鉄騎兵と戦術人形 作:ケジメ次郎
凄く断りづらい・・・なんというか断るって気持ちは決まっているけれど自分に対して真剣に向き合ってきているのが分かっていて、この告白のために出した勇気だってとてつもないものだと分かるのだ。
「・・・ダメ、だよね」
「あぁ。気持ちは嬉しいけどな」
それだけ俺の事を信頼してくれているのだ。
「俺ってグリフィンからの貸し出し状態だし、いつ帰還命令が出るかわかんない」
「それはどうにかする!」
俺は小隊の一員とは言え、いずれ別の人形が来るまでの代理だし。WAは知らないから人形の定数が十体だと言っていたけど、違うんだ。九体の人形と一人の指揮官、それで小隊なんだ・・・
「あと俺は指揮官の事ずっと弟分みたいに見てたし」
「そう・・・だよね」
指揮官の事は精神年齢的に年下だった。
「それに俺は、中身男だから」
「そんなの関係ない!僕はVAGの事が好きなんだ」
「す、好きって・・・」
そんな真っすぐに好意を向けられちゃ、もっと断りづらい。
「例えどんな障害があろうと、絶対に乗り越えて引っ張り上げて見せるし、一緒に乗り越えたい!」
指揮官の気持ちは本気なんだ。
俺の行動がどんなふうに影響していたのか全く分からなかった。俺はいたって普通にしていただけだ。
「すまん。俺は人間の頃から心に決めた相手が居るんだ」
「そうか・・・このことは忘れてくれ」
指揮官は涙を隠そうと背を向けてくる。それを慰めるのは俺の仕事じゃない。だけど、俺だからこそ伝えるべきこともあった。
「指揮官、お前が気持ちを伝えてきてくれたのは素直に嬉しい。勇気を出したのも、その思いも合格点だ」
だから、もっといい相手を選んでくれ。
そんな言葉は言わなくても伝わっている。向けられている好意にはいい加減気づいているはずだ。
宿舎に戻ると、キッチンのシンクでマーライオンになっていた416が不審そうな顔を向けてきた。その三秒後にはもとに戻っている。
ロクヨンとウェルロッドが酔いつぶれてG36がそれを敷布団にセット。WAは赤ら顔でポインターを抱きしめて、SAAは未だにコーラを呷っている。歓迎会の最初で俺の事情もカミングアウトしたけどこれは忘れてるかもしれない。
部屋の端の方まで歩いていくと詰めていた呼吸が再開した。
「あぁー・・・マジで・・・びっくりしたじゃねぇか」
「どうしたのー?」
「SAA、何も言わずに・・・」
「もー、VAGちゃんが甘えん坊なんて珍しいー」
クッションの上にあるSAAの綺麗な太ももに頭が収まる。絵面はチビっこい少女の戯れだが、中身は三十路のおっさんだから犯罪確定。
416がかーちゃんみたいなポジションだし、WAは指揮官の母親みたいな感じがあるが、精神的なあれこれが成熟しているのはSAAだ。時折あの二人も膝枕されてたりする。流石1873生まれ・・・
▽
「いい加減慣れたな・・・これ」
髪を撫でつけ、鏡で恰好を確かめる。
今日は肘のサポーターやガーター、戦闘用の装備ベルトも持っていない。護身用に前後マガジンの内片方二十四発だけ入れたVAGをスカートの下のホルスターに入れているだけで、あとは制服なんだけど。
昨日の今日で、指揮官と顔は合わせづらい。だけど俺は非番だし、近くにはサブリナ達一六式が来ているのだ。落ち合う予定はしているし、外出届だけは出しに行かないといけなかった。
「おはようございますVAG」
「おう36おはよう。指揮官のところか?」
「いえ。既に朝食を用意しにいったところです」
着任してすぐにメイドとして働くのはすごいなぁ。と素直に褒めると睨まれた。嫌味くさかったか?
「皆さんの分も宿舎の食堂にありますので」
「ありがとう。あ、全員起きてるから呼んできた方がいいか?」
宿舎の部屋に顔を出すと既に目を覚ましている全員がのそのそと動き始めている。特にロクヨンとウェルロッドは随分と疲れているようだし、SAA・・・はいつも通りだけどWAは寝ぼけてポインターじゃなくて座布団を撫でまわしている。416?一番ダメージが出てる。さながらゾンビ。
「どうして皆さんアルコール分解機能を使わないのですか?」
36の言葉に全員がハッとしている。その手があったのか!みたいな感じ。すっかり考えから抜け落ちていたようだ。
俺と36は機能を使っていたんだけども、WAと416は酔いたいから使いたがらないし、ウェルロッドはその酒乱どもとの飲み比べで速攻に落ちた。ロクヨンは・・・アルコールジュース缶一つで落ちてたような気がする。
「今日は部隊の休みだけど、外出するのは誰?私は出ていきますけど」
「俺もだ」
「あたしは指揮官の傍にいまーす!」
「私も残るわ。非番じゃないの」
「私はファイルの整理が・・・」
「家事とご主人様のお世話をさせていただきます」
「私は日用品とか揃えたいのよね。ウェルロッドと36の分も用意したいし」
今日は部隊自体に任務が与えられない。よっぽどの大事件でも起きない限りは非番招集はされない部隊休日だった。IOPから来たばかりの三体の準備もあるし、本来は部隊の整理をつける一日の完全休日なのだ。
完全とは言っても指揮官と副官は仕事があったりする。それに一部はあれこれ理由をつけて指揮官の傍に居ようとしていた。それでロクヨンが他の二人の日用品を買い出しに行くと割りを食っていたけど。
「それじゃあ外出者は外出届を忘れないように」
「あいよ」
「了解」
新キャラ掴むのが大変なんじゃい!!!
64式自!早くCVとセリフを得てくれぇ!
あ、64式小銃と64式7.62ミリ狙撃銃はチークパッドとかスコープの有無で違うだろって?裏で改修される予定なので・・・
ここの416はアンダーレールにブリーチングショットガンとかよくわかんないことにしてるけど彼女はアクセサリー妖怪という裏設定もあったり・・・どのぐらい重症かというとキルハウス訓練でガスガンのコルトSAAの銃身左下に結束バンドでフラッシュをつけるぐらい・・・