◯KV-1重戦車(
◯Ⅲ号戦車J型(
◯T-34中戦車(ヒ
×T-26軽戦車(オ
×T-26E軽戦車(ト
×BT-42突撃砲(妖
×BT-7快速戦車(オオ
▼ワッフル学院
◯
×105mm榴弾砲搭載型
×ルノーAMC35(AGC1)
×ルノーAMC35(AGC1)
×ルノーAMC35(AGC1)(琳瑚搭乗)
×ヴィッカーズT-15軽戦車
×ヴィッカーズT-15軽戦車
×ヴィッカーズT-15軽戦車
◆ワッフル学院:
討ち取られるまでに敵四輌を撃破、十分過ぎる戦果を上げてくれている。対して、私達は西側道路で釘付けにされているだけであり、立てた作戦も全て打ち破られていた。相手のBT-42突撃砲が規格外の存在であったことは言い訳にならない。受け止めるべき事実は二つ、新入りが多大な戦果を上げており、先達が彼女達の足を引っ張っている。つまるところ、今の私達はただの老害。このまま負ける訳にはいくまい――と意気込んでみせたところで、今や私達の戦力は
それでも意気込まなくてはなるまい。万に一つの勝利もありえないのであれば、億に一つの勝利を。億に一つの勝利もありえないのであれば、兆に一つの勝利を。まあ今回はダイスを振って
私、
「や、やめろ! やめるんだ! また車内を砂漠化させて干上がらせるつもりか!?」
練習試合を開始した時から
まあ作戦自体は理に適っていたので追求することはやめていたが――今となっては配慮するに値しない。
「隊長、君は少し疲れているんだな。この薬を飲むと良い……きっと君を更なる境地へと至らせてくれる」
そう言いながら股間部に貼った冷えピタを少し捲り、そこから粉薬の入った包みを取り出した。
「お、お前……その薬はいったい……いや、今どこから出した!?」
「これは漢方狐目ダイナミックだ。それっぽいのを色々と入れたから最悪でも気付けの役には立つはずだ」
「おい、やめろ! 死にたくなーい、死にたくなーい! むぐっ……うぇっ、これ湿ってるし、むわってるし、ちょっと粘ってるし……やめ、やめっ! やめろおおおおおおおおおっ!!」
叫んで大きな口を開けている中に漢方薬を突っ込んで、コジマジュースと一緒に流し込んだ。
漢方狐目ダイナミックの効能は一時的な気分の高揚に加え、強制的な覚醒状態に至らせる。しばらくすると記憶を喪失したり、強い禁断症状により、漢方狐目ダイナミックを求めて街中を徘徊するようになる副作用があったりする。
ちなみに福井は既に何度か服薬しているが、すべからく記憶を失っていた。
「ま……ま…………マ……」
福井が恍惚の表情を浮かべながらガクガクと身を震わせ始める。
泡を吐いて、気絶するまでが何時もの流れ。
残念だが、ここから先に勝利を目指さない者は必要ない。
「マ……マイネーム イズ パルヴァライザー」
「ロボになってるーっ!!」
急に動きが硬くなった福井に「な、何を言っているんですか。隊長がロボのはずないじゃないですか」と操縦手の針尾が困惑気味に答える。ガガガ……ガピ……ガピピ……、と白目を剥いた福井の口から不協和音が零れて、そして機械音声のような声が発せられた。
「ロボチガウロボチガウロボチガウロボチガウロボチガウ……」
「ロボだこれーっ!!」
針尾が声を荒げた、それでも操縦桿から手を離さないのは流石だった。だらだらと涎を垂らして白目を剥いた福井は、カタカタ震えながらキューポラより周囲を見渡した。
「レイヴン……オマエハ……カテナイ……」
相手は傭兵ではないのだが――ジッと福井に睨まれて、ゾクリを身を震わせた。
なんだか、大変よろしくないものを目覚めさせてしまった気がする。
……コジマジュースがいけなかったのだろうか?
◆継続高校:
あとは消化試合のようなものだ。
俺、
さて、俺達はどのように動こうか。このまま真正面は
と考えた時だ。敵車輌……
その瞬間、真正面からの砲撃を受ける。傾斜装甲に優れたT-34中戦車、装甲を削られながらも砲弾を弾き逸らした。
照準器を覗き込んで敵戦車に反撃しようとするも砲身が下がり切らない。
「俯角が足りないか……ウチの戦車の弱点を突いてくるな」
坂を下り切らない中腹辺りを
道路の上から狙うには俯角が足りず、かといって下り坂に身を乗り出せば、車体を傾ける瞬間の隙ができた。さて、どうするべきか。上で待ち受けるのも良いが、それだと相手を視認できなくなる。前進からの急停止で車体を前屈みにすることができれば、相手を狙い撃つこともできそうだが……そんな芸当を頼めるのはミッコの他に妹のマリ、そして綾子くらいなものだ。まだ一年生で初の実戦を経験する操縦手に頼めることではない。
では、どうしようか。勝つ為に必要なことは――と、考えたところで「チェックメイトしてるじゃないか」と思い至る。
相手が西側に降った時、ほとんど勝負は付いていた。
「パッパ、どうするの!?」
と問いかけてきたのは操縦手の
「どうしたい?」
「撃破したいに決まってるじゃない!」
俺の問いかけにいの一番で答えたのは
「ずっとあいつには苛々させられ続けてきたんだよ! 倒してスカっとしたい!」
「そうだねー、私もみんなと一緒の意見かなー?」
次いで装填手のまひる、そして通信手の
なら少し無茶をしてみるのも良いかと考えて、「どうしたら良いと思う?」と答えが分かりきった質問を重ねる。
三人は見合わせて、そして私を見つめて威勢良く声を上げる。
「「「真正面からぶちのめす!」」」
それじゃ撃破スコアを稼ぎに行こうか、と俺は前進を指示した。
◆継続高校:
こんにちは、こんばんは、おはようございます。
そして、お待たせしました。皆のネットアイドル、瓶底眼鏡をかけた白衣の天才幼女先輩こと
誰彼、其れ此れ、いまそがり、試合開始から西側通路で敵戦車と対峙し続けること幾十分、砲撃、砲撃また砲撃と牽制しながら敵を封じ込めることに注力し、なんだかんだで最終局面まで生き残ることができた。もしかしてだけども、私達って運命の女神に愛されているのかもしれない*1。
ここは最後の一輌を撃破して、バシッと決めちゃいましょう! やっちゃいましょう、そうしましょ! と、フンスフンスと鼻息荒くして意気込みながら繁みに車体を隠しながらチマチマと砲撃を繰り返す。前進? あ、駄目だよ。ちゃんと
生放送でプレイしていたW◯Tなんて全然関係ないよ。昨日、初めてスコア一位になれたことなんて関係ないよ!
「いっつも芋撃ちばっかりしてるからスコア伸びないんですよね」
「堅実なのは良いことだ! 馬鹿みたいに前に出るよりも、よっぽどチームの為になってるって!」
「動画映えはしませんがね」
「この前、視聴者千人超えてたじゃん! 大丈夫、大丈夫! みんな私のプレイングに惚れ惚れしてるよ!」
「それ、プレイじゃなくて、部長を見に来てるんですよ」
「……えっ?」
私がみんなを見つめるも、みんなは無言で自分の仕事を黙々と熟し続けるだけだった。
「私が投稿したTAS動画とか結構、人気あったよね?*2」
「生放送第一回では“やっぱりTASさんは幼女だったじゃないか(光悦)”っていうコメントに溢れてましたね」
「“凄腕の海外プレイヤーではなかったのか(困惑)”とか“金髪じゃないんだな(疑惑)”とかも流れてましたよ」
「設定盛りすぎっていう意見も多かったですねー」
「ぐぬぬ……DDRのコントローラーでマ◯オをプレイしてみたとかめっちゃ人気あったじゃん!」
「あれって部長が小刻みにぴょんぴょん跳ねてる姿が可愛いだけの動画ですよね?*3」
むぎゃおー! と、私が戦車長席で手足をバタつかせると、この人って狙ってやってたわけじゃなかったのか、という冷たい視線を浴びせられた。いや頑張ったんですよ、とっても頑張ったんだよ。ちゃんとク◯パまで倒したんだよ、それを可愛いだけとか酷すぎないかな!?
「あ、部長。敵の
「エトナはどうしてる?」
「前進しました、道路の上から砲撃するつもりですね」
「よし、合わせるよ!」
エトナのT-34中戦車と合わせなが道路から西側に車体を乗り出させる。するとT-34中戦車が前部に砲撃を受けた。
「よし、下がろう」
「もうちょっと頑張りましょうよ。KV-1が前に出なくてどうするんですか。W◯Tをプレイしてる時に、重戦車はもっと前に出ろよーって、いっつも部長が言ってるじゃないですか」
「ゲームと現実を一緒にするのはいけないかなあ!?」
「ゲームよりも気持ち悪い動きをしている人が三名ほど味方にいますけどね」
やいのやいのと仲間達と言い争っているとT-34中戦車が前進する。どうやら真正面から
「ほらー、
「うるさいなあ。ほら、エトナが真正面から行くなら私達は側面を取るよ。とりあえず道路上をちょっと南進して、上から見下す感じでお願い」
「はいさっさ。部長って保身を取る時の決断は早いですよね。狙ったわけじゃないのにキルスコア0でのドン勝経験者は伊達じゃないわ*4」
「部長のFPSの生放送って、基本的に芋るか逃げ回るだけなのになんであんなに人気あるんですかね?*5」
「そりゃ部屋の隅っこで足音にビクビクしてるクッソ情けない姿や、半泣きになりながら地面を這いずって激戦区から逃げる惨めな姿を見に来てるんでしょ*6」
「P◯BGは五位圏内常連さんなんだぞー! 一度の配信で一回はドン勝してるし、一対三もヘッドショット三連発で切り抜けたことあるわ!*7」
「この人、エイム強いのになんで逃げ回ってるんだろ?*8」
怖いからに決まってるじゃん! と怒鳴りながら敵の側面を取るように南進する。
もう既に何度か砲撃音が聞こえているので決着が着いているかもしれない。
◆継続高校:
不安定な足場、車体が斜めに傾いている。
それを必死に押さえ込みながら前進を続けさせるのは
俺はただ砲身のグリップを握り締めて、静かに時を待ち続ける。タイミングは
その獲物を見定る双眸は、敵を通して俺に向けている気がするのは気のせいか。
嫉しげな顔でじっとりと俺を見つめる二人の視線には「ほら、ちゃんと前を見ないと」と指で相手を差せば、渋々と二人は前を見つめる。もし仮に未来が上手くいけば、二人にもなにかご褒美を考えないといけないな。もちろん、未来とは差を付けないといけないので、その辺りも考えておく必要がある。
この戦車チームを結成してから肩身が狭くなることが増えた気がする、そしてミカと妹からの反応が冷たくなった。
溜息を一つ、照準器を覗き込んだ。
◆ワッフル学院:
豹変した
炎天下の真夏よりも暑くなりつつある車内にて、福井は顔色ひとつ変えずに指示を送り続けている。坂道を下り切らないのは、俯角の足りない敵二輌の照準を付け難くする為に違いない。T-34中戦車が下り坂を降りてきた時も彼女は冷静さを失うことなく、「相手の足元を狙え」と指示を出し、その命令に従ってT-34中戦車の履帯付近、相手から見て右側、車体の傾いている方を砲撃すれば――削られた地面と一緒にズルズルと滑り落ちるようにT-34中戦車は下り坂の一番下まで落ちていった。
その真上を取った私達は、一度車体を停止させ、敵戦車の頭上から砲弾を叩き込んだ。
白旗が上がる。今度はKV-1重戦車を倒すべく、坂を駆け上がりながら敵戦車に接近する。硬い装甲を持っているにも関わらず、KV-1重戦車が後退したところを見るに相手は臆病なようだ。煽るように行進間での砲撃を一度、放って、そのまま道路の上まで登る――その瞬間、強い衝撃が車体を揺らした。砲撃、だと? 登りきった直後、まだ斜めに向いていた車体を押すように横から砲弾を撃ち込まれた結果、履帯の片側が浮いてしまった。だが、まだ横転するほどじゃない。すぐに反撃に移れるように照準器を覗き込む――するとKV-1重戦車の砲口は私達に向けられているのを私は見た。まずい、と思った時にはもう遅い。狙い澄まされた一撃は、浮いた履帯の下を更に押し込むように当てられる。
そのまま
パシュッと白旗が上がる音がした。
この話も次で最後になります、たぶん。
話の都合上、飛ばされてますがオオハクチョウチームはひっそりと一輌、撃破してたりします。