鉄騎兵と戦術人形   作:ケジメ次郎

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タイトルが変わりました。でも内容は続いている。


僕だって1

 兄貴はいつも心配性だった。

 僕が成人したって、帰ってきた時は世話を焼いてくるし、僕よりも下手な料理を振る舞ってくる。普通の兄妹とは思えないぐらいの愛情は、おそらく両親の分まで背負っていたんだ。

 僕はそれに甘えてばかり。いくら遺産があったとはいえ、兄貴が居なくなってしまえば生活できなくなるのは分かっていた。なにより寂しくて、生きる活力がなくなってしまう。

 だから、そんな兄貴が人形(その時は女だと思ったけど)を連れてきた時は酷く打ちのめされた。このままでは捨てられてしまう。兄貴のことを信じないあり得ない思考だったとは言え、焦燥感に襲われた。

 僕はいつも与えられてばかりで、何も返してこなかった。そのしわ寄せがやってきたんだと分かるたび、二人には強く当たってしまったのだ。

 話している内にそうではないともわかったけれど。

 サブリナ姉さんは僕と同じタイプだ。兄貴の魅力にやられてアプローチしている同志。いくらアタックしても、兄貴は有耶無耶にするばかりのことに不満を持っていた。

 兄貴が居なくなることを考えられないことも一緒で親近感がわく。

 だけど、兄貴は居なくなった。

 僕は詳しくは聞いていないけれど、仕事に行って半年以上経って病床に死んだように眠っているところで再会、その後息を引き取ったのだ。

 その時のサブリナ姉さんの顔色は酷いものだった。僕のそれよりは比べようもなく健康的だったが、悲痛なそれは未亡人のよう。

 それと時を合わせて、僕はMCVカンパニーの地下に引っ越して社員としても働きだした。

 なんで今更そんなことを始めたのかと聞かれても、答えは一つしかない。

 全て兄貴のため、だ。

 兄貴が守ろうとした全てを、次は僕が少しでも守る。

 MCVカンパニーの皆で頑張る。

 ただ、それだけだった。

 それでも、戻ってくるんだから姉貴はすごいよ

 

「・・・僕だって、僕だって!」

 

 言葉は銃声にかき消される。

 これなら僕だって戦えるはずだ。もう、失うだけなのは嫌だ。

 兄貴も姉貴も、サブリナ姉さん含めた会社の皆も、ロクヨンさんや指揮官さんのグリフィンの人だって、僕が戦うことには否定的だ。

 このボディ、準人形のホーワM1500の体は凄い。戦術人形にも色々な出自があって、仕様が違っているとは聞いている。わーさんやロクヨンさんはボディと銃が紐づけされているが、僕の場合は人間の頃より動作のブレがないというだけでしかない。

 コントローラーに検出した脳波をボディに伝達するためには多少なれどラグがある。対応策として、自律式ではないおかげで開いている電脳のキャパシティーにFCSを積んでいるが、それでも本職には半歩ほど及ばない。

 

「テスト終了よ」

「ふぅ」

 

 射撃場にあったはずの意識がなくなって、重たいヘルメットとヘッドセット類を外して銃型のコントローラーと手足の電極を外すと、かくハズの汗がフィードバックされたみたいに浮き出してくる。

 

「リンヤオさんのポテンシャルのおかげが大きいけれど、以前の試作品と違って、遠隔操作のラグが少ない」

「それでも、このサイズの送受信では一キロが限界ね」

「運用は難しいなぁ」

 

 人形のバックパックには大きなアンテナを持っていて、それを使ってデータをやり取りする。こちら側の送信機はあまり大きくないものを使っているけれど、それにしたって一キロでは運用もしにくい。

 なにせ、操作しているときの僕は意識がない状態で無防備だ。

 

「リンヤオさん、どうでした?」

「悪くはないと思います。僕が生身で撃つよりも射程は長くなるし、精度も上がってる」

「指揮官、これでテストは終了ね」

「うん。リンヤオさん、ありがとうございます」

 

 

 

 

「事案発生、しかも三件同時・・・」

 

 非番で部屋の中でゴロゴロしていた俺は慌てて服を着てブリーフィングルームに行く。

 巡回中に立てこもりを確認された時、立て続けに二件の立てこもりが報告された。

 スカーフを巻き終えてベレーを頭にかぶったのは、ブリーフィングルームに入ったのと同時だ。

 

「すまん、遅くなった」

「いえ、許容範囲内です」

 

 突入隊を率いるROがこちらを一瞥してから、状況確認を始める。

 今回の事案は大きく二つに分けられる。一件、最初に報告されたものは一つ離れた地区のビルに十名ほどのグループによる立てこもり。人質は多い、ということぐらいしか知らされていない。

 後の二件は、一人による行動だ。別々で離れた位置で起きている。時間がほとんど同じなのは怪しいが、それを調べるのは別の部門の仕事だ。

 

「私たちはグループの方に対処します」

「単独の方は?」

「状況と、リスクを考慮して・・・狙撃による射殺を前提に」

 

 話は続く。その手段を選ぶには理由があるはずだ。

 

「両方とも、爆弾を抱えているようです。人質は片方が少女を、片方は数名を自分と同じ部屋に」

「要求は」

「どちらも、自分たちに危害を与えるものが近づいたことが分かった時点で人質は捨てる、と」

 

 だからこその、狙撃か。

 これでなんとなく見えてきた。この二件は繋がっているはずだ。要求が要求らしくない事と、同じ脅し、何かしらの因果関係を感じる。

 

「問題は、狙撃のポイントが悪い状況で八百メートル以上になるということです」




あ、諸事情により明日の朝7時の更新はお休みさせていただきます。ご了承ください。
明日は夜に頑張っていつも通りにするので。


感想返し
「やりやがったな、ペルシカー。

そうきたかー。
ある意味、人形だな、此は。
続き楽しみですわ。」

ホンマこのケモミミの天才は・・・
楽しみと言っていただけるとうれしい。


評価、お気に入り、感想ありがとうござい。
明日は更新頑張るから・・・ゲームのイベントが終われば!
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