ハイスクールダークディケイド 作:ダークディエンド
それから数日後、一誠は公園のベンチに腰掛け今後どうするかを考えていた。と言うのも、仕方のないことだが彼の最終学歴は小学校である。世界を渡り知識があるとは言え、行方不明になったのは小学生になるより前、中学にすら通えていない一誠はバイトをすることが出来ず、だからと言って高校にも行けない彼は昼間から街をぶらつく位しかやることが無かった。だからこその将来への不安があるのである。
「あ、あの」
「ん?」
どうするかなぁと考えていると、突然背後から話しかけられた。英語ではあったが、喋れない訳ではないので、無視はせずに振り返るとそこには金髪のシスターがいた。手に地図の様なものを持っているのを見るに迷ったのであろう。最近出来た場所ならば案内は出来ないが、聞いたところ教会に行きたいらしい。十数年前は確かに運営していたが、今はどうか分からないと伝えると、シスターは迷ったような素振りを見せた後、一応行ってみたいと言った為、一誠はシスターをその教会へと案内する事にした。
「人の気配はするけど、やってはなさそうだね」
予想通りというべきか、教会は運営されてなかった。誰かがいる様な気配は感じるものの、教会だというのに訪れる人がいない時点で運営されているとは言えないだろう。ただ、そのシスターは教会内にいる誰かに用があったらしく礼を言って教会へと入って行こうとして何かを思い出したかの様に立ち止まり、一誠に向き直った。
「名前を名乗るのを忘れていました。私はアーシア・アルジェントと言います。後日、もしかしたらまた会うかもしれませんし名前を教えてもらってもよろしいでしょうか?」
「ん?ああ、一誠だ。兵藤一誠」
「一誠さんと言うのですね。今は手持ちがないのでお礼が出来ませんけど、また会えたらその時にお礼をさせて頂きます」
「良いさ。礼が欲しかった訳じゃないし」
「そうですか。また会いましょう一誠さん。主のご加護があらんことを」
よくテレビで見る様な祈りのポーズをとるアーシアを見て本当にそんなポーズするんだなと思いながら、一誠も別れの言葉を言って教会から離れて行った。近いうちにまた会うだろうと、根拠のない確信を持ちながら。
*
その数日後、実際に一誠は偶然街中でアーシアと出会っていた。一誠は妹である八奈の買い物の付き添いで近所のスーパーに来ていたのだが、その帰り道に困ったようにウロウロしている彼女を発見し、また何かあったのかと話しかけたのだ。
「どうした?何か困りごとでも」
「あ、一誠さん。いえ、これと言って困っている訳ではないのですが…」
「ちょっとお兄ちゃん!?」
突然八奈が驚いた様に叫びながら一誠の胸元を掴み顔を自身の顔の近くまで引き寄せる。余りにも突然だった為、特に対処出来なかった一誠は若干首を痛めながらも何だよと八奈に文句を言った。
「いや、何だよじゃなくて!知り合いみたいな雰囲気だけど、お兄ちゃんシスターさんと知り合いなの?」
「つい先日な。迷ってた所を目的の場所まで送っただけだが」
「でも、ここの教会って使われてないよ?」
「あーそれは案内した俺も現地で知ったけど、そこで誰かと会う予定だったらしい」
「あんな所で待ち合わせって、なんか怖いね」
一誠としては怖いより怪しいと思う感情の方が強く、怖いと言う八奈にそうか?と返してた後、一誠はアーシアに八奈の事を紹介した。
「始めまして。八奈です」
「アーシアと言います。よろしくお願いします」
挨拶する2人を見て、仲良くなれそうだと思う一誠。そんな一誠に思い出した様にアーシアが話しかけた。
「一誠さん。さっきは困り事はないって言ったんですけど、実は一つだけ」
「どうした?」
「実は、一誠さんに教会に案内してもらった翌日、恥ずかしながらまた迷ってしまってその時に案内してくれた人がいるんですけど、後にその人が悪魔だって分かって、それで私は良い悪魔もいると思える様になったんですけどそう思わない人もいてどうすればその人を納得させらるかって」
「あーそれはそうとう難しいんじゃないか?不可能に近いと言っても良いかもな。俺も俺の追っかけみたいな事してる奴がいてそいつにやめる様に言ったけど、いくら言っても聞いてくれなかったし」
「え!?お兄ちゃんストーカーされてるの!?
「いや、流石にもう追ってこないとは思うけど、あいつも大概だしなぁ」
世界を渡ってると度々ダークディケイドの力を知りたいとやらで突っかかって来ていた奴の顔を思い出しながら、きっと大丈夫と思い込む事にした一誠。そんな時であった。
「見つけたわよ。アーシア」
黒いカラスの様な羽を生やしたボンテージみたいな服装をした女性が降りて来た。リアス達が悪魔だとバラした時に見せて来た羽とは別物である事から、その女性は悪魔では無いと推測できる。
「いやです!もうあそこには戻りません!」
「って言ってるけど?」
「何貴方?私はアーシアとはしてるの。一般人は邪魔しないでもらえるかしら」
「無理矢理連れて行くなら邪魔くらいはしてやろうかと思ってね。どっち道俺らを殺すんだろ?」
「あら、察しが良いわね。見られた以上殺すのは当然でしょ?」
こう言う輩は何度か会ったことがある。勝手に巻き込んで理不尽に殺しにかかって来る面倒くさいタイプ。出来れば仮面ライダーである事は隠したい一誠としては1人の時の方が有難いのだが、今回は標的がアーシアであるためにそうはいかない。八奈に後で色々と話すことになるなと思いながら、一誠はダークディケイドライバーを装着した。
「!神器持ち!?」
「今更気づいても遅い!変身」
『KAMEN RIDE DARK DECADE』
その電子音と同時にドライバーから飛び出した複数枚のプレートが女性を弾き飛ばし、一誠はダークディケイドへと変身した。何が起きたのか飲み込みきれずに唖然とする2人を守る様に前に立つ一誠。
「え……な、え?」
「言いたい事はあるだろうが、それは後だ。下手に動くなよ」
状況を飲み込みきれずにいる八奈とアーシアを背に、一誠は女性と対峙する。
「人間の癖に堕天使である私に歯向かうなんて良い度胸じゃない!いくら神器持ちだからって調子に乗らないことね!」
女性は手元に光の槍を形成し、一誠へと投合する。それを一誠はダークライドブッカーをソードモードに変えて弾き、そのままガンモードに移行させ発砲、それを避けた隙を突くつもりだったのだがそう上手くはいかず放たれた弾丸は新たに作り出された光の槍に防がれてしまった。
「いずれ至高の堕天使になる私に、この程度で歯向かって来るなんてね」
「いずれって事は今はまだ普通って事だよな?堕天使さん。それに俺だって本気なんざ出してないさ」
「減らず口を!!」
激昂した堕天使は光の槍を2つ作り上げて、一誠へと斬りかかる。一誠もそれを迎え撃つべく再びソードモードに戻したダークライドブッカーで迫る光の槍を受け止めた。守る対象が真後ろにいる事もあり下手に動けないながらも堕天使と切り結び、僅かに大降りになったタイミングを見落とさず、蹴りを離し距離をあけさせる。一気に決めようとダークライドブッカーに手を伸ばしたその時、
「!チィ!!」
殺気を感じ取り、一誠はその方向から飛んできた赤い魔力弾を弾き飛ばした。すぐ様堕天使に気をつけながらその方向を向くと、そこに居たのは赤い鎧を纏った人型の何か。堕天使の仲間かそれとも別の勢力か。検討の付かない一誠は警戒しながらソイツが何をするのか観察していた。
「物語の……」
「は?」
「物語の邪魔をするな!!」
「どう言う意味だ!?」
意味不明な事を叫びながら一誠に攻撃を仕掛けて来た赤いソイツは、そのスリムな外見に見合う速度で一誠との距離を詰め拳を放った。ライドブッカーでそれを受け止め、蹴り上げを放つもソイツはバックステップを踏むそれを回避する。
「物語だなんだと意味不明な事を!」
「貴様が知る必要はない!!アーシアはここでその堕天使に連れて行かれる。そう言うストーリーなんだ!イレギュラーな貴様は邪魔するな!そもそも、貴様はなんなんだ」
言ってる事は相変わらず意味不明だが赤いソイツは強かった。錯覚かもしれないが、徐々に能力が上がっている様な印象も受けられる。ソイツが堕天使にさっさとアーシアを拐う様に言い、ソイツを捌ききれなかった一誠はアーシアを助けることは出来ず、アーシアは堕天使に拐われて行った。
「誰だか知らないけど、助かったわ。ほら行くわよアーシア」
「アーシア!!クソ!なんなんだお前は!」
「これで良いんだ!これこそが正しいストーリーだ!貴様にはわからんだろうがな」
「拐われるのが正しいわけないだろ!」
そう言って斬りつけるもソイツは跳躍してそれを避け、足早にこの場を去っていった。
「クソ!なんなんだあいつは」
悪態を吐きながら変身を解除した一誠を唖然と見つめる八奈。明らかに苛ついている表情だったが、八奈の方を向くと同時にソレは鳴りを潜め、一誠はいつもの調子で八奈にこう言った。
「一回家に帰ろうか。そこで色々話すよ。さっきの姿とか10年以上もの間、俺がどこで何してたのかとかね」
赤いのは皆さん予想は付くだろうけど彼です。原作至上主義なんでしょうかね?あ、因みに本来の禁手とは鎧の形が変わっています。本文でも書いてますけど、本来よりもスリムになってます。所謂暗躍用形態ってとこですかね。なんで一誠とまともにやり会えるかってのは乱入するまでに倍加能力使いまくったからです。
話は変わるんですけど、ダークジオウとか見てみたいと思う今日この頃。黒ってなんかカッコイイですよね。