ハイスクールダークディケイド   作:ダークディエンド

1 / 7
帰還

駒王町にある廃墟に突然現れたオーロラカーテンの中から、1人の少年が現れる。彼の名は兵藤一誠。昔、この世界から突然弾き出され、その弾き出された先で得た力を使い数多の世界を巡り、漸くこの世界に帰って来たと言った所である。

 

「漸く帰ってこれたぜ、駒王町。にしても……ったくこいつのせいで酷い目にあったな。まあ、こいつが無ければ俺は帰ってこれなかったのも事実だし、複雑なもんだな」

 

そう言う一誠の手には黒いバックルが握られている。ダークディケイドライバーと言われるそのバックルを彼が見つけたのは世界から弾き出された先の闇の中であり、彼はこれのおかげで世界を渡る力を手に入れこの世界に帰ってこれたのだ。しかし、この世界に帰ってくるまでに本来とは別の物語を歩んだ世界なんてのをいくつも渡る事になった為、彼にとっては力を与えてくれたモノでもあり面倒ごとの種でもあるのだ。特にとある『王』と関わったばっかりに、身体に異物を入れられる羽目になった時は、流石に帰れなくなっても良いから捨てようと思ったほどだ。

 

「はぁ、今更家に帰ったところで何言われるかわかんねえよなぁ。多分、10年以上行方不明扱いされてるだろうし、でも一応帰ってみますかね。気味悪がられりゃ、それでも良いさ」

 

一誠は家に帰る為、記憶を頼りに歩き出す。10年も経てば街並みも変わるもので記憶にない道が出来ていたり、逆にあった筈の建物が無くなっていたり、軽いタイムトラベラーになった様な感覚を味わいながら、なんとか家に辿りついた一誠。表札にはちゃんと兵藤と書かれている為、間違いなく彼の家であろう。少し、緊張しながらインターホンを押す。反応は無かったが、少ししてドアがゆっくりと開いた。

 

「はい?誰ですかこんな時間に」

 

出てきたのは女性、記憶よりも少しだけ老けているが女性は間違いなく一誠の母である兵藤誠奈であった。10年振りの母との再会に言葉が出ない一誠を余所に、誠奈は感極まった様に抱きついてきた。

 

「一誠!?一誠よね!」

 

「……わかるのか?」

 

「当然よ。自分の息子が分からなくて親は名乗れないわ。それにしても無事だったのは嬉しいけど、10年以上もどこに行ってたのよ。心配したんだから」

 

「……ゴメン」

 

「良いのよ。帰ってきてくれたならそれで。さあ、家に入りましょう。お帰り、一誠」

 

「……ただいま」

 

母に引っ張られ、家へと入る一誠。時間的に、父である兵藤一八は未だ仕事の最中の様だ。家の中には、見知らぬ少女がいるが、誠奈曰く妹らしい。一誠が行方不明になった後、産まれたとのことなので知らないのは当然だが、逆に彼女からすれば一誠は不審者以外の何者でもない。誠奈から教えられ、漸く昔から親に聞かされていた行方不明になった兄であると理解したらしい。未だ不安そうにオドオドと話しかけてくる。

 

「お兄……ちゃん?」

 

「まあ、そうなるらしいな。では、自己紹介と行くか。俺は兵藤一誠。今年で確か17かな?君は?」

 

「わ、私は兵藤八奈。14歳です」

 

「14……って事は俺が行方不明になってすぐ産まれたのか?」

 

「そうね。一誠が居なくなって、一年も経たない内に出産したの」

 

そんな他愛もないような事を話しながら、久し振りの家族との会話を噛み締める一誠。途中、父の一八も帰宅し久し振りに兵藤一家は揃ったのであった。

 

 

 

 

 

 




妹ちゃんは一誠が居なくなったことによるバタフライエフェクトの様なもんです。あと、こういう系に多いと思われる一誠の家族(特に兄弟)が転生者という展開はございません。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。