーの事は心配するなと肩を叩いてくる。

 ここまでやってきているのだから当分は心配する必要もない。それでもなんとなく仲間外れになったような気がするのは俺が我儘だったからだ。

 

「分かった。お前らを信頼するよ」

 

 前を向いて仲間たちの目をしっかりと見た。

 一人だけずっと俯いている。機嫌でも悪いのか肩をわなわなと震わせていた。

 

「・・・サブリナ?」

「なに」

「大丈夫。しっかり帰ってくるって」

 

 一人涙をためて目の周りを赤くしていたサブリナがキっと睨んでくる。俺はソファから立ち上がって傍に行き、両手を広げた。

 いい加減どんなテンションなのかもわかっているし、サブリナがこういう表情をするときは感情を持て余している時なので対応も手慣れている。

 

「次はないからね・・・!」

 

 ポンポンと背中を摩ってやれば次第に声は収まっていく。全く姉だなんだと言うくせに甘えん坊なのはサブリナの方じゃないかっていう言葉は飲み込んだ。

 

「あ」

 

 なんだか嫌な音がした気がする。というか聞こえた。優しく摩っていたはずなのに。

 

「さ~むぅ~?」

「悪気はないんだよ!」

 

 多分サイズが小さくて今にもはちきれそうになっている下着のホックがものすごい音を立てて弾けたのだ。マイクは鼻血を出してるし、ジョージとボスは部屋から出ていった。あ、マイクが慌てて出ていった。

 

 

 

 

「あー酷い目に遭った・・・」

 

 未だに横隔膜がいたい。

 何されたかって?サブリナにお仕置きという名のくすぐり攻撃を受けていたのだ。二十分ぐらいも受けていたせいでお腹が痛いし、ボディが排熱しようとして肌がほんのり健康的になった。

 

「サムが変なことするからじゃん」

「故意じゃないし・・・」

「言い訳する悪い妹はお仕置きだー!」

 

 だから妹じゃねぇ!

 なんて傍から見ても、事実的にもじゃれ合っている俺たちを見る目線は暖かい。特にボスなんて顔が緩んでやがるのだ。

 

「げふん。仲が良好なのはいいことだけどな?まずは仕事の話をしてからにしてくれ?」

「はーい」

「わぁったよ・・・」

 

 離れようとしたらサブリナが肩を掴んで、そのまま膝の上へと抑えてくる。立ち上がるところを掴まれたので俺の背中に大きな果実があたり、そのまま両手でロックされた。

 もう好きにしてくれ・・・

 

「サムが出稼ぎに行くのは、新しく設置される後方基地だ」

「ってぇなるとそこの指揮官の指示に従うんだな?」

「あぁ。基地まで少し遠いからその日は一六式で送ってく」

 

 ボスから渡されたグリフィンの命令書を流し読みして内容を掴む。

 後方基地は本当に最近作られたばかりの基地で俺の指揮官の元には三体しか人形が居ない。主な任務は治安維持。

 VAGの弾薬や予備含めた本体は基地に行く前に受け取るらしい。

 

「ま、なるようになるだろ。頑張ってくるぜ」

「サブリナとデートに行くなり、マイクと酒飲むなり、ジョージと買い物に行って着せ替え人形になるなり一週間好きに過ごしてくれ」

「ボスは?」

「・・・あのなぁ。俺はそんな年でもキャラでもねぇっての」

「えー」

 

 つまんねぇの。ボスの弱み掴んでやろうと思ったのに。

 

「そうだ!サム、リンヤオちゃんに会いに行こうよ!」

 

 サブリナが嬉しそうに提案してきたけど俺はあまり乗り気じゃない。こんな姿になったなんて妹が信じるはずないしなぁ。

 兄を騙る人間が出てきたら包丁を投げつけるレベルに怒るだろうし。

 

「大丈夫!リンヤオちゃんだって分かってくれるよ!」

 

 そんなサブリナの猛烈な圧しによって妹に会いに行くのが決まった。

 受け入れてもらえるか?




VAG-73ボイス
挨拶「よっ指揮官!頑張ろうな」



次回予告
過激になる妹、何故か酒に酔っているサブリナ、震えるVAG(サム)
「こんなの兄貴じゃない!(ドンガラガッシャーン」

クッソ短くなりそう。まぁ二章の部隊配属からがシーズンツーなので。
あとタイトルは某ヤンデレ妹~のCDのオマージュ。
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