鉄騎兵と戦術人形   作:ケジメ次郎

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3-1「VAG-73MOD」
小隊の印


 

 

「・・・またかよ」

 

 思わず口から出たぼやきは真っ白な天井に消えていった。

 ここのところ毎日のリスポーン地点に嫌気が差す。何も倒れたくて倒れているわけじゃないし、新しく来たAA12みたいに寝不足ってわけでもない。

 基地内のメカニックの権限で弄れるところに異常はなく、ボディが原因じゃないということは俺の電脳という一品物のブラックボックスを疑うしかなかった。

 小隊も新たに三体の人形が来たことで定数を満たし、更に小隊自体もグリフィンの部署整理に伴って改編と移動を終えたばかりだ。

 新しい仲間は、一人は親近感が出る機能を持っている。あとやかましい。

 もう一人はいつも寝不足で飴を口に突っ込んでいてダウナーだけど、なんにでも挑戦するかっこいい奴。

 最後の一人も身長とかのサイズ感的に近いものがあって微笑ましい。

 

「VAG、今大丈夫かい?」

「指揮官か、大丈夫、今起きたところだ」

 

 指揮官のノックを聞いて、俺は白いシーツと薄い毛布に挟まれた体をゆっくりと起こす。新しい基地のリフォームされたばかりの人形向け処置室は、新築みたいな匂いがしていた。

 別にボディも意識も悪いところがない上、自己判断プログラムを作動させても異常だという答えもない。日に日に強制スリープモードに落ちる時間が早くなっていく状況と、作戦に参加できない状態は色々と問題があった。

 

「状態は・・・悪い、よね」

「あぁ。IOPからの整備でも解決できないだろうし、原因は電脳・・・ペルシカに頼るしかないと思う」

「分かった。話は通しておくよ」

 

 ペルシカのアマに頼るのは気が進まないが、俺の出自上、生みの親である彼女以外に問題を解決することのできる人間はいない。

 スリープモードの影響で凝り固まった生体部品を解すために体を伸ばし、大きく欠伸をする。

 少しだけ気分が憂鬱だった。ここんとこスリープモードに落ちてばかりなので色々と上手く行っていない。ちょっとしたスランプとでも言うべき状態だ。

 ベッドの横の椅子に座った指揮官は紙袋を置いて、飲み物を渡してきた。ありがたく受け取って飲み干す。

 

「それで、その手に持ってるのはなんだ?」

「そうそう、これが本題なんだ。僕たち、即応小隊の識別系の物品が届いたんだ」

「おぉ!マジか!」

 

 俺たち、治安維持小隊は部隊改編に伴って即応小隊と改名した。おまけに治安維持、特に突入を行う他の少数部隊の統合なんかが行われた結果、ある程度の戦力を持っている我が小隊は担当地域が変更されることになったのだ。

 俺たちの使っていた基地は、後方地区一帯に分布していた突入業務の戦術人形を集めてより広い地域を一部隊でカバーするための基地となった。キルハウスみたいな訓練施設が充実していてヘリパッドと格納庫も備えていて、俺たちからすれば余り気味だったりしていたし。

 そうして俺たちはより仕事の多い地区の郊外にあった基地に移動。ヘリに関しては前の基地で使っていた二機がそのままついてきている。しかし、基地の規模が比べ物にならないぐらいに小さいので小隊専用の基地みたいになっていた。

 本来なら後方幕僚も必要なんだろうけど、居るのは幕僚とは名ばかりの連絡役とメカニック、ヘリパイロットに補給隊だけ。

 小隊の扱いが大きくなったとも言える。

 

「やっぱりこういうのは欲しかったからね」

「ベレーと部隊章に・・・おー、赤のスカーフ」

 

 紙袋を開けると紺と黒のベレーに矢と盾がモチーフの部隊章、それに情熱的な赤色のスカーフでワンセットになっていた。ベレー帽を被ってスカーフを巻いてみれば着け心地も悪くない。

 俺や416、それに新しく来たRO635と言った機能が珍しかったりする人形の識別に困ることは少ないものの、他の人形だとそうもいかなかったりする。

 そんなわけで各基地では作戦に応じて識別用のアクセサリを用意するのがルールなんだけど、腕に何かを巻いたりとかそういうのがベターだ。

 ここまで大掛かりなものを用意された理由がある。

 

「支社付近の警備をするんなら分かりやすいほうがいいからさ」

 

 支社・・・グリフィンが管理している地域は広大で、地区をカバーする基地の上に代行官を擁する大型の基地を持つ。代行官の権限と基地ネットワークをかつての地方自治に当てはめて、庁舎とも揶揄されていた。

 俺たちの仕事は管轄地域への制圧任務と支社の警備が割り振られている。

 そこの支社は・・・一年半前に暴徒に侵入されて悲劇を起こした場所だとも知られていた。

 お察しの通り、その事件に俺は関わっている。MCVカンパニーの社屋ともほど近かった。

 

「もう引っ越してきて一か月か・・・」

「早いねぇ」

 

 二人してちょっと前のことを思い返す。比較的緩やかに準備をしたとは言え、新しい基地でのデータバンク整備なんかにはものすごい時間がかかった。その間も動けるメンバーは前の基地に残って業務を行っていたし。

 改編が決まってから引っ越しを終えるまでには一か月。

 その期間で俺は、甘えん坊の子供と別れなければいけなかった。手紙を送りあうことを約束して別れたがちゃんと俺から離れてくれるだろうか。

 

「そう言えばさ」

「?」

「あの三人にいつプロポーズすんの?」

 

 指揮官の動きが止まった。




まさか一パートでまとまるとは思わなかった()


原作の設定集買わないと色々怪しい部分がね・・・


次回予告
またVAGが倒れた。だけど今度は一向にスリープモードから起きてこない。慌ててペルシカさんに問い合わせた結果教えられたのは、「タイムリミット」という言葉。
VAGの派遣期間は終わって、グリフィンの管轄下に戻る・・・
そのために指揮機能を持つ人形を配備したということらしい。
第二話「タイムリミット」



感想返し
「タイムリミット……だと!?
そういえば、小ネタのセリフ集でオリジナルとコピーで違うのがあったけど……サム、お前消えるのか?」

サムの霊圧が・・・消えた?
ともかく、VAG-73ちゃん自体は銃とエッチングされたボディなので銃さえあれば量産も可能です。・・・VAG-73とかいうクッソレアな銃をどうやって用意するのか知らないけど。メンテナンスとかは一品物を毎回作っているのでコストがかかっています。逆に量産すればコストが安くなる可能性がワンチャン・・・?(全くない)


感想とか諸々ありがとうござい。
今日も更新落としかけました

あ、でもゲームのイベントは目玉の機体の内一機は完成しました。・・・意地でももう一機も作ってやる。
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