鉄騎兵と戦術人形   作:ケジメ次郎

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ドールズ・アンド・オペレーション3

 

 

「A、B、C班、戦闘終了の報告。処理行動に移しますか?」

「うん、一応高所から狙撃班を中心に警戒態勢にさせて」

「了解よ。WAより狙撃班、総員警戒を続けて」

 

 組織的な抵抗が瓦解したのが三十分前、各制圧班が敷地内に巡回している。こちらの被害は人形十体ほど。敵の手に落ちている人形達の自爆攻撃を防げなかったケースがほとんどだ。

 もちろん自爆しようとした人形を救えたケースもあるが、彼女たちはIOPでのモルモットになるのがわかりきっている。

 

「・・・俺たちは人形を助けられなかった」

「VAG、今はやめなさい。それを考えるのは仕事じゃないわ」

「分かった。シェルター制圧はあと五分ぐらい?」

 

 呟きを聞いた416に咎められ思考を振り落とす。さっきまで指揮官の傍に居たのに、今は半身を持って最後の突入に備えていた。

 ウェルロッドも情報端末とにらめっこするのをやめて、体をほぐす。俺たちは四つからなる侵入フェーズの後から一時間、ヘリボーン隊と動きを共にしていた。

 脇腹は痛まないが、思考の中では警告が鳴る。これから見るのはショッキングなものであることには想像が行く。

 

「・・・嫌になるわ」

「つくづく、高い人形のボディは嫌になるな」

「そうでしょうか?」

「36は純粋なままでいてください」

 

 突入するのは俺たち小隊の突撃班だが、乗り気はしていない。一人ナニが何だか分かっていないのも居たけど。もしかしたら、36は俺たち以上に強い精神を持っているのだろか。

 気が重い理由は、俺たちの持つジレンマ。

 整った女性体のボディを持つ民生人形が、山賊にも近い敵に囚われれば・・・何をされるのかは火を見るよりも明らかだった。

 グリフィンの使うIOP社製の戦術人形は民生人形に近い、それ故にどのような扱いを受けたかだって自分に置き換えることも出来る。

 民生人形はそういうことが出来るものもあるのだ。グレードが上がれば上がるほど、人間に近づいていく。その過程でそういうことが可能な機能が追加され、そうでなくとも人間を模した以上、淫猥なことをさせることだってできた。

 趣味が悪すぎる。何を考えたら人形にそんな機能をつけるんだか・・・

 俺も機能はついているが、特殊部隊には適さないわけで周りが同じということが無ければコンプレックスになっていた。

 戦術人形である以上、弱みになる機能は不要。そう考えている人形が多い。

 しかしハイグレード民生人形にはそういう機能があるべきだという考えも理解できないわけじゃない。

 

「幸いは身重になることがないってだけですね」

「バッカ、やられたらメンタルやられるだろ」

 

 36は分かって言っていたらしい。彼女のメンタルが強すぎる所以はボディレベルに植え付けられたメイドとしての主人に仕えるという強い目的だろうか。

 例え辛いことがあっても目的をこなそうとするのは・・・人形だから超人的なんだろうな。言ってしまえば機械的な頑固さの発露だ。

 人間のように弱いから生まれる妥協がない。

 少なくとも俺はメンタルがぶち壊れる自信があった。

 

「あのー・・・」

「あら、どうしました指揮官」

「・・・416どうしたもこうしたもないよ。筒抜けだよその会話」

 

 無線機越しの指揮官は何とも言えない声で指摘してきた。指揮官が悪いわけでもないのに、そういう賊と自分を軽く合わせてしまって罪悪感に苛まれているようだ。

 相も変わらず優しいこって・・・

 

 

 

 

「・・・クリア」

 

 一通りシェルターの一番奥まで進んだ。爆薬類や自爆人形の類が居ないかどうか、壊れていない状態の人形すべてに物理コードを使って念を押した。

 

「オールクリア」

 

 416の宣言で緊張の糸は切れる寸前まで引き延ばされた状態から少し緩む。

 

「これは回収するのも骨が折れますね」

「これは結構来るもんあるな・・・」

「貴方元男じゃないの?」

「俺にこんな趣味はねぇ・・・クッサ」

 

 シェルターの中は酷いものだった。鼻を突くほどに空間に染みつく臭いに嗅覚センサーをカット、視覚に入ってくる状況は電脳が処理を拒むほど。吐くことなんてありえないのに、吐き気がのぼってくる。

 引き裂かれて服の機能を成していない肌に人形であることを示すコードがすべてにあった。

 ・・・もちろんこういう現場を見たことがないわけじゃない。男の頃に踏み込んだ現場にこれに類似したものもあった。

 ・・・いざ自分がその立場になるかもしれないという状況になった瞬間に、これまでにないほどで言葉に言い表せないほどの怒りが沸く。

 

「VAG、吐くならそっちに行ってやりなさい。36、着いて行ってあげて」

「すまん・・・」

「行きますよVAG」

 

 36に手を引かれつつ、通路まで出た。

 

「・・・はぁ」

 

 一頻り戻し終えても生体パーツから生み出される疑似胃液がのぼってくる。

 視界がレンズのように歪み、気分が悪かった。

 だけど・・・他の奴らもキツイんだ。俺が情けないのはいけない。




・・・やりすぎたような気がする。


いやこの空気感で感想返し・・

やらないと忘れそうだからやる

感想返し
「どうした、わーちゃん!?
M60も居たらノリノリで掃射してそうとか思ったり、、」

M60は原文ママで言うと思う(偏見)
わーちゃんが奇行に走った理由は・・・幕間か後始末話で回収します。あ、原因はVAGです
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