第1章 第2話 仲間
魔法都市エンディミオン、見習いの魔術師から熟練の魔術師たちが魔法、魔術、魔導を学ぶべく作り上げた巨大な都市である。
ステータスが低くとも必要なのは魔法や知識、そして魔法の研究が盛んに行われている、始めて魔法を使うものたち、魔術に目覚めた者、魔導を目指す彼らは都市に設立された学園に通い『魔』の力を向上している。
いくつもの魔法学校、魔法研究所、脳科学研究所、魔法科学研究所、王立魔法図書館に魔道書を管理している書庫がある魔法都市はすべての魔法使いにとっては憧れの街とまで言われているほどだ。
学科に対しても普通学科の他魔法系統別に分かれており、それら全てがエキスパート達によって生徒たちを指導や説教(祈り?)している。
我々『魔』を使うものにとっては夢のような都市であると同時に己の才能に悩まされながらもライバルたちによって置いていかれる恐怖心がでる都市なのだ。
故に気を付け、己の向上のみを目指し押しつぶされぬようにしなければならない。
――――魔法都市エンディミオン視察 クリッチーの世界都市
「はい、では次のページを……キャロさん、読んでください」
「はい!」
黒板の前に立っている綺麗な先生、ホーリー先生に名前を呼ばれて『精霊界』という教科書を持ち立ち上がった。
私は今魔法都市エンディミオンのいくつもある魔法学校の1つに入学している、ダルク君は元々入学していたけれど力の制御が最近まで出来なくって大賢者様のところで修行をしていたとも聞いた
ダルク君とは学年が違うから会えないけれどお昼にはよく一緒にたべているの、なぜかダルク君のクラスメートさんたちの目がどこか怖いけどなんでなのかな?
まるで獲物を狙う肉食動物が邪魔入った事で悔しさとムカツキが合わさった目で私を見つめる、1度ダルク君にも聞いてみたけれど普段は優しくて笑顔が綺麗で可愛い人たちだけどたまに私以外の女子生徒にも睨みつけるような目をするみたい。
同じ学科だから仲良くして欲しいみたいだけど、なかなか上手くはいかないとのこと。
そういえばダルク君と始めてこの魔法都市エンディミオンに来た時に会った魔法都市長のエンディミオンさんはフリードを見て声は驚いていたけれど仮面で顔は見られなかった、でも面白い人みたい。
それに優しい人で私に魔力が宿っていることを知るとスグに学校に行けるようにしてくれたし、寮もダルク君と近い場所にもしてくれた。
最初エンディミオンさんに魔法を使って、フリードを使って傷つけるのが嫌だと言ったら笑って頭を撫でてもらった。
そしてこんなことも言ってくれた。
「力は何も属さぬ、魔力も同じことが言える。
魔の力と書いて魔力! だが、所詮は力の塊だ、力の塊をどう扱うのかは術者の心の持ち用だ。
術者が悪道に走るのならば力は破壊と破滅を呼ぶだろう、だが術者が正しき義に走るのならば例え破壊と破滅に特化した力も救いの力となる。
故にキャロよ、常に心を正しき義に向けるがいい、他人を相手のことを考え己だけでは成し得ぬことがあれば仲間を頼るがいい
この魔法都市は力を制御できぬもの、力自体が巨大な者達のために作られたのだ、フリードリヒの制御ができぬというのならば、一から魔力の制御を習い成長せよ」
この言葉を信じて私は学園に入学して一から魔法と魔力を学んでいる、それにクラスメートに始めての友達もできた。
いずれはタイジュの国へ帰るけれど魔法を学んで転移術を学べばいつでもこの精霊界へ来ることができる! そう考えただけで心はすっきりとして毎日が楽しい。
「はい、ではそこまで時間もそろそろ終わりですね、残りの時間を自習にしましょうか、チャイムがなるまで教室から出てはいけませんし、騒いでも行けませんよ?」
『ハーーーイ!』
先生がニッコリと笑ってから教室から出て行ったのを見て、私は窓側の席にいる友達の1人のところへ行く、白魔導師科を一緒に学んでいるピケルは子羊トークン帽子を被っていて私と同じ桃色の髪で同じくらい長い!
しかも私から見てもかぁわいく、よく「罪」のマスクをかぶった男の人達と喋っていて友達も多いの!
「ピケル」
「あ、キャロ! やっとホーリー先生の授業終わったねー」
「そうだね、次ってなんだっけ?」
「次は……」
「次は学科別授業Aですよ、キャロちゃん、ピケルちゃん」
「あ! セーム! ライナ!」
私たちに話しかけてくれたのはセームベル、一流召喚士を目指している女の子! 召喚士科を学んでいて、はにわ?とか、ねこちゃんを召喚してしまう子!
私がいた世界では珍しいダルク君と同じ黒髪でツインテールに緑色のミニスカートを履いて、りゅうこうに乗っているんだって、りゅうこうっというのはよくわからないけど。
セームの後ろにダルク君と同じような服装をした女の子、ライナは光霊使いでダルク君とは幼馴染なんだって、よく私と一緒にダルク君のクラスメートさんたちに睨まれているんだよ!
「学科別授業Aってことはー私とセームとライナが召喚士科でピケルが魔力石科だったよね」
「そうね、セームベル! 頑張ろうね!」
「ハイ! 今度こそ、今度こそ! 成功してみせます!」
「じゃあ、私! セームがはにわ召喚に100ギル!」
「む、ならわたしはーねこちゃん召喚にー100ギル!」
「ハハハハ! じゃあ! アタシはわんちゃん召喚に100ギルで!」
「むぅー!! キャロちゃんもピケルちゃんもライナちゃんもひどいです!」
笑い声が絶えない教室、私が初めて味わう楽しさと嬉しさが交じり合う日々、集落にいた頃よりも楽しくてずっと痛くなるような時間。
これもわたぼうやワルぼうがくれた時間、ダルク君や大賢者様がくれた空間。
いつまでもいたいけれど、時は流れていく悲しさがそこにあった。
いずれは帰らなければならない、タイジュの国へ。フリードとともにモンスター・マスターの旅をしたい。だからここで学ぼう、仲間を癒す魔法を。生活に役立つ魔法を。
本日すべての授業が終了し、教室に残っていたキャロはバッグの中で眠り込んでいる飛龍の子供、フリードリヒをそっと見て起こさないようにバッグのヒモを肩にまわし教室を出た。
ふと、教室内を見渡すが誰もおらず並べられた木でできた机と椅子はきれいにそろっており夕日の真っ赤な光だけが教室を赤く染めていた。
少しさびしさを感じながらドアを閉めてカギでロックした。廊下にある窓ガラスから見える黄色の空と雲は風の精霊達によってさまざまな形の雲を作っている様子や鳥獣族などの翼をもつ者たちは空を飛びまわり、魔力を使い自分の体を浮かし飛ぶ魔法使い、箒に乗る魔女の姿が見える。
エンディミオン都市の主要大通りを歩いていると前に見覚えあるフードコートを着た男の子を見つけた、髑髏の杖を持つ黒髪少年ダルクだ、キャロが初めてこの世界であった人物であり、魔法族の里から共に大魔道士の転移魔法によってエンデミィオンに来た初めての友達でもある
ダルクの隣にはキャロと同じクラスの子である光霊使いライナや先輩達がダルクに引っ付いて歩いており、ダルク自身は非常に歩きづらそうだ。とはいえ全員が笑っており楽しそうな雰囲気だった。
残念ながらキャロがいる寮は別方向だったため、声をかけずまっすぐ寮があるほうへ向かう。
キャロは寮の自室に戻るとバッグをおろし、寝ているフリードを布団の中へ入れてあげた、そして部屋の中にいるもう1匹の子竜に近づき巻いていた包帯をゆっくりととる。その間子竜はキャロの瞳をじっと見ているだけで妨害も鳴きもしなかった。
「まだ怪我があるし、もう少し動き回るのは待ってね」
そういうとキャロは近くにあった箱から新しい包帯と塗り薬をだし、慎重に子竜の体と翼に塗り薬を塗り、包帯を巻いていく、この子竜はキャロが初めて森へ来たときに大けがをして倒れているところを見つけたのだ。
すぐさま竜の体に詳しいキャロは応急処置をしてあまり揺らさないようにエンディミオンに帰り医者魔法師であるリリー先生に診察してもらった所によると、絶対安静と1日に2度、朝と夕方の塗り薬による治療、一週間に1度の診察が言い渡された。
それからキャロの自室でこの子竜は元々フリードの寝場所であった牧場桶の中で寝ているということだ、この子竜を知ろうと図書館で調べてはいるが黒色の成体竜はたくさんおり、また成長し変化するため現段階ではどんな竜なのかは不明とのこと。
燃えるような真紅の眼を持つ黒い子竜。
ドラゴニュートと呼ばれる竜人のような存在に成長する可能性もあるという、元来ドラゴンや竜と呼ばれる種族は神聖なる存在ゆえにプライドが高く、気高い存在である。
怪我をほかの種族にさらけ出す事は屈辱的なことであり、本来なら子竜でさえも暴れるというのに、この黒い子竜は暴れずに治療中もずっとキャロを見ているだけだった。
竜召喚士の里にいたキャロは生まれ育った時から竜と呼ばれる存在は身近なものだった。
この子竜が暴れないのはおそらく、他の竜の匂いを嗅いだからだろう、暴れない竜だからと言ってキャロは友達には言わずほとんど内緒で治療にあたっている、竜は竜だ。
キャロ以外の種族に見られればおそらくは暴れるかストレスとなり怪我が治りにくくなる、ならば誰にも知らせないほうが互いにとっていいはずとキャロは思ったのだ。
竜召喚師として竜をよく知る者にとって竜は最も神秘的で聖域のようなモノだ、そのようなことは出来ない、するはずがなかった。
包帯が巻き終わったところで子竜は静かに牧場桶の中で眠りについた、生命力の強い竜は無理して食べるよりも静かに睡眠をとることのほうが怪我の回復も速い。だからと言って何も食べさせないのもいけない。
キャロはいつもの様にお椀を2つ用意し、1つに井戸から汲んだ水を一杯まで入れ、もう1つに薬草と肉を一緒に炒め、冷ましたモノを入れて、ベッドに寝ているフリードをやさしく抱き上げて部屋から出る。警戒されないようにとプライドを傷つけないようにするためだ。
その後はリビングで勉強をするか外へ出て魔法の練習をするのが最近キャロの生活リズムになりつつある。
今回は後者、外へ出て魔法の練習をするようだ。キャロはカギと魔法の本でもある秘術の書を取出して座布団の上で寝ているフリードを見ると、口を大きく開けている、どうやら欠伸をしているようだ。
「おはようフリード。今から練習に行くけどついてくる?」
フリードはキャロの方を向き、軽く頷き白い羽で空を飛びキャロの腕の中へ入った。キャロはフリードににっこりとほほ笑んでバッグの中へフリードを入れる、フリードはバッグから頭だけを出して一鳴きした。キャロはバッグのヒモを肩にまわしバッグの中にいるフリードに負担がないようにゆっくりと立ち上がった。
そんな姿を遠くの隙間から2つの瞳が見ていたとは誰も知らなかった。そう、精霊界全土を巻き込む大事件が起こることすら誰も、いなかったのだ。
なかなか更新できずにすみません、キャロでやりたいことがたくさんありすぎてまとまらない天魔です。
学校風景を描こうか、魔法発動中のところを書こうか、それともダルクのリア中爆発しろを書こうか。
迷いに迷ってます。
でもまぁ一応この作品は「ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド」を含めているのでタイジュの国へ戻す気はありますけど、さてはていつになることやら(笑)
またこの作品に対する感想をお待ちしてます。
感想を下さると私こと天魔のやる気度が上昇しますのでよろしくお願いします。
どんな感想でも大丈夫です!
「ドラゴンクエスト キャロのワンダーランド」を読んでくださり、誠にありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。