鉄騎兵と戦術人形   作:ケジメ次郎

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タイトルは変わる。


苦しいけれど1

「意外でした」

「んだよウェルロッド」

 

 グループで立てこもりが起きている、突入する方の現場について装備を準備している。

 俺は気が立っているというのに、それを気にも留めずにウェルロッドが話しかけてきた。

 

「貴方が、あそこまで女々しくなるとは」

「イメージと違って悪かったな」

 

 無言、いややや怒っているような口調で強く言い返す。俺だって何も醜態をさらしたくてやったわけじゃない。自分の考えが醜態を引き起こしただけだ。

 喋っている間にも装備を用意する手は止まらない。背中の真ん中あたりと腰にあるコネクタとバックパック類と繋ぐ機構をドッキング、腰からは機械の尻尾が伸び、背中側のバッテリーパックと両足のパワーアシストを接続した。

 

「本当にいいんですか?」

「あのなぁ、こういうのって迷いだしたらキリがないんだ。今でさえ色々考える状態なのに、整理がついてるとでも?」

 

 わかりきってるだろうに。人形の疑似感情モジュールはやや見当外れというか、物事の本質を狙い過ぎているような気がする。どんなに思い切った、後腐れない決断だって、思い返すのは当然のことだ。

 今だって未練がましく思っている。だけど、動いて未来に進む以外に道はない。タイムスリップなんて実用化されていないんだから。

 沸き立つ感情を抑えるためにグローブに包まれた両手を握って開く。

 電力が通って脚力と安定性が強くなったことを確かめて、ダンプポーチ類を吊るすベルトを締め、準備完了。

 降下するためのロープを確かめた。ロープ降下なんて、三年ぶりぐらいだ。

 

「ヘマだけはしないでください」

「わかってる」

 

 マガジンは前後それぞれに三発の余裕を持たせて四十二発装填。

 敵は十人、当然撃つ可能性もある。

 最寄りの基地や支社なんかから来ている車両の方から、準備を終えた俺たちの方へROが髪を振り乱しつつ戻ってきた。

 

「皆さん!応援が来ました」

「応援って、あいつらじゃなくて?」

 

 AAが、周りで警戒線を張っている警備人形達を指差す。

 彼女たちを応援だと、小隊に紹介するとは思えないが、人間に攻撃する突入任務に応援で来れる人形は居ないはず。

 安全機能を解除する命令を出す権限は研修を受けた一握りの指揮官だけで、指揮官が違えば命令の優先順位があって、このタイプの命令は別の指揮官からのものを受けられない。それが出来れば、別の基地の指揮官から命令された人形が指揮官を謀殺することが出来てしまうから。

 

「確保を手伝っていただけるそうです」

「それはいつもの後詰、ではないんですか」

「MP5の考えている通りです。私たちと一緒に突入して制圧後の敵を確保する、と」

 

 それなら助かる。

 警備人形の場合、制圧後の後始末は手伝えるが突入に随伴しての敵の確保は、武装的な問題と戦術人形よりも強固な安全システムにより面倒。

 応援は戦術人形で、敵を射殺することは出来ないが自己防衛も可能だ。俺たちは気にすることなく敵をぶちのめせる。

 こういう作戦に戦術人形を出してくれる基地ってのは多くないし、今回は敵が多いからありがたかった。

 

「それでもメンバーは物足りないなぁ」

「仕方ありませんよ」

 

 ため息をついた俺をMP5が宥める。

 ロクヨンと36が狙撃の護衛、416とSAAが指揮官の傍に居て本部として活動。

 突入隊も任務を分ければ、正面戦力が減っていく。

 

「まずは役割確認です。ウェルロッド」

「ダクトから侵入して脅威を取り除きます」

「VAG」

「窓を突き破ってエントリー、後は暴れて混乱を作る」

「陽動班、お願いします。突入班、先頭はAA、いいですか?」

「やってみる」

「無理はしないように。MP5、二番目をお願いします」

「了解です!」

「以上、作戦遂行も大事ですが安全も、と指揮官が達されています。留意した上で、敵の制圧は二分を目標」

 

 ROの言葉を最後に、全員がお互いの装備を確認する。そうしていると、応援の戦術人形達の準備が出来たようでこちらにやってきた。

 

「FG42に、AEK999とFALか」

 

 あれ?俺、こいつらをどっかで見たことがある。

 三人とも、識別章を見る限り同じ基地の同じ指揮官に配属されているらしい。

 あの指揮官の基地はここの近く、MCVカンパニーの所在地も近いところだ。気のせいかも知れないが、この組み合わせと識別章に見覚えがあった。

 パーサをぶっ壊した時の仲間だ。

 

「VAG、どうしたんだ」

「あ、いやなんでもないぜAA」

 

 握手する。VAG-73自体がデータベースに追加されて日の浅い上に、MOD仕様の俺と珍しいROとに視線が行っていた。

 あっちは俺のことが分かるわけがない。

 早々バレることはないだろうし、関わるのは今回だけだ。よっぽどのことが無い限り、足はつかないし、面倒なことにもならない。

 あちらからしたら、偶々同じ作戦に参加した人間がぽっくり逝っただけでしかないのだし。気にも留めていないだろう。

 ・・・もし、気にしていたとしても俺が解消できるものでもない。

 また俺が楔をつけただけだ。

 

「VAG-73MODだ、よろしく!」

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