鉄騎兵と戦術人形   作:ケジメ次郎

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前回の予告とやや話の内容が変わっています。

実のところ前回までは詳細な内容を考えていたのですが段々ネタ切れが近くなってきたのじゃ・・・

それはともかく人形が増えたりする2-2の始まり~


2-2「治安維持小隊の日常」
なんか犬っぽい1


 

 ゆっくりと深呼吸。空間に意識を集中させ、空気のゆがみすらもセンサーに感じる。心の目には敵の位置と敵の動き、予想位置が見え始め、ホルスターから銃を抜いた。クルっと手の中で回す。

 扉の前に一人、窓の外に一人。同時にエントリーしてくる。

 得物はコルトSAA・・・を模したエアガン。撃ちだすのはBB弾だ。

 

「ぎゃん!?」

「きゃっ!?」

「あだっ・・・」

 

 窓の外から少し早く入ってきたSAAとの早打ち勝負に勝ち、扉の方の416からの射線を飛んで回避して置き撃ち。

 しかしどちらもほぼ同時に撃ったようでSAAが使っているアサルトライフルと416の使うハンドガンのBB弾が当たった。

 人間ではありえないスピードの勝負。最適化された戦術人形のセンサーと処理能力、そして駆動システムのおかげで精神が人間の俺も何時の間にかハイレベルな戦いに慣れてきた。

 

「そこまで。ブリーフィングルームに集合」

「・・・ふぅ」

「コーラが飲みたーい・・・」

「あと少しの我慢よ」

 

 キルハウスに電気がつく。アイウェアを外した俺たちは慣れない武器の安全処理を施していった。

 コルトSAAは独特な構造故にリロードが面倒。

 SAAは身長不相応な長さのアサルトライフルの装備類の感触に不満気。何もつけていない銃と416の趣味が入ったアクセサリマシマシのそれになれないようだ。

 416は、完璧に扱っているようだがしっくり来ていない。

 今日の訓練は俺たち突入組がそれぞれの武器の特性を確かめるという趣旨のものだった。

 俺がリボルバーとアサルトライフルを、二人もそれぞれ別の二人の武器を持ち換えて数戦の戦闘。勝ち負けは決まらず、それどころか全員が全員ASSTのない状態でそれなりに出来てしまって、互角の戦いとなっていた。

 今日はWAは副官で指揮官の傍に居る。

 

「皆おつかれ。ASSTなしでもやれるかどうかを確かめること、それぞれの武器の特性を把握すること、今回の訓練の目的を理解できたね?」

「えぇ。サブアームもしっかり使いこなすようにしないと」

「アサルトライフルもオートマチックのハンドガンもこんなに取り回しが悪いとは思わなかったですよー」

 

 416は普段からサブアームの拳銃を持ってるけど使っていることは見たことがない。時折シューティングレンジで撃っていることはあるが、咄嗟撃ちの時の精度はよくなかった。

 SAAに至っては自身の半身に慣れ過ぎてヘロヘロだ。オートマチックの拳銃でガンアクションして自爆してたのは何も庇えないけど。

 

「俺もVAG以外の武器を持てるようにするかなぁ」

 

 正直VAG-73は、重い、フルオートの精度が悪い、連射に向かないと距離が開いた時の使い勝手が悪い。

 

「「「あと、もう少し戦力が欲しい・・・」」」

 

 俺たちの意見は一つだった。安全な地域の治安維持が任務とは言え、普段の巡回ローテーションすら組めない人数。数度の制圧任務では対象の数が少なかったので問題はなかったが、正直なところ制圧任務をこなすとしたらもう一小隊ぐらい欲しい。

 

「製造はもう少し待って欲しいんだ・・・一応使える資金も出てはきたけど、人形を一気に増やすのは難しい」

「少しずつ増やしていっちゃダメなのか?」

「一体一体の申請は中々通らないの」

 

 俺がぼやけばWAが現実を突きつけてきた。副官として何度も申請が断られたのを見てるんだろうなぁ。

 

 

 

 

「VAGー、コーラはー?」

「ちょっと待て。あと少しで飯だから」

 

 今日の夕飯当番は俺。庁舎の食堂もあるにはあるが、指揮官と違って一般職員からすれば配給で済ますことのできる俺たち戦術人形に対する目がキツイ。小隊の予算の中に食費もあるので宿舎のキッチンで自炊しているのだ。

 料理の腕は・・・416が一番レパートリーもあって凝った料理を作る。意外や意外、SAAは二番目で普通の料理が出来た。その次に男の自炊飯よりはいくらかマシな俺が入る。WA?過去にダークマターを生成した前科で皆に止められていた。

 

「おーいWA、皿並べてくれーってナニ見てんだ?」

「な、な、な、何でもないわ!?」

 

 宿舎のモニターに食いついているWAの顔が柔らかい。指揮官に褒められでもしたのかと思ったけど、視線の先を見れば納得が行った。

 

「ワンコかぁ」

「違う、違うの!これは広告よ!」

 

 必死に隠そうとしなくても、普段つんけんしてるWAが可愛いもの好きとは武器になるはずだ。ギャップってのは時としてすごくキュンキュンするからな。精神は男なので、経験談。あの朴念仁がときめくかは知らない。

 

「でも犬か」

「シーツ乾いたわ」

「おーもう飯できる」

 

 布団に掛けるカバー類の山を持って416が帰ってきた。出来上がったパエリアを出してSAAのコーラを用意すれば、全員が卓袱台につく。別に日本系の人形でもないのに卓袱台って割と辛いんだけど、誰も見てないとクッションだったりを敷いて足を開いて座っている。流石になれた。

 

「それで、なにを企んでいるの。VAG?」

「K9だよ」

 

 「K9」それは特殊な訓練を受けたイヌの事を示す。もちろん本物のイヌを使うのは戦術人形よりもコストがかかるので手が出せない。

 自分に与えられた携帯端末に画像を表示して机に置いた。

 

「鹵獲ダイナゲートの改造・・・なにこれ」

「面白そうだろ?」




VAG-73ボイス
後方支援完了「いやぁ疲れた疲れた。どうしたんだ、そんなに長い時間離れてないだろ?」



評価等ありがとうございます。一回確認しただけですけどランキングに入ったぜ。
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