鉄騎兵と戦術人形   作:ケジメ次郎

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前回のガバ
・次回予告を貼り忘れる
・そもそも今回のタイトルも変わっている


スキン「奉仕技術習得」

「ロクヨン、狙いが甘いわ!もう少し早く確実に狙う努力!」

「はい!」

 

 屋外に用意された長距離射撃場の方を眺めてみれば、狙撃仕様に改造された半身で動く的を狙うロクヨンとそれを叱咤するWA。今は416と36が指揮官の傍に居る。SAAは非番。そんなわけで余り物の俺は、ウェルロッドと格闘訓練に勤しんでいた。

 

「WA達は励んでるなぁ」

「余裕かましやがって・・・リベンジします!」

「・・・白か」

「ぶっ殺す!」

 

 ウェルロッドは随分口が悪い。俺のせいなんだけど。

 相手はさっきまで取っ組み合いをしていて地面に倒れ伏していたものの、すぐに立て直してゴム製ナイフを喉元に向けて投げてくる。スウェーで回避したところを足払いされた。

 仰向けになったところでマウントを取られそうになる。飛びついてくる様子は、怒りによってブーストがかかっていた。

 

「そうだ、相手の動きを読んで自分に有利に運ぶんだ!」

 

 少ないモーションの攻撃は最初の頃と比べるまでもなく良くなった。全体的な身のこなしも元々スマートだったのが洗練されて、暗殺者と言った味わい。

 攻撃を腕で逸らすのもきつくなってきた。なにより身長とか大きいんだよこいつ。

 

「もっと!もっとだ!来い!やれる!お前ならやれる!」

 

 スパークリングに近いそれを続けておよそ一分。お互い息が上がっていないのは人形恐るべしといったところだ。

 ただ状況が変わらないというわけではなく、徐々に俺が持ち返してマウントをひっくり返すチャンスを探している。

 脇腹が痛んだ。特にピンチってわけじゃない。

 

「チェックメイト!」

 

 一瞬の迷いこそがそのピンチだった。いや、それは正しくないか。ウェルロッドのとっておきの攻撃は迷わなくても避けられなかった。

 

「こーさん。強くなったな」

「VAGに褒められてもうれしくありません」

 

 ゴムナイフは投げた一本だけだと思って意識は徒手格闘にだけ置いていた。まさか二の腕にもう一本隠し持ってて、それを俺がひっくり返そうとする油断の瞬間をついて長いリーチで仕留めてくるとは・・・

 ウェルロッドの成長が自分のことのように嬉しい。いずれ格闘役や遊撃役を担うことになるウェルロッドが頼りになれば、俺は心配することなく部隊を去れる。

 

「VAG、少し時間あるかしら?」

「416と36?あれ、指揮官はどうしたんだ」

 

 指揮官の傍に居るはずの二人が呼びに来たので、後片付けをささっと終わらせてウェルロッドと解散した。

 

 

 

 

「よく似合っています、VAG」

「・・・マジでこういう扱いはやめてくれんかな」

 

 グッとサムズアップしてくる36のことを睨み殺そうとする。それをどう受け取ったのか知らないが、俺と同じくらいの目つきの強さで睨み返してきた。

 鏡を見れば、この前と同じように着飾った姿。36の服に近い服は、フレンチメイド風のちょっとディアンドルっぽさもある・・・いっちゃあなんだが、奉仕する服ってよりは繁華街にあるいかがわしい店の衣装感も漂っている。

 なんでIOPは俺のスキンをこういう選択で作るのだろうか。

 ペルシカのアマが面白がってやっていそうだ。

 

「VAG、こっちに来て。髪を結んであげる」

「遠慮しとくぜ416・・・あっ腕掴むな!分かった。任せる!任せるから!」

 

 そうして髪の毛をくるくると弄られた結果、ドーナツみたいなお団子姿の俺が出来上がってしまったのだ。

 この後、どうせ指揮官の前に連れていかれるんだ。俺は詳しい。

 

「なんで俺ばっかこんな目に・・・」

 

 しかも一点物の人形にスキンを多く作るとか予算的にどうなんだ・・・よっぽど暇なのだろうか。

 

「VAG、今から簡単な奉仕の方法を教えます。スキンの代金は「可愛いVAGの姿」らしいので」

「ペルシカのやつぶっ飛ばす!!!!離せ!今からIOPを爆破しないといけないんだ!」

 

 36がビデオカメラを見せてくる。

 痴態が録画されて他人に見られるとかぜぇったいに嫌だ。回収分解も辞さない。

 

 

 

 

 意識を無にしてオムライスにケチャップでハートを描く。俺の表情もかなり引き攣っているけれど、指揮官は誓約を断られたのにこんなことされているんだから推して知るべし。

 あと416と36も悪乗りしてオムライスにハートを描いているので、指揮官の前には三つの皿が並んでいる。これWAが訓練に行っていてよかった。これを見たら自分もやるって言いだしてダークマターの上にケチャップでハートを描きかねん・・・ハートフルになってしまう。

 

「・・・ご主人!一緒に美味しくなる魔法をかけよう!(裏声)」

 

 精一杯のきゃぴきゃぴした裏声とカンペ丸読みを誤魔化すためにちょっとだけ片言な言葉づかいで、冷静に台本をこなす。

 スキンの代金を払うために頑張らないといけないのだ。ただでさえ三テイク目、これ以上は俺がキツイ。

 

「もえもえー・・・いやこれメイド喫茶だろぅ?!ぜぇったいにメイドじゃないって!」

 

 

 結局、そのカットが採用されてIOPに送られたらしいが、必死に羞恥に耐え三度慣れない裏声を出している俺の情けない姿は好評だったらしく。

 この後にも時折スキンが送られてくることになった。

 なんでも、荒々しい口調のわりに初心に羞恥全開の姿が響いたらしい。ペルシカのアマだけは血祭りにあげてやる・・・




2-2も無事終了。

2-3の時間軸は
前回から一週間以内です。つまりサブリナも近くに居るってこと。もう、分かるよね?
そんなわけで2-3でようやく鉄騎兵要素・・・シーズンツーは長くなりそうっすね・・・
2-5超えそう・・・9月前に終わらせるつもりなんですけども。

今回の時間軸は2-3の前、ってこと


評価お気に入りなどなどありがとうございます。好き勝手やってるんでこれからも好き勝手やっていきます


次回予告
前線に向かう民間軍事会社運用の輸送車隊が何者かによって攻撃された。武器、弾薬、旧式の自律人形・・・そして迫撃砲。敵の目的は大規模な武装蜂起だった。それも住宅街を望む丘を占拠している。
ヘリボーンを選んだ指揮官だが、携帯対空ミサイルや機銃などが障害となっていた。
「イイことを聞いた!指揮官、我々を使ってみないか?我々は、グリフィンの子会社。契約料は割安になる。実績も・・・そちらに居るVAG-73が詳しいはずだ」
「あなた方は一体・・・」
「G-MCVカンパニー、時代遅れの鉄騎兵さ」
2-3「丘陣地攻略作戦」一話「狼煙」
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