ハイスクールダークディケイド 作:ダークディエンド
この世界に戻って来てから、数日が経った。この数日間、一誠は世界を渡っていた十数年年ですっかり変わった駒王町を見て周り、何がどう変わったのかを理解し始めていた。昔頻繁に行っていた駄菓子屋が今はコンビニになっていたり、空き地だった場所に家が建っていたり、自分の記憶の中の駒王町と実際の駒王町との違いを修正しながら、彼は駒王町を歩き回る。そんな中、彼はこの世界にも人間以外の種族がいると知った。
「旨そうな人間だなぁ…」
と言うよりも、目の前にいる存在がそれを教えてくれたと言うべきか。蜘蛛の下半身と人間の上半身を持つその化け物を人間と言い張るには無理がある。今、一誠は廃墟の中にいた。理由は簡単で、十数年前は此処は廃墟では無かった為、懐かしく思った彼はその廃墟に入ったのである。その結果がこの化け物との対峙。見慣れてるとは言え、この世界にもこう言う存在がいると思うとうんざりしてくる。結局、自分の生まれた世界でも戦う事になるのかと。
「もう使わないと思ってたんだけどな」
「何を言っている?」
「教える必要はない。…変身!」
『KAMEN RIDE DARK DECADE』
ダークディケイドライバーを装着し、左腰辺りに出現した黒いホルダー通称ダークライドブッカーから一枚のカードを取り出し、ダークディケイドライバーに挿入し読み込ませる。この世界における初のダークディケイドへの変身だ。電子音と共に、数多の幻影が一誠へと融合する様に重なり一誠の姿が変わる。
「貴様、神器持ちだったのか!」
「神器?この世界にはそんなのがあるんだな」
「まあ良い!少し力を持ってるからと言って、所詮は人間だ!死ね!」
「おっと」
聞き慣れない言葉にこの世界特有の物かと納得しながら、突進して来た化け物を避ける。このまま戦っても良いのだが、折角の初変身なんだからとバックジャンプで大きく後退し、ダークライドブッカーから別のカードを取り出し、ダークディケイドライバーに挿入する
「お前には勿体無いけど、『王』の力を味わわせてやるよ」
『KAMEN RIDE OOO』
『タカ!トラ!バッタ!タ!ト!バ!タトバタ・ト・バ!』
変身したのは、最も欲深き『王』が初めて変身した三色のライダー、オーズタトバコンボ。一誠にとって『王』は二度と会いたくもない人間であるのは確かだが、それでもこの力を得られた事だけは彼に感謝しても良かった。それ程までに、オーズは使い易く様々な状況に対応できるライダーなのだ。
「さあ、来な!」
「図に乗るなよ人間め!」
振るわれた拳を蹴り上げ、ガラ空きの胴体に駆け出し跳び蹴りを放つ。呻き声を上げながら倒れ込む化け物を他所に、一誠は新しい黄色いカードを取り出し、ダークディケイドライバーに挿入する。
「これで決まりだ」
『FINAL ATTACK RIDE O O O OOO!』
「殺す!殺す!!」
「フッ…ハァ!」
怒りの形相で起き上がった化け物の横振りの一撃を変化したバッタレッグの跳躍で避け、タカヘッドで狙いを定めつつ空中に展開された三色のリングを1つずつ潜り抜け化け物に両足蹴りを叩き込む。タトバキック、それがこの技の名前であり、オーズの必殺技の1つである。これを食らった化け物は当たった瞬間爆発し消滅、一誠はゆっくりと地に立った。
「まったく強く無かったけど、こいつ以外にも化け物はいるんだろうなぁ。嫌になるぜ」
首を回しながら、こいつ以外化け物はいないと言い切れれば良いのだが、今までの経験上一体で終わるなんて事はあり得ない。何処かに隠れているのか、それとも人間社会に紛れ込んでいるのか。どちらかは分からないが害になるなら倒すのみだと結論付け変身を解除しようとした時である。
「━ッ!」
「ハァ!」
扉から入って来た誰かの一撃を腕を交差させて防ぐ。瞬時に後方へバックジャンプし距離を取り、その人物を見る。そこで一誠は内心舌打ちをした。視線の先、自分を攻撃したであろう白髪少女とその後ろの数人、人の形をしているとは言え先の一撃は重く少女の見た目から出せるものでは無い。ともなると、先の化け物の仲間の可能性もある。この状態のオーズで大勢を相手取るのは少し辛い、隙を見てフォームを変えようとダークライドブッカーに手を伸ばしつつ、構えを取る。
「さて、先の化け物のお仲間さんか?」
「…貴方こそそうなんじゃ無いんですか?」
「ハッ!冗談よしてくれよ。俺は降りかかる火の粉を払っただけ」
「それが本当なら神器を解いて下さい。そうすれば此方も手を出しません」
そう言われて馬鹿正直に解く奴なんていないだろうが、あえて一誠は変身を解除した。誠に忌々しい話だが、グリードがメダルに戻らない様にと1枚ずつ『王』に埋め込まれた異物、コアメダルは殆んどの攻撃を防いでくれる盾にもなる。相手が如何に強いかは分からないが、流石に平気だろうと考えた末の変身解除である。それでも不安はあったもの変身解除と同時に相手が構えを解いたのを見て安堵した。
「本当に解いてくれるとはな」
「嘘はつきませんよ。貴方からは嗅いだ事のない匂いがしたので不安でしたが、話が通じる様で良かったです」
「匂い?」
「…気にしないでください。それより、部長から話があるそうです」
「部長?」
「私よ。はじめまして謎の戦士さん?私は、リアス・グレモリー、以後お見知り置きを」
少女の後方から近付いてきた紅髪の少女、リアスはそう名乗ってきた。部長という事は何かの部活だろうかと思いながら、先の化け物を知っている事を考えると仮面ライダー部とかそんなんだろうか。そんな事を考えながらも、一誠は自己紹介を始めた。
「俺は一誠、兵藤一誠」
「兵藤一誠…10年以上もの間行方不明だったって言うあの兵藤一誠?」
「それで合ってる」
「10年以上もどこに居たのかとか気にはなるけど、一番気になるのはさっきの姿ね。明日は暇かしら?」
「ああ」
「なら、明日会えないかしら?駒王学園って分かる?そこに夕方頃来て欲しいのだけど」
「夕方…五時位か?」
「そうね」
学校にすら行っていないのだから、基本暇しかない一誠は頷いた。先の化け物等、此方としても聞きたい事が多々あるので、これは好都合であった。多少此方のことも話さないといけないが、この世界について知れるなら少し位話してもお釣りが来る。世界を渡る能力を持っているなど隠さねばならない事もあるが、それでも先の話を思い出すと聞かれるのはダークディケイドについてだろう。もっと言えばオーズの状態から直に変身を解除した為、オーズの事を話すだけでも済むかもしれない。
「じゃあ、明日の夕方にまた会いましょう?」
「ああ、明日な」
そう言葉を交わし、一誠は廃墟から出て行った。その際、話に参加してこなかった数人の内の1人から睨まれたが、それを気にするほど器が小さくない一誠は気付かないフリをし振り返ることもなく帰路に着いた。
先代オーズの世界
原作との相違点
・先代オーズが紫や橙のメダルが出来上がるまで全メダルの取り込みを行っていない(結局暴走はした)
・10枚揃ってメダルに戻られると厄介なので一枚ずつコアメダルを一誠に埋め込んだ(1枚ずつの為均衡が保たれ、辛うじてグリード化は避けられている)
先代オーズ
オーズとの相違点
・どうあがいても先代が知れなかったフォームには変身不可(タマシーやスーパータトバなど)
・メダジャリバー使用不可