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『中高一貫キメツ学園』
個性的な先生、生徒たちが多く在籍するこの学園はいつも騒がしい。
バイクで登校する不良や年中半袖裸足の野生児がいたり、礼儀正しく規則を破るピアスの少年にフランスパンを咥えて登校する女子生徒など色物生徒が山ほど存在する。
ついでにいえば、先生も変わった人が多い。
指導が厳しすぎてPTAから目を付けられ、そろそろ教育委員会が動くと噂される体育教師や、「芸術は爆発だ!」と、美術室をダイナマイトで爆破する美術教師なんかがいたりする。
今述べた二人に比べれば、授業中に急に騎馬戦をやりだす歴史教師や授業は鼓を使って古典音楽ばかりする音楽教師が可愛く見えるのだから、この学園に在籍している人物たちの濃さが分かるというもの。
そんな学園の生徒会長は毎日が大忙しなのだ。
これは、日々舞い込んでくるトラブルを解決するために東奔西走するキメツ学園生徒会長・
『キメツ学園生徒会役員』
学校行事の運営や各部活の予算決定などの重要な役割をこなすのが生徒会というものだが、この学園の生徒会は学園内で起きたトラブルの解決も仕事の一つとなっている。
今日もまた、生徒会には様々なトラブルの知らせが届けられている。
「大変です、和先輩! 冨岡先生に対するPTAからの抗議が届いてます!」
「またですか! あの人はもう、これで何回目です!? 冨岡先生には後で話を付けに行くので詳細をまとめておいてください」
高等部一年生の佐藤庶務が慌てて報告してきたのを、内容に呆れながらも冷静に対処する結一郎。
その後のスケジュールに体育教師の冨岡先生への取り調べを書き込んでいると、次なるトラブルが舞い込んでくる。
「じ、事件です! 美術室が爆発しましたぁ~!」
「
中等部二年生の高橋会計が息を切らして駆け込んで報告してきたのを迅速に対応。
一瞬で犯人を特定して、対処する姿は慣れを感じさせるものだった。
美術室が爆発するのが慣れているというのも嫌な話だが。
「結一郎さん。近所の食堂から『毎回食材を全滅させるのはやめてください』と苦情が入ってます」
「……該当する人物はもう当校を卒業してます! そう伝えてください!」
息つく暇もなく、次のトラブルの報告を持ってきたのは高等部三年生の鈴木書記。
彼の報告に少し疲れたような表情をした後、的確に指示を出す。
曲者ぞろいの学園で、結一郎はいつもてんてこ舞いなのだ。
「まったく、どいつもこいつもですよ!」
生徒会長・和 結一郎。中等部三年生の前期から続けて七期目の現在。
彼は一刻も早く生徒会長を辞めたいと思っていたのだった。
まぁ、先生たちからの推薦および、圧倒的得票率のせいで誰も代われないのだけれどね。
彼が生徒会長を辞めるには、あと半年は待たねばならないのだ! 頑張れ!
生徒会に持ち込まれるトラブルに頭を抱えたくなる結一郎。
しかし、嘆いていても問題は解決しないので行動するしかない。
そういうわけで立ち上がり生徒会室から出た結一郎は、職員室へ向かう。
言うまでもないことだが、問題解決の協力を先生に頼みに行く……わけではない。
むしろ、問題の元凶がそこにいるからだ。
生徒会長が問題を起こした教師を叱りに行く。ぶっちゃけ、立場が逆だと思うのだ。普通は。
何が悲しくて指導を受ける立場の生徒が、指導をする立場の教師を叱りにいかねばならないのか。
そんな情けない教師代表が
「さて、何か言うことはありますか?
「なぜ、肩書まで言う必要がある」
「言わなきゃわかりませんか?」
もちろん皮肉である。
職員室で自分の席に座っている冨岡先生に結一郎が見下ろしながら言う。
口調はにこやかながらも目は決して笑っていない結一郎が問いかけに対して、冨岡先生が答えたのは本筋とは関係ない言葉であった。
これが誤魔化そうとか話題を逸らそうとかいう意図ならまだいい。いや、よくはないのだが。
この男、空気が読めていないが故の発言であった。
うーん、頭が痛いぞ結一郎。
「PTAからの抗議を何回もらえば気が済むんですか? あなたは」
「大丈夫だ。問題ない」
「問題だから自分がここにきてるんですが……それと、その大丈夫って『全部自分が責任を取るから大丈夫だ』って意味で言ってるんでしょうけれど、通じませんよ。普通の人には」
今回のトラブルについて文句を言えば、傍から聞けば無責任とも状況を理解していないともとれるような返事に呆れてしまう。
この言葉の足りなさが、トラブルの原因なんだなぁ、と、改めて実感させられてしまった。
それじゃだめですよという、結一郎の真っ当な意見を受けて冨岡先生は反論する。
「和、お前には通じたじゃないか」
「うわぁ、否定しにくいところを突いてきますね、この人」
普通の人には通じませんと言った手前、この言葉を否定したい結一郎。
言外に「お前は普通じゃない」と言われてしまったわけである。
こんなブーメランってある!?
ちょっとイラっとした結一郎だが、こんなことでいちいち突っかかっていては話が進まない。
重要なのはこの後どうするかということだ。
「まあいいです。それで、この後先生にはPTAに謝罪と反省を述べてもらうわけですが……コレの通りに従ってください」
「これは?」
結一郎が手渡したのはA4のプリントの束だ。
両面に文字が印刷されたそれの内容は、簡単に言えば台本であり、問答想定集であった。
「これを全部暗記してください。で、本番では一字一句違わずに、この台本通りに答えてくださいね」
言葉が少ないかあるいは余計なことを付け足して言うかのどちらかが多い冨岡先生対策である。
ここまでしなきゃいけない先生もヤバいが、それに対してこんな準備できてしまう結一郎も大概である。
「こんなものなくても、俺は大丈夫だ」
それなのに、せっかく作った台本を素っ気なく突き返そうとする冨岡先生。
これには結一郎も堪忍袋の緒が切れた。
「はぁ……言うに事を欠いてそんなことを。では、
鱗滝という名前を聞いて慌てる冨岡先生。
鱗滝
キメツ学園の用務員で、この学園の古株でもある。
冨岡先生が学生時代から勤務をしており、かつ、彼の学生時代には大変お世話になったため頭が上がらなかったりするのだ。
「ま、待て、結一郎! ちゃんとするから、鱗滝さんに言うのは待ってくれ」
「冨岡先生……自分は
恩師からの叱責はさすがに辛いのか、思いとどまってもらおうと懇願する冨岡先生であったが、結一郎は無情にも事実を突きつけたのだった。
もう叱られるのは確定事項なのだと。
その言葉にガックリと項垂れる冨岡先生。
「まったく、前回も今回も危うく地元新聞の三面記事に載りかけたんですから鱗滝さんにこってり絞られて反省してください」
「プッ! ハハハッ! 残念だったな、冨岡。派手に三面記事に載るチャンスだったのにな!」
哀れなその姿を笑う人物がいた。
結一郎はその人物に顔を向けて呆れた顔で告げる。
「三面記事定番男が人の事をよく笑えますね! 宇髄先生!」
宇髄
学園教師問題児その二である。
「芸術は爆発だからなぁ、仕方ねえんだよ」
「そんな芸術なんて廃れてしまえ! 本当に!」
芸術は爆発だと言って、本当に美術室を爆破すること数回。
しょっちゅう壊れるので最近なんかは美術室は壁がなくなって吹きさらしみたいになっている。
地元の新聞にはもはや風物詩として掲載されており、もはや誰も警察に通報しなくなっていたりする。
なんで、捕まらないんだ。謎すぎる!
こんな感じなので、本人は全然反省してもいない。
「まったく、そんなんだから給料下げられるんですよ……」
「おい、ちょっと待て、何て言ったお前!?」
しかし、今回はそろそろ制裁が下されたようで。
結一郎がポツリと呟いた一言に聞き逃せないワードがあって驚く宇髄先生。
聞き返された言葉に、結一郎が結構重大な連絡事項を伝えた。
「学園長からの伝言です。『天元、ちょっとやりすぎたね。仕方ないから、今度のボーナス70%カットだよ』とのことです! 仕方ありませんね!」
「Noooo!」
校舎に被害が出ているので弁償というわけである。
極めて妥当な判断。むしろ、今までされていなかったのが温情だ。
ホント、反省して。
もう日も落ち始めた夕方。
部活も終わり、人が少なくなってきた校舎を結一郎は疲れた足取りで進んでいた。
今日も今日とて濃密な一日だったのだ。
卒業生のとある
大変忙しい一日だったのだ。
まぁ、今日に限ったわけではないのだけれど。
「つ、疲れました。し、しかし自分ももう三年生。そろそろ引退の時期です。もうちょっと頑張れば終わりです」
独り言をつぶやく結一郎。
彼の言う通り、もう高校三年生であるので生徒会は任期満了で引退。自分の進路を考えねばいけないころだ。
ここまで学校に奉仕しているのだから内申点は滅茶苦茶高いであろうことは明確。あとは勉学に励むのみなのだ。
「遅くまでお疲れ様、結一郎。頑張っているね」
「
身支度を整えて帰ろうとしていた結一郎に声をかけてきたのは、この学園の長である産屋敷先生。
病弱で普段はなかなか姿を見せないので、声を掛けられた結一郎は驚いていた。
「学園長、お身体は大丈夫なのですか?」
「ああ、心配してくれてありがとう。今日は調子が良くてね。ちょっと顔を出してみたんだよ」
身体を気遣う結一郎に、産屋敷先生は人を安心させるような笑顔で答えた。
その表情も声も一種のカリスマに溢れており、聞く人を否応なく心酔させるような雰囲気を持っている。
彼の言葉に胸をなでおろした結一郎はしばし足を止めて話をすることになった。
「結一郎、君には個性的な子たちが多いこの学園をよくまとめてくれていて助かっているよ。いつもありがとう」
「そう言ってもらえると報われた気持ちになります」
産屋敷先生からの労いの言葉を貰って心が温かくなる。
自分の苦労や努力を認められるというのは本当に気持ちがいいことなのだ。
「もう少しで君の生徒会の任期も終わりだね。長い務めを果たした結一郎にはご褒美が必要だと思うんだ」
「ご褒美……ですか?」
生徒会長として苦労してきた結一郎にご褒美をあげようと言う産屋敷先生に首を傾げる。
ご褒美とはいったい?
「うちの系列の大学の推薦状を時期が来たら出してあげよう。これがあれば優先的に合格させてあげられるはずだ」
「ほ、本当ですか!? ありがとうございます!」
「これくらいは何ともないさ。もちろん、一定以上の学力は求められるけれど……結一郎なら大丈夫だろう?」
学園長直々の推薦状というご褒美が確定した結一郎。
この後の自分の進路に明るい未来が見えて嬉しく思う。
トンデモ学園の生徒会長として苦労してきたのだからこれくらい貰って当然なのかもしれないけれど、嬉しいことは嬉しいのだ。
「ああ、あともう一つ提案があるんだけれど、いいかな? 結一郎」
「はい、何でしょうか?」
喜んでいる結一郎に産屋敷先生がそっと声をかけてくる。
返事をした結一郎だが、ふと何か嫌な予感がよぎる。
長く生徒会長として過ごしたせいで身についた第六感が訴えかけてくるのだ。
なんか、重大なことが起こるぞ! と……
「さっきの推薦なんだけど、もしある学部を受けるならさらに受験料・入学金・授業料が免除になるんだけれどどうかな?」
「す、すごい大盤振る舞いですね! ど、どの学部なんですか?」
いろいろなことが免除になると聞いて、しかし、素直に喜べない。
何故って、そりゃあ、世の中
引きつりそうになる表情を必死で取り繕いながら尋ねたその学部。産屋敷先生はニッコリと答えた。
「キメツ大学の教育学部だよ。結一郎」
君にピッタリなんじゃないかな。
そう告げられて結一郎はなんて答えたらいいのか分からなかった。
自分の進路の明るい未来が見えたと思ったら、
人を安心させるような表情・声音で告げてくる産屋敷先生。
その言葉に従えば恐らく、安定した未来が待っているのだろう。
なのに、どうしてこうも不安が消えないんだ?
もしかしたら、この学園から自分は逃げられないのかもしれない。
結一郎はふと、そんなことを思った。
オマケ『没になった鬼の結一郎 冒頭部分』
闇に潜み、人を喰う鬼。
その首魁である
鬼が自分の命令に従うのは当たり前。
自分の望んだ結果を出すのは当たり前。失敗することなどありえない。
正体の露見につながるような愚か者など不要。自身の名を呼ぶことすら許さない。
そんな彼に従う鬼たちは、逆鱗に触れぬよう戦々恐々としながら過ごしている。
そのため、無惨の怒りに触れないように彼の傍に仕えることを許された鬼に相談をする慣習ができたのだという。
これは鬼たちから
“
以下、ダイジェスト
響凱「鬼としての成長が伸び悩んでいるので、強くなる以外の方法で無惨様に貢献したい」
覚鬼「なるほど、それで金を稼ぐための小説の出版ですか」
響凱「作品ができたので読んだ感想を聞かせてほしい」
覚鬼「ほぅ、どれどれ……」
(貧乏御家人の次男坊が異世界に迷い込み無双しながら立身出世して美女に囲まれてイチャイチャする話)
響凱「どうだろうか?」
覚鬼「……ちょっと時代を先取りしすぎたかもしれません。百年ほど」
猗窩座「鬼狩りの柱の一人を倒したぞ。これなら無惨様も誉めてくれるはず」
覚鬼「ちょっと待ってください! たぶん、それ言ったら怒られますよ!」
猗窩座「何ィ!? 何故だ!」
覚鬼「いや、あの、無惨様は『鬼なら人間を殺せて当たり前、それより青い彼岸花は見つかったのか!』って言いますよ。きっと」
猗窩座「……どうすればいい? いや、なんとかしろ、お前!」
覚鬼「えぇ!?」
累「ねぇ、僕の家族になってよ」
覚鬼「すみません、お断りします」
累「長男の役割は嫌か? でも、役柄としてはピッタリだと思うんだけどな」
覚鬼「あの、どの役割がいいとかそういう話ではなくてですね……」
累「仕方ないな、うん。次男の役割ならどうだろう?」
覚鬼「話を聞いてください!?」
童磨「いやあ、すまない。人を食べているところを信者に見られてしまったんだ」
覚鬼「またですか!? ちょっとは警戒してください!」
童磨「申し訳ない、反省しているよ。それでなんだけど……」
覚鬼「はぁ……分かりました。自分の血鬼術で記憶を消しておきましょう」
知らなかったのか? 産屋敷先生からは逃げられない。
次回は那田蜘蛛山です。炭治郎たち+水柱・蟲柱コンビと合流です。
サクッといきたいところ。