鉄騎兵と戦術人形   作:ケジメ次郎

64 / 157
作者は調べに対し
「TSっこの精神が男の状態で可愛い恰好をさせたかった」と供述しており、本来幕間扱いになる予定だった話を二話構成にしたことは「やむを得なかった」と反省の色がありません。
近くサブリナとVAGちゃんによるタコ殴りの刑に処される模様です。

なおサブリナさんは
「このスキン?もちろんサムに着せるよ。いや~妹がこんなに可愛いと色々な服を着せたいね!」
と嬉しそうな表情でVAGちゃんを引きずっていきました。

現場からは以上です。


こう思わせぶりな選び方だけど発送した時には特に考えてなかった
あとこの話読んだだけでスキンのモデルが何か分かる人は・・・居るだろうなぁ


スキン「可愛面包店」1

「行かないでぇVAG」

「大丈夫。お前なら待てるはずだ・・・だからまた明日、な?」

「いやだいやだー」

 

 近くの町にある孤児院。基地から歩いて二十分しかかからないので毎日のように通い詰めている。

 お別れのハグをすると、男の子は全く離れなかった。

 

「さみしがりやだなぁ。お前は強いだろ?大丈夫。待てるハズ」

「だけどぉ」

 

 子供は銀行立てこもりの計画犯の息子。DVによって憔悴した母親が育てることは不可能だと判断され、両親が生きているにも関わらず孤児院に入ることになった。

 あのまま父親に暴力を振るわれていても、思いつめた母親と無理心中をしたとしても、良い未来はなかった。それでも実の親から引き剥がした事実は変わらない。

 こういう仕事をしているといつもジレンマに襲われる。

 助けることが仕事だが、助けたあとのことには関知できないのだ。サブリナは例外で、俺が助けたことで更に苦しむようになった人も居るのは知っている。

 何が正解なのか。長い間特殊部隊に勤めていた隊長ですら正解はないと言っていた。それでもこの仕事は助けなければいけないのだ。それが仕事なんだから。

 小さな背中を摩ってやっていると、頭の中がショートしそうになってきた。

 本当にこの子は幸せなんだろうか。暴力や危険から離れて生きているというのは幸せの概念に入るだろう。ましてや死ぬなんていいことじゃないと思う。これから先、この子がどんな鎖を持った状態で、他人よりもハンディを背負った状態で、良い生活を送れるかなんて考え始めるとキリがない。

 

「ぜぇったいに、また来るから。またね」

「・・・またね」

 

 頭を撫でてもう一度抱きしめた。

 さて、行くか。いい加減416も怒ってるだろうし。

 

「遅いですよ」

「悪かったって」

 

 俺たちには普段砕けた口調の416が無表情で敬語の時は大概機嫌が悪かった。

 416が俺を探しにくるために使ったウラルのサイドに乗り込み、空を見上げる。

 いつも通りすっきりしない、青色とはかけ離れた空だ。

 

「貴方らしくないわ」

「情を移し過ぎだって?」

 

 それは分かってる。

 分かってるけど、御しきれないんだ。あの子供を昔の自分に重ねてしまう。

 親を失った状態で生きていくのが辛いのは少しは知っているつもり。俺とリンヤオの場合は莫大な遺産の元手があったけれど、それでも常に生活のハードルは高かった。

 

「本当にソレでいいと思ってるの?」

「分かんねぇよ。それしか思いつかないし、それを最善だと信じてる」

「傲慢ね」

 

 俺なんかの情であの子が幸せになるわけじゃない。

 むしろ俺という存在に依存させてしまっているようなものだ。孤児院の人間が言っていた、普段は怖いぐらいに静かで感情も見せないあの子が、甘えん坊になって笑うの俺の前だけだと。

 これは救済じゃない。俺の我儘なんだ。

 

「そうやって分からない感情に迷うのは本当にあなたらしくない」

「貶してる?」

「違うわ。見た目相応の精神構造になってきたってこと」

 

 もしかして思考がボディに引っ張られてる?心までオンナになるのは絶対に嫌だ。

 

「いつかは離れるんだしな」

「早く行動しなさい」

「考えてみる」

 

 それからの数分の道のりはお互い特に話すこともなく無言だった。

 マジで思考がオンナになってきてたりしてないよな?ペルシカのアマのことだからそういう機能をつけかねんぞ?

 

 

 

 

「・・・で、俺を呼び出した理由が服?」

「明確に言えば制服、よ。IOPがスキンを送り付けてきたの」

「おかしい」

 

 段ボールを開けるとそこには青の膝丈スカート。白いブラウスはいつも着ているのとあまり変わんないけど、ワンポイントに青の蝶ネクタイ。青白チェックのエプロンドレスにあと色々。

 

「スキン名は・・・可愛いパン屋さん?」

「パン、これパン関係なくねぇか?」

「そうね。ま、着てみましょう」

 

 え?

 416が服を持ってにじり寄ってくる。後ずさるものの宿舎の部屋は狭く、すぐに壁にぶつかった。

 

「やめろォ!着る!自分で着るから!待って脱がすな!馬鹿、やめろ、やめろください、やめてください、ごめんなさいごめんなさい、待って本当に!!?!?」

 

 なんで416はノリノリなんだよ。たかが服なのに着替えさせられるとかメンタルブレイクしそうになったわ。

 

「コーラコー・・・ってVAGちゃんとっても可愛いですね!」

「か、可愛いとかやめてくれ・・・マジで恥ずかしいんだから」

 

 SAAが部屋に戻ってきて感想を伝えてきた。訓練終わりなのか汗をタオルで拭っている。

 いつもの服の方がスカート丈とかガーターとかの関係上性的な感じだけども、あれにはいい加減慣れた。だからと言って女物に慣れてるわけじゃない。

 

「さ、指揮官のところに行きましょう。VAGちゃん?」

「416その呼び方はやめろ、頼む。って待てマジで行くのか?!待て待って、心の準備ができてないから腕引っ張んな!」

 

 着替え終わった俺の姿を見るなり416のテンションは明らかに上がっている。ボディの出力で勝てない俺はずりずりと引きずられていく。

 これ本気で指揮官のところ連れていかれるのか?さらし者にするのはやめてほしいんだけども。




VAG-73ボイス
人形製造完了「おっ新入りかー。しごきすぎんなって?分かってるって」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。