鉄騎兵と戦術人形   作:ケジメ次郎

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告白1

 

 あーダメだ。気分悪い状況が続きすぎて電脳はエラーを吐きだし動作が鈍くなっている。

 空を見上げれば雲の合間から太陽が覗き、ついさっきまで雨が強く降っていたなんて嘘みたいだ。騒動という嵐が収まったかのようなそれを見て気持ちが沈む。何も終わっちゃいない。むしろ今は台風の目に居る状態で、いずれ暴風域に襲われるはずだ。果たしてその後に台風一過の青空は待っているのだろうか。

 

「!」

「ポインター」

 

 心配そうに駆け寄ってきたポインターを抱えて、かつて軍隊のレーダーサイトだった敷地を歩く。

 尻尾モジュールを振り回して喜びを表現する姿を見ると白波の立っていた心が凪いできた。

 

「小隊集合!」

 

 隊長の416の声にばらけて一呼吸置いていたメンバーが集まる。疲れ切った顔の指揮官が前に立って作戦終了の言葉を話すが、小隊も指揮官も疲れ切っていてあまり意味を成していなかった。

 それでも、ひとまず俺たちの仕事は終わったという事実は張り詰めていた緊張を緩めるには十分だったし、指揮官も新たな脅威のことは置いておいて休息をとるようにと命じてくる。

 

「あ、サムー!おつかれー」

「どうしたんだ、サブリナ」

 

 広場には、片づけを手伝っていたのかサブリナ達が居てこちらに気が付いた姉を自称する人形は周りから見られているなんてすっかり忘れて手を振ってきた。

 俺がボスから引き継いで、そのままサブリナに引き継がれた双眼鏡を首にかけ、Px4をホルスターに入れている。

 

「えーっと、そっちの車両隊が帰るならそれに着いて行こうかなぁーなんて」

「だ、そうだ指揮官。護衛の代金はなしでいいけどな」

「あ、ちょっとサム!」

 

 少しでも仕事につなげて報酬を増やそうとする意志がスケスケなので突っ込むと、サブリナはぶー垂れた。少しがめつくなってきたとリンヤオが言っていたが理解がいく。

 この程度の移動に護衛をつけることなんてないし、小隊としてもそんな契約をするほどの余裕はない。

 俺たちが乗る車両が止まっている町の方に降りるために、一六式は広場でエンジンを始動させた。俺たちも動き出そうとするが、こちらに向かってサブリナが延々手を振ってくるせいで色々な目で見られるのは納得が行かない。

 

「こういう時にヘリでちゃっちゃか帰れたらいいんだけどなぁ」

「文句言わないで」

「へーへー了解ですよー416」

 

 背嚢を背負って歩き出すと、指揮官にSAA、更にはお偉いさまの乗った輸送ヘリがダウンウォッシュをぶちかまして飛び去って行った。

 ヘリが太陽の光に消えていくのを見てぼやく。

 これから車で数時間。宿舎の布団まではあと少しだ。

 

「ねーぇVAG」

「あれ、WAは副官なのに行かないのか?」

「お生憎様、車両は二台あるの。誰が運転すると思う?」

「・・・おつかれさんです」

 

 今度はWAが難癖をつけてくる。MCVカンパニーを作戦に関与させるために契約することを唆したが、処理をしたのは指揮官と416、そしてWA。

 心なしか目つきは疲れ切っているし、手放すことのできない半身を入れたガンケースは刑罰で背負わされた石のようにも見える。

 

「一つ、聞きたいことがあるの」

「?」

「指揮官と誓約ってどういうことかしら」

 

 平坦としたセリフに理解は遅れるものの、やがて振り返ってきたWAの笑顔に凄みがあることと後ろに何かの守護霊でも現れたかのような怒りの雰囲気に、俺は引き攣った笑いのまま後ずさった。

 

「テンションおかしかったんだよね」

「この一週間ずっと怒っていたようですし」

「あのベト戦映画コンボは副官サマの仕事だったのね」

 

 狙撃班としてバディを組んでいたロクヨンは諦めた表情で俺を見捨て、36も切り捨ててくる。416とロクヨンは誓約の事情を知っているはずなのに味方してくれない。

 

「話す!ちゃんと話すから!ガンケースの中の木製銃床で撲殺しようとすんな!」

「でーもそれーって?」

「愛じゃねぇよこれは!」

 

 WAに追い立てられつつ、ぬかるんだ道を先行している一六式の後ろを歩いて丘を降りる。

 色々区切りがついたせいで全員テンションがおかしいので誰もこれを止めなかった。

 

「?・・・!伏せろ!」

 

 脇腹が痛み、咄嗟に全員を伏せさせる。命令機能を使ったおかげで、突然の爆発に全員が対応できた。勝手に使ったから怒られるだろうが。

 

「伏兵、左の丘に居ます!」

 

 道から盛り上がった部分に頭を出したロクヨンが敵を視認、俺は一六式に飛び乗って離脱させようとする。

 

「RPG!」

 

 攻撃は左側面からのRPG、一六式のアシなら十分避けられた。

 まだ敵が居たとかそういうのを考えるのは後回しだ。作戦前に付近の捜索はしたが完璧じゃなかったのはわかりきっている。

 敵の数は複数。ロケットランチャーも複数。

 

「マイク!突っ走れ!」

「VAG!こちらは敵を制圧します。一六式を護衛!」

「了解!」

 

 町には部隊が居る。

 勢いよく走りだした一六式からは降りることも出来ないが、416が的確に指示を渡してきたので周囲の警戒に移った。

 

「まっず」

 

 どうやって警戒を潜り抜けたのかも分からない、もしかしたらずっと地雷原の中に潜んでいたのかもしれない敵兵が左右に二人。

 一発のロケットは既にこちらに向かって発射されていた。




感想返し
「わーい。
パーサの復活だ!


人形になったサムと新しいボディのパーサ。
これは殴り愛でケリをつけるんですねわかります。」

祝え!新たなヒロイン()の誕生を!


「殴り愛&殺し愛ですね、うんうん(w

ある意味純愛(w」

パーサは真面目に想っているからヤバいんだよなぁ・・・殺されたことを愛だと思って喜ぶレベルには曲がっている・・・


あ、WAの奇行は「指揮官がVAGに求婚(誓約)したこと」がバレたことが原因。


シーズンツーは終わりそうじゃ・・・
シーズンスリーに関しては八月末までに終わらなかったら更新頻度を半減させるかも。



いつもながら感想とかお気に入りとかありがとうござい。
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