高天原と龍の巫女   作:ローランシア

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02 久我司と高天原

────────ようこそ、司。神々が住まう国、高天原へ────────

 

リーンゴーン……リーン……ゴーン……リーン………………ゴーン…………

 

重苦しい鐘の音が頭の中に数回響いた後……

閉じたはずの俺の意識が戻る

 

戻った瞬間……

 

ぐっ!!!?????????

 

「ゲボァッ!?」

 

嘔吐交じりの血の塊を吐き出す

 

頭が割れるように痛い!!

頭の中に知らない言語の言葉や歌、絵や映像が流れ込んでくる!?

凄まじい吐き気がこみあげてくる!!

全身がバラバラになりそうなくらい痛い……!

 

「ぐっ!?ああああああああああああああああ!!!!!!????」

 

気が狂いそうな痛みと苦しみを耐えるため、

気を紛らわせるためわけがわからなくなり俺は、

吐血交じりの吐しゃ物をまき散らしながらのたうちまわり絶叫する

 

≪司、あなたは一度死んだの。そして私が神格を与え「高天原の民」として生まれ変わったの≫

「くっ……があ!?はぁっ……はぁっ!?たかの……あま、はらぁっ……くっ……!?うえっ……!?

はぁっ!あああああっ……!?ゲホッゲホッうっ……!ゲボォっ!!」

 

≪今から司の体を強制的に安定させるわ。長くはもたないけれど、大分マシにはなるはずよ≫

 

俺の体が光に包まれ、気持ちが和らいでいく……

 

「はぁっはぁっ……!大分……マシになった……。まだ頭はガンガンしてるけど……くっ……!

立ち上がれるなら、立ち上がらねえと、な!!!」

 

足に力を込め痛みを堪えながら立ち上がる

 

 

≪司……?こいつを討滅する可能性がある技が一つあるわ≫

本当か……!?ソラ!?

≪ええ。でも今のあなたの許容量を超える力だから……、とてつもない痛みと苦しみをさらに味わう事になるわ。

凄まじい激痛を伴いながら戦う事になる。今度は私も痛みを和らげることはできない。それでもかまわない?≫

それ……、ようするに修行不足って事だよな?……それしか手がないならやるしかない……!頼む!ソラ!

≪やっぱり……やるのね。じゃあこれから私が謳う詩を一緒に詠んで?≫

 

≪──────────────────≫

 

わかった……、覚えたよ、ソラ

≪覚悟は、いいわね?司≫

 

「クヒャヒャヒャヒャ!!!小僧!?一年ごとに儂に生娘を贄を捧げよ!さすれば貴様を一年の間生かしてやるぞ!?」

「ハ……!神話の時代と同じ事やろうってか?進歩がねえな!この蛇は……!」

「蛇じゃと……!?我を愚弄する気か!?小僧!?」

「その汚い口塞いでやる!ソラ!やるぜぇ!!」

≪うんっ!来て!司!≫

 

体に負担がかかる?苦しい?痛い?

義姉さんを救えるならなんだって耐えてやる!

 

俺に残された、たった一人の家族なんだ……!

義姉さんを絶対に……守るんだ……!

 

≪「神の代より伝わりし三宝が一つ!我は力!我は剣!我は守護者!我が名は天羽々斬也!≫

 

神装器神……!

 

俺の体を白雷が纏い

真白い鎧が装着され俺の体から白雷が放電される

 

バリバリバリバリ……!!!

 

俺の体からとてつもない力でが放出され、体を中心に白い柱が立ち上り、本堂の屋根をぶち破る

本堂が俺から放出される力で激しく軋み歪み始める

 

キュィィィィィン

 

体の奥底から力があふれ出てくる

 

「ぐっ!!があああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!?」

 

全身に襲い掛かる激痛に体をのけぞらせながら絶叫し痛みを耐える

 

体を雑巾搾りで絞られるみたいだ!

全身に先ほどよりもさらに上の激痛が走る

 

痛い……!?

何を痛がってんだ?俺は……!

今……!一番痛い思いをしてるのは!

俺じゃない……!

義姉さんだろうが……!!

この程度で痛がってどうすんだ!?久我司ぁ!!!!!!!!!!

 

「ぐ……っ!クチュクチュ……ペッ……!はぁっ……はぁっ……」

口の中の血と吐しゃ物らしきものを吐き出し多少すっきりした事で、

少しだけ気持ちが和らぐのを感じる

 

ソラが言っていた通り、この状態はすさまじい激痛を伴うみたいだ。

けど……いつもの俺じゃ考えられないくらいの力を……感じる……!

 

これなら……、やれるかもしれない……!

この蛇野郎をぶっ飛ばして……姉さんを助けなきゃ!

 

≪この状態はそう長くは維持できないわ。司の体が壊れてしまう前に一気に決めて!司!≫

ああ!わかった!ソラ……!

 

はぁっ……!

今……、助けるからね……。義姉さん……!

 

「お待たせ!援軍が到着したわっ!」

「つ、司……!?」

「……今、助けるからね、義姉さん」

 

≪「神に抗う愚か者よ!天上の一撃を以って滅びよ!」≫

 

次の瞬間義姉さんを捕まえていた触手を、白雷を纏った白く輝く剣で斬りつける

 

シュババババババババババババババババ!!!!!

白い雷光が八岐大蛇を引き裂く

 

「ぐがあああああああああ……!?小僧!?この力……!?貴様……!まさか……!?」

「……っ!!!」

≪くっ!?やっぱり高天原になったばかりの司の力じゃ討滅するのに力が足りない……!!≫

 

ちくしょうっ……!!!!?

これだけの大きな力でも足りないってのか!?

 

「おのれ!忌々しい神々めが!?覚えておれ!?我の力が戻った時真っ先に貴様を喰らってやるわ!」

 

≪っ!?まずいわ!次元を超えて逃げるつもりよ!≫

 

「っ!?待て!?蛇野郎!?義姉ちゃんを返せ!!」

 

八岐大蛇の背後に黒い巨大な空間が開く

義姉さんを捕らえたまま八岐大蛇は背後の空間に掻き消える

 

巨大な龍の頭が完全に消え去り、龍が発していた強大なプレッシャーと妖力は掻き消えた後、

 

龍が消えたのを確認し安心したのか、俺の体からスッと力が抜け、俺が纏っていた鎧も消えその場に倒れこむ

 

「あっ!?ちょっと!久我君!?ねえ!」       

≪司……!≫

 

義姉さんとセレナさんの言葉が遠くなりはじめ、意識を失う

 

三人称視点

離れの司の自室

 

≪司……≫

「久我君……」

≪……命拾いしたわね?あなた……。封印が解かれてすぐの、

まだ力が安定し切っていない状態だったから、今の司の力でも退けるはできたわ……≫

 

司の腕に宿る「天羽々斬」が語り始める

 

「あの、さっきの久我君の姿……。あれは……」

≪……あれは神器の力を開放した状態よ。神具と一体化したと言えばわかりやすいかしら≫

「神具と一体化……!?」

≪……元々神具とは神が道具に宿った物、と言うのは知っているわね?≫

「ええ……」

≪私達神具は通常その宿主が耐えうる範囲で力を貸すの≫

≪先ほど司が使っていた力は、本来今の司では到底使えない程の力を開放したの≫

「……それじゃ久我君の体に相当の負担があるんじゃ……!?」

≪あるに決まってるでしょう。「高天原の民」に生まれ変わって信じられない程の激痛と苦しみ、

そして、神の代より「高天原」の全ての情報が一度に流れ込んでいたはず。

そんな中さらに凄まじい痛みを代償に神に最も近い力を使ったの。正直、生きてるのが不思議なくらいよ≫

 

「久我君……」

名前を呼びながらセレナが司の手を握る

 

ポタッ……タッ……

 

セレナの目から涙がこぼれ司の布団に落ち染みを作り出す

 

「久我君……ごめん、ごめんなさいっ!私を、私達を助けようとして……!」

 

「くっ……!ソ、ラァ……?」

≪司っ!?大丈夫なの!?≫

「司!?」

「久我君っ!?」

「……っがあああっ!?はぁはぁっ……!」

司が無理やり体を起こそうとして激痛に耐える

≪司!?寝てなさいっ!?なにやってるの!≫

「ソラ……っ!くっ……義姉ちゃんは……!?」

「ダっ!?ダメよ!?久我君!寝てないと!」

 

セレナが司の肩を抑え布団に寝させる

 

「はぁっ……、はぁっ……!あぁ……セレナさん……怪我、は……?大丈夫ですか……?」

「久我君!?わっ!私は大丈夫よ!目が覚めたのねっ?私家の人呼んでくるわっ!」

「はぁっ……はぁっ……よか……った……ふぅ……はぁ……」

≪……この家には司がどれだけ苦しんでいても、助ける人なんていないわ……≫

「っ!?そんな……!家族じゃ……、家族じゃないの!?パパやママは!?」

≪司のお母さんは、司が小さい頃亡くなったわ、妖怪に殺されてね……。

そして、ついさっき父親も死んだわ……。さっき息を引き取った現当主が司の父親よ……≫

 

「セレナさん……。僕なら大丈夫ですって……ゲボッ…………ぺっ」

 

体を横にした際に司が布団の上に嘔吐交じりの血反吐を吐く

 

 

「私!教会陣営の上司に掛け合って手当できる人を手配してくるわ!」

言いながら、沙百合が立ち上がり納屋を駆け出していく

 

「ソラ……義姉ちゃんは……?義姉ちゃんは……どこだ……?無事なのか……?」

≪司……。沙百合は……、瀕死の状態になった八岐大蛇が逃げる際に一緒に消えたわ……≫

「っ……!俺……やっぱりあいつを倒しきれなかったのか……!!」

「た、助けに行かねえと……!義姉ちゃんを……!」

 

司が体を起こそうとする

 

≪な!?何言ってるの!?そんな体で!……助けに行くにしても体が完全に治ってからよ!≫

 

「ぐっ!?ゲッホゲホッ……!うっ……カハッっ!はぁはぁっ………はーーーーっ……はーーーーーっ……」

「ただいま!今、教会陣営の上に事情を説明して、すぐに治療師の人と来てもらえる事になったわ!」

「う……、セレナ……さん……ゲボォッ……!?」

 

司が再び布団の上に血の混じった吐しゃ物を吐き出す

 

≪くっ……!まずいわ……。「高天原の民」へ生まれ変わらせる際、

強制的に抑えこんだ苦痛の波が、一度に押し寄せてきてる……!≫

 

「……っ!?……天羽々斬さん!タオルどこかしら!」

≪……あなた気が利くじゃない。そこのタンスの中よ≫

「タンスね!久我君!ちょっとタンス開けるわよ!」

 

セレナが司の吐き出した嘔吐交じりの血反吐の上にタオルを敷く

 

「……ありがとうございます……。セレナさん……」

「あなたが今日してくれた事に比べたらこれくらいの事なんでもないわ。

私はあなたに命を救われたんですもの。あなたは、私の英雄よ……」

「ハハ……英雄って、そんな、大げさな……はぁ……。

ああ……、少し気分が楽になってきた……少し、眠ります……」

「ええ、ゆっくり休んで……」

≪私も司の深層意識の中に潜るわ、司の中から傷ついた心を治してくるわ≫

「ええ、お願いします!天羽々斬さん!」

≪セレナ、と言ったわね?≫

「え、はいっ!」

≪……さっきあなたが司の為にしてくれた事、嬉しかったわ。ありがとう≫

「いえっ、そんな……恐縮です。天羽々斬さん……」

≪私の呼び方、「ソラ」でいいわ≫

「っ!はいっ!あのっ!久我君を治してあげてくださいっ!ソラさんっ!」

≪わかってるわ、またね?セレナ≫

「はいっ」

 

十日後……

俺は体調が大分復調し、自分で立ち上がりトイレに行けるくらいまで復調していた

 

「……そろそろ、軽く体動かすくらいは大丈夫かな……」

≪司?何言ってるの?まだまだ安静にしてなきゃダメよ!≫

う、やっぱりまだダメ?

≪あのね……?肋骨が二本も折れて三か所にヒビが入った状態で。

その上「高天原の民」に生まれ変わって存在書き換えの実行中に無理矢理「神装器神」になったのよ?

本来なら死んでいてもおかしくないの。生きてるのが不思議なくらいなのよ?

あの日どれだけ無茶苦茶な事したかわかってる?≫

 

う、うん……。ソラには感謝してるよ

≪……学校行けるようになったからって魔物討伐とかしばらくダメだからね≫

あ、やっぱり?

≪……仮に行ったとしても私力貸さないもーん≫

わ、わかってるって、ソラ様っ!

≪本当にわかってるの?自分が死にかけたっていう事を……≫

え。マジで……?俺そこまでヤバい状況だったの?

≪ええ、治療中に「これは本当にダメかもしれない」って思ったくらい酷かったのよ?≫

じ、自重します……

≪うん、そうして?≫

ソラ、ありがとう……。ソラのおかげで助かった……

≪ふふっ。そうやって素直に相手にお礼が言えるのは貴方の美徳よ。司≫

……それでさ?ちょっと相談なんだけど……

≪ほら来た、ほ~ら来た。何か私が困るような事言い出すつもりよね?これ≫

こ、困らせる気は、ないよ?

≪……聞くだけ聞いたげる≫

怪我が完全に治ってさ、魔物討伐とかもしてもいいくらいになったら……

≪……なったら?≫

俺に修行つけてくれないかな?

≪ほら見ろ~!私が困る事言い出したー!≫

ま、まぁまぁ!待って!聞いて!最後まで聞いて!?ねっ!?

≪……聞くだけよ?≫

今回の事で自分が力不足だって痛感したんだ……

ソラは、スサノオと一緒に数々の戦場を生き抜いてきたんだろ?だったら戦闘のプロだろう?

だから頼む!ソラ!!

義姉ちゃんを……助けるために修行つけてくれ!

 

……たぶん、……俺があいつにつけた傷ももう治ってるだろ

それで、この間よりも力も安定してるはずだ

だったら、俺も修行して今以上に強くならないと姉ちゃんを助けられない……!

 

俺は右手に宿るソラをガン見しながらその言葉を遮る

 

≪……っ!うぅ……。そ、そんな真剣な目で言われたって……≫

俺にはソラしかいないんだ!

≪くっ!うぅ……わ、私しか……いない?ホントに……私、だけ……?≫

そうだよ!俺にはソラしかいない!頼む!

≪くっうううううううう!でっ、でもっ!本当に死ぬかもしれないんだよ!?わかってる!?≫

わかってる!だから、死なないために修行したいんだ!

義姉ちゃんを救いたいんだ!!

……それに他の「八大宗家」に封じられてる龍が復活しないとも限らないだろ?

だから、その時の為に強くなりたいんだ……!

あの時使ったあの力を……ちゃんと使えるように修行したいんだ!

≪だから、その修行で死ぬかもって話なのに……もぉ!わかった!わかりました!≫

いいの!?ソラ!

≪その代わり、二つ条件がある……≫

条件?何?何でも言ってくれ!俺に出来る事ならなんでもするよ!

≪一つ目、修行の内容については私にすべて任せる事≫

わかった!約束する

≪二つ目の条件……。私の事一番大事にしてくれる……?≫

……大事にしてるよね?俺、ソラの事……雑に扱ったことなんてないと思うけど……

あ、もしかしてこの間うっかり泥まみれの手で握った時の事怒ってる!?

≪そうじゃなくて!あぁ、もう。……よし!もういい機会だから私の姿見せてあげるわ≫

え……。ソラの、姿……?ソラに体なんてあったの……?

≪あるわよ!失礼ね!≫

……今まで見た事なかったし、魂だけの存在なのかなって……。

≪今からゲートを出すわ、ゲートが開いたら入って≫

 

ブオン……

 

俺の目の前の空間が歪みO状のゲートが出現する

 

その中に入って?そのゲートを入れば司の精神世界に入れるわ

わ、わかった……

こう、か?足をまたぎゲートをくぐると、だだっ広い草原だった

 

これが俺の精神世界?

 

≪一応、初めまして、かな?司……≫

 

サァっと軽い風が草原に吹く

 

振り返るとゲートが消えておりそこには、

綺麗な銀髪と服を風になびかせながら一人の少女が立っていた

 

草原の軽い風で髪がふわっとなびくほどのサラサラの銀髪が腰まで伸びていた。

白いワンピースの11~2歳くらいだろうか

身長は俺の胸くらいの…・・・140センチあるかないか位……

表情にはまだあどけなさが残り笑顔が可愛い美少女だった

その幼さの残る顔とは裏腹にたわわに実った胸が、とてつもない存在感を醸し出していた。

胸のサイズはHカップはありそうだ。

しかし、しっかりと腰はくびれており、腰から尻、そして太もものラインは非常に煽情的な曲線を描いていた

街を歩けば即アイドルスカウトが来るであろうレベルの可愛さだ。というかそこらのアイドルより断然可愛い

「完璧な美少女」といっても過言ではないその容姿に俺は見惚れてしまっていた

 

≪ど、どうしたの?司……私なんか変?≫

「いや……、あの……、ソラが想像以上に可愛くて驚いてる……」

≪ふふっ、やぁね。もぉ……いつも話してるのに調子狂うじゃない……≫

空が頬に手を当て少し困った顔をしながら顔を伏せる

≪それで……返事聞かせてもらえる?≫ 

 

言いながらソラが歩いてくる

すごい!歩くたびに胸がプルプル揺れてる!

 

「……返事?」

≪そう、返事。私を一番大事にしてくれる?≫

「……ああ、するよ。俺はソラが一番大事だよ。ていうか。今までしてきたつもりだけど……」

≪えぇ~?そうかなぁ?割とあの女を優先させてる司を知ってるけどなぁ?私……」

 

言いながらソラが俺を下から覗き込んでくる

うーん!俺の神具は可愛いな!

 

「そ、そんな事はないよ!ソラが一番大事だって!」

 

ガッ!

俺はソラの肩を掴み目をまっすぐ見て言い放つ

 

≪っ……、また……そうやって堕とそうとする……≫

「頼むよ!ソラ!義姉ちゃんを助けるために俺に力を貸してくれ!」

≪うっ……、き、効くわぁ、精神世界で直にされるとコレ……

ヤバいくらい効くわぁ~……顔が……熱い……緩む~っ……ふへ……へへ……」

 

よし!もうひと押し!

 

「頼むよ!ソラの事一番大事にするから!なっ!?俺に修行つけてくれ!」

 

≪う。うん……。わかった……。でっ!でもっ!うっ、浮気はダメだからねっ!?≫

「う、浮気?俺にはソラがいるのにそんな事するわけないよ!」

 

≪じゃ……、じゃあ……、あの、……その、証拠……!証拠見せて≫

「……証拠?」

≪……その、……その、ね?司と……接吻……してみたい……」

「せっぷん……。あぁ~昔の言葉でキスの事だっけ……。って、キス!?」

 

コクッと顔を真っ赤にしながら頷くソラ

 

≪……司は、私とじゃ……嫌?≫

 

ちょっと泣きそうな顔で上目遣いにそんな事を聞いてくるソラ

 

俺が女の子からこんな事言われる日が来るとは……

人生何があるかわからない……

 

「……あの、するのはいいんだけど、その、俺したことないし。上手くできるかどうかも……」

≪そんなの知ってるわよ。私は司の半身なのよ?司の事なら何でも知ってるわよ。

それに私もした事ないし、したことない者同士大丈夫大丈夫」

「え、ソラもした事ないの!?マジで!?」

≪あるわけがないじゃない。そもそもこの姿を見せたのも司が初めてよ?≫

「え、そうなの……?なんで俺には見せてくれたの……?」

≪さっきも言ったでしょ。司は私の事を一つの存在として認めてくれてるって。

今まで私の宿主達は、私を道具としてしか扱わなかったわ……≫

「そんな……」

≪さっき、セレナが工場で言ってでしょう「神具は道具」って考えの人って多いのよ。

実際、私がお説教するまであの子だってそうだったでしょう?」

「あ……確かに」

≪それに、そういう風に感じた人にはそもそも声も聞かせないし……≫

 

≪ね……しよ……?≫

ソラが一拍空けた後目を閉じて顔を上げる

 

「ええと……、大事にするから、ソラ……」

≪ん、うん。ほら?早く……?≫

「……っ」

ソラの顔に顔を近づけ唇を重ねた後、唇を離した後数秒見つめあった後……

 

≪んっ……ん~~……っ。ふふふっ!えへへっ……!!幸せぇ……えへへ……≫

 

にへぇ……っと顔を緩ませながらぎゅっと腰に手を回してくる

 

ぷにゅっ……

ボリュームたっぷりな胸が押し付けられその柔らかな感触は非常に気持ちがいい

 

「ねぇ……、ギュってしてぇ……?」

 

甘えた声で可愛いおねだりをされてしまう

 

「こ、こう?」

ソラの背中に手を回しギュっと抱きしめる

「ぁんっ……。ふふっ……あったかーい……司の体温が伝わってくる……」

「俺も、ソラの体……あったかいね……」

「あのね、こうして、耳当ててるとね?司の心臓の音がドクンッ!ドクンッって聞こえてくるの……」

「え……マジで……?」

「ふふっ。ホントよ?今すっごい司がドキドキしてるのわかるもん……」

「こんな可愛い女の子にキスした後抱っこしてたら誰でもこうなるって!ならない男いないって!」

≪か、可愛い……私が……ホント……?≫

「俺がソラに嘘ついたことある?」

≪うん、ない。ていうか嘘つこうたって、魂がつながってるんだから無理だろうけど……≫

「うん、だろ?」

≪ま、その点は割と安心してるんだけどね?司私と話す時だけ「俺」って使うし……≫

「あれ、やっぱ気が付いてたんだ?」

≪気が付かないわけないでしょ?だって、他人とか目上の人相手だったりしたら「僕」って使ってるってわかるわよ。後敵に対しても「俺」って使うわよね≫

「うん、まず気遣いする必要がないじゃん?敵に」

≪まあ、それはそうねえ……≫

 

うーん、キス……しちゃったなぁ……

これは、やっぱりちゃんと態度として示さないとダメだよなぁ

俺とキスしたいって……やっぱ、そういうことだよな……

……よし。決心しよう

これは、きっちりした態度で応えないとソラに失礼だよな

 

「あー、ソラ……?キスした後で言うのも遅いって、自分でも思ってはいるんだ。正直反省してます……」

≪……うん≫

「でも、言わないとダメだと思うから、言うね?」

≪うん……≫

「ソラ?いつも俺を支えてくれてありがとう。ソラのおかげで俺は今までやってこれた……。

これからもソラの事大事にするからいつまでも俺のそばにいてくれ。ソラ、愛してるよ」

 

ソラに軽めのキスをして俺の告白を終わる

 

≪え……ぁっ……≫

 

……おや?ソラの様子が……なんかおかしい?

カタカタカタカタカタカタ……っ!

 

うわっ!ソラが壊れた洗濯機みたいに微妙に振動してる!?

 

≪あっ……あ……、あ”ああぁぁぁぁっ……!?≫

「う、うわっ!?だっ!大丈夫かっ!?ソラっ!?えっ!?アレか!?やっぱ嫌だったとか!?」

≪ふ……ふぇぇぇぇっ!!!違うっ……違うの……≫

ソラが目から大粒の涙をぽろぽろと流し出す

 

「え!?違うっ!?やっぱダメだったか!?」

≪そうじゃなくてっ……!違くてっ!これは、嬉し泣き……。だって、司今までずっとあの女ばかり見てたもん……。

私の事なんて仲のいい仕事のパートナーくらいにしか思ってないと思ってたもんっ≫

「あ……えと、ごめん……その、こうはっきり態度で示されないとわからなくって……。正直気が付かなかったといいますか」

≪ほ~ら~!やっぱり気が付いてなかったじゃ~んっ!≫

 

ソラがギュっと俺を抱きしめ胸の下に顔をうずめグリグリと甘えてくる

 

「かっ、仮に……、気が付いたとしてもさ?勘違いだったら恥ずかしいし。

やっぱこういうのですれ違いあったらお互い微妙な空気になると思うし……」

≪か、勘違いって、私これだけ好き好きオーラだしてるのに!?≫

「うん……。ほら。俺ってモテないし……。

正直今の心境「まさか!?俺が女の子から好かれるなんて奇跡だ!」って感じだし……」

≪え……本気で言ってる?ソレ≫

「うん。」

≪え……。ホントに気が付いてないの?≫

「……何を?」

≪はぁ~……。恋敵ながら不憫に思えてきたわ……。私ガツンと行っておいて良かった……≫

「ガツン……?」

≪あ。そうだわっ!?いい事思いついちゃった私っ!≫

≪そうだわ。想いが通じ合った記念に二人でいる時の呼び方とか考えましょうよ!≫

「呼び方……?」

≪そうね、私は司の事ダーリンって呼ぶわ!そして司は私の事をハニーって呼んで!≫

 

俺が……だ、ダーリン?そんで、ソラがハニー?

それって……

今までは戦闘時のやり取りが

 

「ソラ!」

「うんっ!」

「な!?何者だ、貴様……!?」

「退魔士・久我司。よろしく。そしてさよなら」

≪私は天羽々斬!ソラって呼んでね!あなたとはもうすぐさよならだけど!≫

 

こうだったのが……

 

「ハニー!」

≪わかったわ!ダーリン!≫

「な!?何者だ、貴様……!?」

「退魔士・ダーリン。よろしく。そしてさよなら」

≪私はハニー!ハニーって呼んでね!あなたとはもうすぐさよならだけど!≫

 

こうなるのか?

 

「……ソラ?なんか変なテレビ見た?」

≪みっ、見てない!≫

「……後でテレビ欄チェックするよ?」

≪うぅ……。ちょっと、ちょっとだけ「昔の流行語特集」っていう番組を……ね?≫

「随分エグいチョイスしたね!?」

 

≪うう、だって……一度言ってみたかったんだもん……≫

「……、わかったよ。じゃあ一回だけ。一回だけ言い合おう?な?それで勘弁して?」

≪ホントっ!?司大好きっ!≫

 

空がさらにギュっと抱きしめる力を強めふにょんっと柔らかい胸の感触が体に当たり気持ちいい

ヤバい、下半身に力が集まりつつある……!

早めに勝負を決めないとダメだ……!

 

ソラが胸の下から顔を上げ上目遣いで見つめてくる

 

「……好きだよ、ハニー」

≪私も、愛してる……ダーリン……≫

 

うーわ。もうわけがわからんくらい恥ずかしいぞ!コレ!

 

≪えへ……へへへへへっ!あ~……ヤバい……顔が……緩みまくってふにゃふにゃする~≫

ソラが顔を胸にうずめてくる

「うん、ヤバいねこれ……」

顔が恥ずかしさで緩む上に、熱い……

 

ここが精神世界でよかったぁぁぁぁ!

ソラと話すって事は第三者から見たら腕に話しかける危ない男だもんな!俺!

今のやり取りを外でやろうものなら……

 

 

学校の校門前

 

≪今日は討伐指令はないの?ダーリン?≫

うん、今日はまっすぐ帰れるよ、ハニー

≪やったぁ、じゃあ今日は帰ってゆっくりイチャイチャできるねっ!

宿題終わってからな……

≪もぉ!すぐしたい~っ≫

 

このやりとりって第三者から見れば

腕にブツブツ話かけながら、顔にやけさせてるヤバい男だろ!?

人に見られたら通報待ったなしの事案じゃん!?

 

うん、本気でこれっきりにしよう……!

人に見られたら俺の学生生活終わる……!

世間体は大事だ。うん

 

≪ちなみにね?この空間が修行で使う空間よ≫

「え、そうなの?ここが……修行の場所……」

≪そう、司の体がよくなったら修行しましょう≫

「ああ、頼むよ、期待してる」

≪私としては。いつも通り退魔士として魔物や悪魔や堕天使狩りして、

倒した時の魂を吸収するのをおすすめなんだけどなぁ……≫

 

「それもやるけど。まずは義姉さんを助けないと。

それにあの龍が……八岐大蛇の頭部が他の「八大宗家」にも封じられているのならなおさらだ……」

≪……他の八大宗家で龍が出現したら……、やっぱり倒しに行くの?≫

「……この「高天原の民」になってから……そう思うようになってるんだよ。

なんていうか、八岐大蛇を倒す事が俺の、役目みたいに感じてて……」

≪……やっぱり。そうね、わかったわ、私も手伝うわ、八岐大蛇の討滅しましょう。それが、私達の運命よ≫

「ソラも……思うところがあるんだ?やっぱりスサノオと一緒に八岐大蛇を倒したから?」

≪それもあるわ……。確かにね。

でも一番の理由は司が討滅するって言う以上は、私は手伝う以外の選択肢はないわ……≫

「……?なんか、引っかかる言い方だね?ソラらしくない言い方だ……」

 

長年連れ添ったパートナーの言葉だからこそ、その微妙な言い回しが気になった

 

≪私はスサノオ様の剣……「天羽々斬」だもの……≫

「うん、知ってるよ、そりゃ……」

≪スサノオ様が……、スサノオ様の魂が転生したあなたが

「八岐大蛇を討滅する」と言うのなら、私は付き従うしかないわ≫

「えっ……!?俺が……、なんだって……!?スサノオ……!?」

 

≪「高天原の民」へ転生させる際、魂を調べたらわかったの。

何重にも封印が施されていて違う魂に見せかけられていたけれど……間違いないわ≫

 

 

≪司、あなたは……。私の主、スサノオ様の生まれ変わりよ────────────≫

 

 

ザァ……!

 

 

ソラのその言葉を草原の風がどこまでも運んでいった──────────────────

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