鉄騎兵と戦術人形   作:ケジメ次郎

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思わせぶりなスキン名とバックボーンだけど、本当に○戸屋スキンをVAGちゃんに着せたい一心で書いたので他意はなかった。結果的に…ね…うん。


スキン「可愛面包店」2

「えぇっと、VAG・・・?」

「見んな・・・見んなって・・・」

 

 明らかに指揮官が戸惑っている。

 ほれ見ろ。だから見せたくなかったんだ。俺なんかがこんなに可愛い格好したって変になるに決まっていた。

 エプロンドレスの裾をぎゅっと握りつつ、俯く。あとで416はこちょこちょの刑に処すと決定。

 

「執務中になにしにきたの・・・ってVAG?ナニその格好」

「俺だってこんな姿見せたくなかったよ」

「すごくいい!・・・じゃなくて、スキン?」

「あぁ」

 

 WAがデータルームに入ってきて俺の姿を確かめるなり目を輝かせた。咳払いして取りなおそうとするが、WAにギャップがあることは皆知っている。

 

「その、凄く似合っているよVAG。うん、綺麗だ」

「ばっ、おまっ・・・何言いやがる!」

 

 なんで指揮官は褒めてくるんだ。いっそ罵ってくれた方がよかった。誰か俺を殺してくれ・・・

 

「しかし神〇屋かー」

「コ〇ベヤ?」

「その制服、僕の故郷にあったパン屋の制服とそっくりなんだよね」

「マジでパン屋の制服なのか」

 

 指揮官の故郷は名前の語感通りに日本だけれども、あの国の人間の考え方はよく分からない。

 

「それで〇戸屋の服って可愛いって話題になって、ネットでイラストとか結構上がってたらしいんだよね」

「それをIOPのやつらが見つけて・・・」

「そうだろうねぇ」

 

 俺なんかより416やWA、SAAの方が似合うだろうに。多分サブリナはもっと似合う。ジョージ?いや論外だろ。女装するけどあれはヤバいぞ・・・

 

「もういいだろ!俺、着替えてくるから!」

 

 勢いよく扉を閉めて廊下を駆ける。一つ先の角に曲がったところで深呼吸。

 おかしい。なんで俺は指揮官に綺麗だと言われてドギマギしているんだ?俺は男で、指揮官も男。カッコいいって言われるのだっておかしいぐらいなのに、言われて嫌にはならなかった。まるで女の子が好きな男にデートの服装を褒められたかのような・・・

 いやいや俺は男だぞ?

 ボディの奥底にある前提という雑草が、俺の精神というアスファルトを食い破って生えてきているのか?

 VAG-73という人形はワンオフだが、その実寄せ集めで作られている。

 VAG-73とASSTでエッチングされて作成されたボディの時点では俺という存在がない。その上、コアは鹵獲されてしまったサブリナのコアをベースに大規模改修して戦闘経験を反映していた。だからサブリナは俺の事を妹だと言うのだ。戦闘経験とか運用を反映するのは姉妹機のさだめだった。

 VAG-73の肉体と俺という精神は時折乖離する。

 今回もVAG-73側の感情なんだと理解、いやそう決めた。そうだ。そうに違いない。そうでもなきゃおかしいんだ。

 

 

 

 

 ヤバイ。

 

「どうしたのよ」

「416?!いや、なんでもない!」

 

 後ろから話しかけられて読んでいた手紙を隠した。別に後ろめたいことがあるわけでもないんだけど。

 

「ポインター・・・はぁー可愛い」

 

 WAはお座りしているポインターにメロメロだ。

 SAAはいつも通りコーラを飲んでゲームをしている。

 

「隠し事をするなとは言わないけど。私たちは小隊の仲間なんですよ?」

「そう言えばーどうしてあたし達は分隊規模なのに小隊呼称なんですかー?」

 

 俺の気まずそうな表情を拾ったのか、SAAが話題を逸らした。

 言われてみればそうだ。十人にも満たない俺たちの規模だと分隊の呼称が正しい。人形四、五体で小隊扱いされることもあるが、それは編成拡大をしてダミーを繋いでいるパターンだ。俺たちは任務の特性上、ダミーを使うと完全に自律させてしまいがちになるのであえてリンクさせていない。

 

「予定が十体だから、ですよ」

「なるほどな。でWA、製造依頼はどんぐらい掛かるんだ?」

「わんわ・・・?・・・ッ!・・・えっと依頼は三体ずつ。多分来週ぐらいよ」

 

 一応聞いていたのかちょっと時間を置いて返事が返ってきた。

 今更WAが犬の鳴きまねをしてポインターに抱き着いてるぐらいで俺たちは何とも思わないから取り繕うとしなくていいと思うんだけど。

 最初は三体増えるのか。

 

「これで巡回が楽になるといいんだけどなぁ」

 

 そうなるとためらうことなく非番に外出できる。今すぐに出掛けるわけじゃないけど、外出したいという希望はある。サブリナからの手紙を読めば二週間後に、一六式がこっちの方に仕事に来ると書いてあったから。

 久しぶりに皆に会える。なんとか会いたいと思っていた。

 

「これは・・・オンナですかねー」

「ちょっとSAA・・・?」

「多分そうでしょう。あら?殺しのこと以外は分からないようね」

 

 WAの両隣に二人が陣取って何か囁いている。

 

「そうだ、416」

「はい?」

「俺さ、昼間の事はかなり根に持ってるんだよな」

 

 卓袱台越しの足を掴み、手元に寄せる。416の両手は他の二人によってロックされた。こういう時に全員のノリがいいんだよな。自分がやる立場にある時もあるし逆もあるってのがいつもの流れだから。

 

「ちょ、ちょっと待ってください」

「お前は最後にくすぐると約束したな」

「そうだ大佐助けて・・・」

 

 約束したわけでもないし、俺は大佐でもない。元伍長だ。

 あの映画は宿舎で流したからこのネタになっている。

 

「あれは嘘だ」

 

 416の黒いソックスに包まれた足の裏をくすぐってやれば、悲鳴がこだました。




次回予告
指揮官に呼び出されたVAG。いつもとは違う雰囲気で渡されたのは・・・
次回「君/お前のことが」


感想返し
「サブリナとか妹に開発されて精神が(この記述は削除されました。
そうそう、SPASはあの厳ついフォルムがすこ。
出るとこ出て、引っ込むところは引っこんでる。サブリナは実銃を元に書かれてる可能性微レ存?」

姉?妹?「おまえも家族だ」おっとどこからかアップを始める音が聞こえてきた…そう言えばサム君…
SPASのフォルムまさに戦術人形って感じで好き。服のデザインすこすこだしすごく似合ってる。あのおっぱいもまさにデザインの黄金比って感じで完成されてるよね…


感想とかで応援くれると作者張り切っちゃう!

そんなわけで感想とかその他諸々いつもありがとうござい
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