鉄騎兵と戦術人形   作:ケジメ次郎

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密着グリフィン24時 薬物の流通ルートを絶て!3

 時間は夕暮れに近い。ポインターを引き連れてやってきたのは基地のある地区にほど近いスラム。おんぼろなアパートや崩壊しそうな建物の中や路地にあるトタンハウスを横目に最深部へと進む。

 

「これが見えないの?」

「「ひいっ・・・」」

 

 416が体目的に絡んできた柄の悪い男たちに銃を向けて追い払っていた。最初は俺にもちょっかいをかけていたが、スカートの中に手を突っ込まれて下着を脱がされた余りに一発手が出てしまって、その影響か近づかれない。その余波を416が受けてしまっているが。

 

「ポインターの嗅覚センサーでもダメか・・・416、手掛かりなしだ」

「そう。一度ヘリに戻りましょう」

「このスラムに入ってきてるのは分かってんだがなぁ」

 

 どんよりした雲が発生し始めた茜色の空を仰いだ。こちらの動きがバレてブツを隠滅されてはたまったものじゃない。嗅ぎつけたのをバレる前に踏み込みたかったが、無情にも時間は過ぎていく。

 露店に残っていた店主の男の私物の匂いを頼りにポインターを使ったが、腐臭と激臭に囲まれているスラムではキツイものがあった。

 416がインカムで戻る旨の報告をして俺たちは来た道を戻る。

 

 

 

 

「どうだった?」

「反応なしです」

「というか他の匂いが強いせいでセンサーが機能してないんだよな」

 

 申し訳なさそうに伏せるポインターのボディを撫でつつ、自分のアイセンサーで確かめたいくつかの報告をした。

 

「スラム内ではドラッグ使用者は多くなかった。居ないわけでもないけど。一応聞きこみもしてみたけど、確証を得ることは出来ない」

「ただ一つ。このスラムにいる人たちは科学ドラッグビジネスを悪いものだと思っていないみたい」

 

 だからこそ、詳しく知っているものは隠しているのだろう。自分たちが情報を漏らしたくないという事情がある。

 

「それは・・・ビジネスのグループが義賊扱いになっているってことだよね?」

「なんとなくそんな気がする」

 

 このスラムに科学ドラッグの売り上げでなんらかの経済効果をもたらしている可能性は否定できない。売り子に輸送役、人を出していることもありえる。

 スラムの住民の反対意見なんて地区の役人にとっては痛くも痒くもなく。更に言えば腫物が過ぎているので俺たちグリフィンも触れない。スラムと地区では扱いが違うのだ。本来、人道的なことを考えればスラムにも地区が手を入れるべきだが、荒廃したこんな世界では自分たちの生活に一杯一杯で救いのを手を差し伸べることは無理だった。

 そうは言ってもスラムの住民から情報がなければ、拠点を見つけ出すことは難しく。確保に当たっても邪魔される可能性があり、逃走を支援されてしまってはどうしようもない。

 

「難しいな・・・少なくとも僕たちの規模じゃこの捜索は難しいと思うんだ」

「甘ったれたこと言わないで。私たちがやるしかないじゃない!」

 

 気が弱くなった指揮官をWAが鼓舞する。

 

「きゃっほー!これかもしれませんよ!」

 

 解決する糸口は見つからないままだったところに、ずーっと端末で調べ物をしていたSAAがドンと画面を見せてきた。手にはコーラ。眼鏡を掛けている。イメージと違う。

 

「これは・・・スラムの下の地下洞道図?」

「すげぇな・・・三次大戦前のやつじゃねぇか」

 

 端末に表示されている図は地面に埋まっている下水道やそれにアクセスする横穴、色々な地下通路を埋めている高さを色で、位置を線で表している。

 スラムになっている地域は元々繁華街。インフラ類は豊富だった。街は壊滅しているが地面の中の穴はそこまで壊れていない可能性が高い。

 

「スラムの中心に近づいていくにつれて下水道は大きくなっている・・・この辺りなら川の跡の下水道の出口から大きなモノを運びこめます」

「科学ドラッグ精製工場を作るにもピッタリってわけね」

 

 416とWAが冷静に分析していくのに合わせて指揮官の顔にも闘志が戻ってきていた。

 

「コーラちゃん、ありがとう。こっちの方向で考えてみよう。416、VAG!偵察を頼む」

「「了解」」「ご褒美はコーラでお願いしまーす」

 

 下水道か。使われなくなって時間が経っているけど匂うんだろうなぁ。

 気が滅入るが、VAG-73の銃身側にコンドームをつけて銃口を保護。

 

「416、銃口カバー、パース」

「ありがとう」

「そうやって使うのね・・・」

「ん?なんか言ったかWA」

「な、なんでもないわ!」

 

 確かに本来の用途とは違うしな・・・

 俺も新兵の頃に砂漠戦に行く先輩たちが箱のそれを持っていくのを見て誤解していた。使ってみればあっという間に虜になったけどな。

 コンドームのなにがいいかって?砂や水からは銃身の中を守り、いざという時の発砲時には弾丸を拒まず破れてくれる。銃口カバーとして素晴らしい。

 この小隊では416が以前から買っていたらしいものの、市街地戦ばかりだったので他のメンバーは使っていないらしかった。お前らもこれから虜になるんだよ。

 

「416とVAG、偵察に出発します。帰還時刻は2100ピッタリ」

「気をつけて二人とも」

「大丈夫さ。ヘマはしない」

「私を誰だと思っているんですか?」

「それでも、だよ」

 

 指揮官は随分と心配症だ。




VAG-73ボイス
誓約(オリジナルを元にした別の個体.ver)「えぇっと、冗談・・・だよな?いや、悪いわけじゃないんだ。ただ俺って元々男だし・・・こう、さ・・・抵抗感あるだろ?は?!それも全部好きだって?!ば、ばか・・・いや・・・考えてはやるよ・・・」

誓約(サム版)「あぁっと、ありがとう。その気持ちは嬉しいけど他のやつに回してくれ。俺なんかよりもっといい相手がいるさ。それに俺は好きな相手がいる」


偵察シーンはカットで次パートは突入シーンじゃよ
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