部屋に深海棲艦いるけど何か質問ある?   作:へか帝

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 みなさんのお陰で感想が800件を超えました。とてもうれしいです。
 あまりの多さに返信が全然追い付かないので更新することにしました(混乱)

 


夕焼け

734 元社畜 

 ダメだった

 

 

735 海往かば名無し

 はえーよ

 

 

736 海往かば名無し

 ダメなんかい

 

 

737 海往かば名無し

 なんでや

 

 

738 元社畜

 完全に拗ねちゃって聞く耳持ってくれない

 

 

739 海往かば名無し

 乙女心は複雑なんやで

 

 

740 海往かば名無し

 しっかりしてくれよ

 

 

741 海往かば名無し

 俺たちはイッチに頼るしかないんやぞ

 

 

742 海往かば名無し

 頼むでホンマ

 

 

743 元社畜

 すまんの 

 

 

744 海往かば名無し

 俺の艦娘の義姉も楽しみにしてんねんぞ

 

 

745 海往かば名無し

 それでいいのか艦娘

 

 

746 海往かば名無し

 どんな感情で見てんだ

 

 

747 海往かば名無し

 ちな義姉情報だけど目の色で深海棲艦のヤバさがわかるらしいで

 

 

748 海往かば名無し

 へぇー

 

 

749 海往かば名無し

 kwsk

 

 

750 海往かば名無し

 義姉の情報リテラシーガバガバかよ

 

 

751 海往かば名無し

 何色がやばいん?

 

 

752 海往かば名無し

 おなじみのヲ級ちゃんは黄色だけど

 

 

753 海往かば名無し

 義姉はあんまり戦争のときのこと話さないんだけど

 空母ヲ級はうっかり遭遇した時基準で、

 

 青 腕の一本で済めばいいな

 赤 遺言を電報に残すレベル

 黄 ほぼ都市伝説。生きて帰れることが既に誉れ

  って言ってた

 

754 元社畜

 都市伝説俺の枕抱いてふて寝してるが

 

 

755 海往かば名無し

 草

 

756 海往かば名無し

 危機感がねぇ

 

 

757 海往かば名無し

 大当たりじゃん

 

 

758 海往かば名無し

 喜べよ、SSRだぞ

 

 

759 海往かば名無し

 義姉は戦友が一人黄色と刺し違えて沈んだって、眼帯を濡らしながら言ってた

 

 

760 海往かば名無し

 ウッ

 

 

761 海往かば名無し

 シリアスはやめてくれ、俺に効く

 

 

762 海往かば名無し

 お前の義姉眼帯してるのかよ

 

 

763 海往かば名無し

 中二病かな?

 

 

764 海往かば名無し

 むしろベレー帽と葉巻の似合う歴戦の傭兵みたいな感じじゃね

 

 

765 海往かば名無し

 そんな義姉は嫌だ

 

 

766 海往かば名無し

 セーラー服やで

 

 

767 海往かば名無し

 やっぱり好きです

 

 

768 海往かば名無し

 人はセーラー服には逆らえないようできているからね、仕方ないね

 

 

769 海往かば名無し

 深海棲艦のことも気になるけど義姉のことも気になる

 

 

770 海往かば名無し

 義姉、主要人物だから一周回って情報ガバっても許されてるのでは?

 

 

771 海往かば名無し

 それ部下にしわ寄せがいくやつー

 

 

772 元社畜

 すまんが日没が近いからしばらく離れるわ

 

 

773 海往かば名無し

 おっと、もうそんな時間か

  

 

774 海往かば名無し

 まじか、俺もはぐれたピクミンいないか探してくるわ

   

 

775 海往かば名無し

 >>774

 お前はスレ見てないでとっとと宇宙船のパーツ集めろ

 

 

776 海往かば名無し

 日没が近いと何があるの?

 

 

777 元社畜

 言ってなかったっけ、空母ヲ級が俺から目を離して夕陽を見に行く

 そして見終わるとスキンシップが激しくなる

 

 

778 海往かば名無し

 なんですって

 

 

779 海往かば名無し

 初耳なんですけど

 

 

780 海往かば名無し

 あのヲ級ちゃんがイッチから目を離すなんて……

 

 

781 海往かば名無し

 それは深海棲艦の謎を解く重要な情報なのでは。

 イッチから目を離すなんてただ事じゃないでしょ

 

 

782 海往かば名無し

 意外とロマンチストなのかも

 

 

783 海往かば名無し

 それより後半

 

 

784 海往かば名無し

 >>スキンシップが激しくなる 

 >>スキンシップが激しくなる

 >>スキンシップが激しくなる

 

 

785 海往かば名無し

 実に興味深い

 

 

786 海往かば名無し

 映像資料の提出を求める

 

 

 

 

 

 

 配信アプリを立ち上げ、ライブ配信のリンクを掲示板にペースト。この作業にもだんだんと慣れてきた。今日はティッシュ箱に立てかけるのではなく、手で持って空母ヲ級を映すことにした。

 

 陽が傾き、空がこがね色と燃えるような朱色に混ざり合うときにだけこの奇妙な深海棲艦は俺から目を離す。

 

 空母ヲ級は部屋の大きな窓から西日を眺めていた。

 つられて俺も窓の外を覗いてみる。夕陽を映したガラス張りの無機質な高層ビル群が立ち並び、その合間を縫うようにシャーベットオレンジの雲が流れている。空の色を映した摩天楼は美しくもあるが、冷たく無機質な姿は一種の不気味さもあった。

 夜の時間への到来に備えてか、遠くに見える繁華街のネオンがチカチカと自己主張を始める。

 

 この深海棲艦の習性のようなものなのか、彼女は日が暮れると思い出したかのようにふらりと空の見える場所に足を運び、ひたすらに太陽が沈むさまをじっと見届ける。

 複雑に絡み合う電線や等間隔に整列された電信柱が、逆光で真っ黒に染まっている。深海棲艦──空母ヲ級は、その地平線の向こう側に佇む夕日を、そのまなざしで貫いていた。

 

 何を考えているのかもわからない。何を感じているのかもわからない。夕陽に照らされた横顔を見ても、彼女が何を思っているのか推し量ることはできなかった。

 

 ちらりと、掲示板のページを表示させたパソコンに立ち上げたブラウザに目をやる。掲示板は主に夕陽を浴びて一層美しさを増した空母ヲ級を褒め讃える内容で盛り上がっていた。中には都会の夕方に見せる街の姿に感銘を受けた人もいるようだ。

 『夕日は人を振り返らせる』とはよく言ったものだが、深海棲艦にとってもそうなのかもしれない。

 こうして夕焼けを眺めていると、不思議と郷愁の念に駆られることがある。それができないと分かっていても、懐かしい香りに鼻をくすぐられると、思わずにはいられないものだ。もしもあの頃に戻れたならば……と。

 

 深海棲艦。海から生まれた怪物。人類の天敵。彼女は、夕焼けを眺めていったい何を懐かしんでいるのだろう。

    

 

 

 ◆

    

 

 

 太陽は地平線に沈み、やがてすっかり姿を隠した。早いもので、空には藍色のグラデーションが掛かり始めている。 

 さて、ここ数日をこの空母ヲ級と過ごして分かったことがある。

 我が家の深海棲艦空母ヲ級の態度は大きく二つに分けられる。それは夕陽が沈む前と、沈んだ後だ。

 

 沈む前は俺がパソコンの前にかじりついてネットサーフィンや掲示板の皆との会話に興じていても、彼女の方から俺にアクションを起こすことはまずない。常にプレイヤ―の方向を見るタイプのNPCのように、若干の不自然さを伴いながら俺を見続けるだけだ。

 

 だが、日没を見届けた後は事情が変わってくる。具体的に言うと──スキンシップが激しくなる。 それはまず、PCをいじる俺の背後に忍び寄り、後ろから抱きすくめるところから始まる。俗にいうあすなろ抱きというやつだ。小さな背もたれしかない安物の事務椅子を使っていた弊害がこんなところで起きようとは、一体だれが想像できようか。

 

 ちなみに携帯はこうなることを見越して既にティッシュ箱に立ててあるので問題ない。

  

 そのまま空母ヲ級は全身を覆う寒気で身を固くした俺を椅子から引きずり下ろし、子犬のように震えて凍える俺に両手を大きく広げて覆いかぶさってくる。そのあとはもう、されたい放題だ。抱擁されたまま頬ずりされたり、マーキングでもするかのように俺に体をこすりつけられ続ける。

 俺の服と顔はもうぬるぬるだ。なんでこんな痴態を生配信で提供しなくてはならないのか。

 

 ちなみに俺は知らなかったが、以前にも似たようなことがあったらしい。初日の、初めて配信をしてそのまま俺が仮眠した時だ。怖いのでまだ確認できていない。

 

 前に手首を掴まれたときにも思ったが、彼女のパワーは凄まじい。逃れることはできない。

 虎にじゃれつかれている感覚とでも言えばいいのだろうか。自分よりも大きくて力の強い存在に絡みつかれたとき、人はあまりにも無力だった。

 

 俺ができるせめてもの抵抗は、せめて正面から抱きしめられないようにするくらいのこと。

 前に正面から彼女に捕まってしまったことがあるが、豊かな双丘に顔が埋まってしまい何も見えず、身じろぎひとつできない状況のまま窒息して気絶してしまった。目が覚めた時にはもう全身がでろんでろんになっていたので、彼女の気が済むまで体をこすりつけられていたということになる。

 とりあえず意識を保つためにも前から抱きしめられることだけは避けなくてはいけないという教訓だった。

 

 しかし、実は最初からこれほどスキンシップが激しかったわけではない。

 これには原因がある。

 

 はじめは日が沈んだ後でも、精々物理的な距離が縮まる程度のものだったのだ。

 それが変わったのは、黒服のお姉さんに連れられた施設で行った、とある実験のせいだ。

 

 別にそう大したことをしたわけではない。

 ただ、˝彼女が夕日を眺めている隙に目の届かない遠くまで逃げただけ˝。

 

 その結果がこの有様である。

 多分何か彼女の触れてはいけないスイッチをオンにしてしまったのだろう。

 その時もあっという間に別室に移動していた俺の元へすぐさま現れ、これまで以上にないほどに丹念に体をこすりつけられた。俺はもう頭からローションのシャワーを浴びたような状態になった。ぬるぬるを通り越してぬとぬとだった。

 

 傍から見るとひとりでぬるぬるになり出す俺の姿に、同じ部屋にいた観察役の艦娘さんはドン引きだった。のちに監視カメラの映像を確認して映り込んだヲ級ちゃんを見て、更にドン引きだった。

 なおぬとぬとに濡れた俺の衣服は重要なサンプルとしてそのまま没収された。

 

 以上が、彼女のスキンシップが激化した原因である。

 

 なにやら、日没後の彼女の瞳には、心なしか執着とか執念のような感情が色濃く込められているような、そんな気がしないでもない。

 

  

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 見覚えのある場所

 見覚えのある仲間達

 

 どうしてそんなに怖い顔をしているの?

 ──なぜ、私に砲身を向けるの?

 

 

 

 

 私はただ 帰りたかっただけなのに

 

 




 
 あれ、なんかこの子怖くね……?
 
 ヲ級ちゃんはイッチの事が大好きなんですね(白目)
 
 夏の夕暮れ? 沈む夕日? 高層ビル? 
 わたしよくわからない

そんなことよりヲ級ちゃんにすりすりされたい人は感想だ!


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