ありふれてはない元守護者の異世界戦闘録   作:ギルオード

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ついにこの話です。

あと今回の話で、主人公の正体に気づく人も多そう。




朝、メルド団長の指示と案内の元、【オルクス大迷宮】の正面入口がある広場に集まっていた。

多くの人間が緊張と未知への好奇心を表情に浮かべている。

ここの魔物では、あまり魔術の触媒にならないため、俺は少しだけがっかりしている。

今のところは、触媒を使うほどの大魔術を使用する予定はないが、代用品を探しておく必要がある。

入口は、入場ゲートのような物が設置されており、昔より治安も良くなったとのことだ。

また、周りには出店もあり、いざという時の物資調達も可能だ。

 

 

 

隊列を組みながら、迷宮内を進む。

しばらくすると、天井の高さ七、八メートルはある広場に出た。

その瞬間、物珍しげに辺りを見渡していた皆の前に灰色の毛玉が壁の隙間から湧き出てきた。

危険ではないだろうが、これも訓練。

俺は自分自身の判断を信じ、拳でネズミのような頭を貫き壊す。

すぐさま、空いている手で腕を掴み、周りにいる同じ種族の敵を巻き込むように振り回して投げ飛ばす。

 

「良い反応だ、光輝!よし、じゃあ、光輝達が前に出ろ。他は下がれ!交代で前に出てもらうからな、準備しておけ!あれはラットマンという魔物だ。すばしっこいが、たいした敵じゃない。冷静に行け!後衛は魔法の準備だ!」

 

先ほど殺した相手はラットマンと言うらしく、文字通り鍛えた成人男性とネズミが融合したクリーチャーのような奴だ。

龍太郎は負けてられねぇという感じで突っ込んでいくが、雫の方は顔が引き攣っている。

気持ち悪いのだろうが、そのうち慣れる。

こちらに来てからあまり徒手空拳を使えていなかったので、今のうちに感覚を取り戻す。

 

「「「暗き炎渦巻いて、敵の尽く焼き払わん、灰となりて大地へ帰れ、〝螺炎〟」」」

 

俺たちが相手できていない遠くの敵が焼き払われる。

魔石と呼ばれる、魔物の体内にある重要な部分すら消し飛んでいる。

魔石は、質や大きさも種族によってバラつくが、売れるし武器にも使える。

一階層の雑魚のとはいえ、無いよりはマシなのらしいが...

現状を見て、メルド団長は苦笑いをする。

 

「ああ~、うん、よくやったぞ!次はお前等にもやってもらうからな、気を緩めるなよ!」

 

生徒の優秀さに苦笑いしながら気を抜かないよう注意するメルド団長。

しかし、初めての迷宮の魔物討伐にテンションが上がるのは止められない生徒が多い。

頬が緩む生徒達に「しょうがねぇな」とメルド団長は肩を竦めた。

 

「それとな...今回は訓練だからいいが、魔石の回収も念頭に置いておけよ。明らかにオーバーキルだからな?」

 

メルド団長の言葉に香織達魔法支援組は、やりすぎを自覚して思わず頬を赤らめる。

 

現在の迷宮最高到達階層は六十五階層らしいのだが、それは百年以上前の冒険者がなした偉業であり、今では超一流で四十階層越え、二十階層を越えれば十分に一流扱いだという。

進んでいる内に、唐突にエヒトルジュエから連絡が入る。

 

(どうした、エヒトルジュエ。こちらは順調だが)

(命令です、セイバー。次にある、美しい鉱石、グランツ鉱石のトラップに引っかかりなさい。貴方でなくても良いのですが、彼等に経験を溜めるためにも必要でしょう。また、貴方にも特別な仕事がありますので)

(了承した。それと、少し口調が変わったような気がするが?良いことでもあったか?)

(???...!!!)

(気づいていなかったのか?)

(う、うるさい!兎に角、罠には引っかかりなさい!)

 

念話が唐突に切られた。

恐らくだが、中性で、男性よりだった精神が女性に変わってきているのだろう。

もしや、守るという言葉に惹かれたのか。

我がマスターながらチョロいというか...いや、生前の俺も似たような者か。

まあ、やれるだけのことはしよう。

しかし、トラップを起動させる...か。

どんな醜態を晒すべきかと悩む。

これなら、言われてから動くやる気のある平凡を演じるべきだったか。

国に帰ったら周りから話を聞きそうなヘクトールへの、牽制を兼ねて有能な勇者の姿を見せていたのが、仇になってしまったようだ。

しかし、チャンスは直ぐに訪れた。

それは、俺が少しミスを出そうとし、狭い場所で広範囲で威力もある天翔閃を撃ち込んだ。

メルド団長にお叱りの言葉を貰っているとき、衝撃によって出土したグランツ鉱石に香織が目を奪われた。

それを見た檜山がグランツ鉱石を取りに行った。

ナイスだ。

どんなトラップが来ようが、魔術を使えば大抵の相手はどうとでもなると予想もしているし、散り散りになっても大丈夫なように保険はかけてある。

そして、メルド団長の叫びは虚しくも届かず、トラップが作動した。

 

「こ、これは!一体な」

 

俺は光に包まれて飛ばされた。

その先には、感情が著しく薄い女がいた。

思考に一瞬ノイズが走る。

 

「初めまして。私は真の神の使徒である、ノイントと申します。貴方様に鍛えて貰い、出力の向上をせよと命令を受けました。一時の間よろしくお願い致します」

 

戦力の強化か。

恐らくは抑止力への対策だろう。

 

「なるほど。では、霊器解放そして、宝具戦神の軍帯(ゴッデス・オブ・ウォー)!」

「これが、主の言っていた...神」

「戦神、そして軍神の力を使い、お前を...お前の後ろにいる者達も鍛え抜こう!行くぞ!」

 

そして、俺による稽古が始まった。




オルクス大迷宮と皇帝との絡みが終わり次第、現段階での光輝マテリアルを出します。

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