鉄騎兵と戦術人形   作:ケジメ次郎

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銃とか詳しいわけでもないのでアバウトな感じです許して。
滅茶苦茶だったら、優しく指摘するかそっと誤字報告機能で直してくれると助かります。


新しい人形・・・?ホーワM1500登場3

 

 

「・・・すぅ」

 

 姉貴から教えてもらった落ち着いた呼吸で意識を集中させる。

 視界は完全に絞られ、スコープのレティクルと的だけがフォーカスされた。

 風は、かなりある。距離も、ここのところ毎日やっている練習では一度も当てていない最長距離。

 基地の射撃場から外にある標的までには周りに何もないので、ビル風なんていうイレギュラーがないので比較的簡単な射撃だ。

 構えて三十分、気持ちが決まる。

 

「すぅ」

 

 射撃場に一発の銃声。的には当てるつもりなので的の周りに意識を移してコッキングした。

 

「すぅ」

 

 もう一発。今日は調子がいい、初弾が命中している。

 

「すぅ」

 

 三発目。一通りの射撃を終わらせれば、マンターゲット状の板標的には首元、心臓、脳天の順で風穴が開いて、割れている。

 

「よし。今日はこんなもんかな」

 

 手慣らしのための試射は七百メートルほど。その二発が恐ろしいぐらいに調子が良かったので、未踏の一キロ射撃に挑戦してみたのだ。

 残弾がないか確かめて、安全管理を施した後に先ほどまで寝転がっていたヨガマットにあお向けになった。

 

「やばい、楽しい」

 

 今まで趣味らしい趣味なんてゲームと料理ぐらいで、こんなアクティブな趣味をやったことなんてなかった。センスと努力、なにより集中力を求められる長距離射撃は楽しい。兄貴と同じ血筋なのか銃器への慣れが早くて、姉貴に褒められるたびに自分の腕が上がっていくことが分かってドハマりしていた。

 今では一日一マガジン、日課のように射撃場を借りている。

 まだハンドローディングまでは出来ないので銃弾自体は、ロングアクションモデルのM1500の口径に合う銃弾を調達。

 猟銃用銃弾として沢山出回っている.308ウィンチェスター弾か、寸法が同じで交換の効く7.62×51のNATO弾・・・って言ってもこういう銃器の知識がゲーム止まりなので姉貴の受け売りだ。

 NATO弾の方は、ロクヨンさんが使っているので練習射撃用の銃弾が異常なほどに余っているらしく、指揮官さんから許可をもらって撃たせてもらっている。

 何だか問題になりそうだけど、「基地に居るPMCの訓練に対するなんちゃらかんちゃら・・・」って感じで書類上は問題もないそうだ。それでいいのかグリフィン。PMCの社員とは言え、ただの事務役の趣味の射撃に弾薬が横流しされているぞ。

 

「ふーぅ、もう一時間経ってる・・・よし、そろそろ帰ろ」

 

 足の事を考慮された的は回収しなくていいという厚意に甘え、ガンケースに入れた愛銃を背負い、ヨガマットはくるくると巻いて射撃場の端に。松葉杖で射撃場の日除けから出て、基地の建物に入ったところでイヤーマフとアイウェアを外した。

 ガシガシと癖っ気のある髪を撫でつけていると後ろから声を掛けられる。

 

「おかえりなさい、だね」

「あ、ロクヨンさん!いつも弾薬ありがとうございます」

「いいの・・・指揮官が桁を間違えた誤発注なのよね」

 

 心なしかロクヨンさんが乾いた笑いをするたびに縦巻きロールが萎んでいくように見えた。・・・それ可変するんだ。

 

「何か、変なことを考えてない?」

「ごめんなさい・・・」

 

 

 

 

 待機室という名の娯楽室でグリフィンの社内報を読んでいると、同じく待機組のWAがこちらを見つめてきた。

 

「なんだよ、WA」

「アンタの妹、本当に銃を触ったのはこの前が初めて?」

「んだそれ。正真正銘、リンヤオは射撃を始めて一か月だぜ。俺が見ている限りじゃ、センスはあるけど触ったことはなかったはずだ」

 

 大体、一か月前は一発撃つたびにビビって銃を引きしそうになったり、トンデモナイ方向に飛ばしたりしてたんだし。

 撃つ方法をレクチャーして、発火モデルガンで練習させて、二時間ほどで模擬弾を撃たせてみて、五十メートル標的の真ん中に当てたのはセンスを感じまくったけど。

 その後は、ロクヨンだったりWAが練習を見てくれていたので最後に見たのは二週間ほど前だった。

 それを思い出すと、俺も不安になってきた。

 

「二週間前、五百メートル標的を狙ってたよな」

 

 ぶっちゃけこの時間でのリンヤオの成長は異常だ。

 M1500は一キロ先からシカを撃ち抜ける、らしいが・・・銃が出来ても運用側は中々できないものだ。

 確かにおかしい。

 

「今日、射撃場の使用記録をチェックした時に」

「ヤバイ距離にあったのか」

「千、と七百」

「ジーザス!」

 

 手に持っていた社内報を叩きつけ頭を抱える。

 おかしい。俺の妹がこんなにスナイパーの才能があるなんて思わなかった。

 ウチの基地が採用している屋外用のターゲットは上半身のマンターゲットと小さなもの。

 

「設置したって言うメカニックにターゲットと距離を聞いたわ」

「言うな・・・」

「胸上ターゲットで、近い方は弾痕が重なっていたのよ」

 

 色々と自信を失いそうになる話だ。

 銃を抱えて一か月、そんな人間が今や正確無比な人間のスナイパーにでもなれるような才能を見せているなんて。

 

「それで、指揮官が一つお願いをしたいって」

「嫌な予感しかしないんだが」

「ライフル限定、かつパートナー制の競技会に出してみたい・・・って」

 

 俺は目の前が真っ暗になった。

 確かにロクヨンはアサルトライフルを改造したもので、レギュレーションに引っかかるかもしれない。

 グリフィンの競技会は基地や支部ごとで、人間、人形の混合も可能。種目は日を替え行われるシステムで、ウチからは俺と36、MP5がキルハウス部門で出るのが決まっている。

 一つの支部当たり二種目の参加が基本。最前線の基地には参加義務がないが、後方や余裕のある基地は積極的に参加するレクリエーション。

 「腕利き同士を競わせ、技術と意欲の向上を見込む」というお題目だが、実際は指揮官同士のコミュニケーションの場でもある。




お気に入りとかありがとうござい。
このパート長くなりすぎて笑えない。次回は巻きで行きます。
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