ありふれてはない元守護者の異世界戦闘録   作:ギルオード

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お待たせしました。
これにて、オリジナルの戦争編は終結しました。
次はハジメサイドの番外編を出そうと思います。


戦勝パーティー

武官や文官に聖教教会の重鎮達に、戦場に出ていた戦士達に、ハイリヒ王国の騎士団とそれに付いてきたリリアーナ王女殿下と前線で活躍しているクラスメイト。

大勢の人間が城の中庭にいる。

人数が多かったため、パーティーは室外で行われることになった。

そして、俺は乾杯の音頭を取るために、一段高くセットされている踊り場に上る。

 

「今回の戦いによって、亜人族を倒しフェアベルゲンを事実上の占領下に置くことが出来ました。一人一人の実力が確かに上であるはずの亜人族に、我ら人類は勝つことが出来た。それは、我らが自身が思っていたよりも強く、同時に互いを思い助け合う力を持っていた。確かに、人類は弱い。ステータスプレートで百を超えている戦士は少なく、千を越える者など、今までいなかったのだろう。だが、今は違う!不可能と言われたベヒモスを殺し、亜人族の集落を単騎で滅ぼし、神エヒトより寵愛を受けた、俺がいる。俺が人類の剣となり、亜人族も魔人族も全て、全てを滅ぼし尽くして見せよう!だが、俺は一人だ。人類を守り通すことはきっと出来ない。だからこそ、この場にいる全員に人類の盾になって欲しい。戦士達よ!俺が言う。諸君等は強い。一人一人のステータスは戦う相手に必ず劣っているといっても過言ではなかっただろう。そんな中、諸君は戦い続けた。一秒先には自身の死があろうとも、仲間を見捨てず、恐れを捨てることも無く、戦い続けてきた。そんな人間が弱いはずが無い。そんな戦士が戦場に迷うこと無く出られるのも、優れたバックがあってこそ。貴族も護られている民達も、確かな力になっている。だからこそ、今以上に内政を整え、武器を手入れし、効率よく物事を進められるように研鑽してほしい。諸君等には戦えるだけの力を持っていたのだ。人類は戦えるのだ。ただ、人類は剣を持っていなかっただけに過ぎない。今のこの場には不足していた剣がある。勝てるんだ!人類は!だから、俺に力を貸して欲しい!今日は、そんな諸君等の反撃を祝う日だ。存分に楽しんで欲しい。そして、人類の反撃が完遂したその時には、今日を超える派手な宴をしよう!人類に勝利を!乾杯!」

 

周りが歓声を上げる。

勇者万歳のコールの中、俺は舞台を降りた。

エヒトからの寵愛なんて物はないのだろうが、少なからず、思われているはずだ。

多少盛った所でも嘘だとはバレないだろう。

俺を失った後の人類はどのような道を辿るのかだけが、悩みの種だ。

生前の、俺は文明の崩壊後に数を減らした人類をまとめ上げていた。

元凶と相打ちにはなったから、大きな危機は去ったのだろうが、その後どのような道を進んでいるかは分からない。

そもそも、俺の過ごした地球は...

どうしようもない事を考えるのは辞めよう。

知りようもない事だ。

発破をかけた俺が楽しまないのも、士気に関わる。

挨拶もしていかないといけない。

それに今回の戦勝パーティーは成功させなければいけない。

未だ協力に応じていない、国を説得させるためにも。

 

ありがとうございます、任せて下さい、よろしくお願いします。

何回もその返事を続けた。

そんな中時間は進み、パーティーの終わりを飾る舞踏会。

俺は、異様な光景を目にした。

 

 

 

次期皇帝、バイアス皇太子とリリアーナ王女殿下は婚約関係に当たる。

バイアス皇太子とリリアーナ王女殿下のダンスは一曲で終わった。

そこまではよかったのだ。

俺もダンスを見届けて、挨拶回りをしていた。

そんな中、有る光景を見てしまう。

 

「すまない、そこの紳士。今、バイアス様と踊っておられる女性は誰か分かるか?ドレスの生地も周りの貴族より少し粗い。恐らくだが、そこまで身分は高くない人だと思うのだが」

「ああ、勇者様。彼女は確か、有名な商店の娘だったと思います。愛妾って奴ですよ。そちらの世界では、あまり知られていない文化かもしれませんが」

「いや、高貴な身分に、そう言う者が付きものというのは分かっている。ただ、些か数も多く、一人当たりのダンスの数も多いのでは?これでは、ハイリヒ王国の面子は丸つぶれだ」

「我々もそこら辺の危惧はしているのですが、如何せん向こうから苦情が来なくて。父である皇帝陛下も他国とのパーティーには連れてくるなとは言ってはいるのですが、聞く耳を持たなくて。不快に思われたのなら申し訳ない。それに女という者は面倒でしてな、愛された者は一番になりたいのですよ。かくいう私も───」

 

理屈は分かる。

将来成るとはいえ、今は未だ家族では無く、切り捨てきれる婚約者より、何だかんだの繋がりと利益を送っている相手を大切にするのは、分かる。

ヘルシャー帝国は強い。

人類最大の国はハイリヒ王国だろうが、戦争になればヘルシャー帝国が勝つだろう。

だからこそ、リリィも強く反対出来ずにいる。

相手の心を折り、征服したくもなるかもしれない。

それに年もやや離れていることも原因だろう。

だが、どんな立場どんな才能を持っていようとも、十四歳の女の子なのは変わらない。

自分の女性としてのプライドに傷を負うだろう。

妹のようなリリィを助けたいと思う。

俺にとって、年下の娘はどうしてもミルを重ねてしまう。

 

『光輝が頑張っているのは嬉しいけど、ミルは寂しいんだよ』

 

そういって泣かせてしまった過去がこびり付いている。

リリィの背中を見続けるとその言葉が蘇る。

助けよう。

理屈はいろいろある。

でも、結局は助けたいから、何だな。

貴方もきっとそうだったんでしょう、衛宮士郎。

席に座っているリリィの前に歩み寄る。

膝を着き頭を垂れて、口説き文句を言う。

 

「我が剣を捧げた麗しの姫君。リリアーナ王女殿下。ドレスが似合っているや、ダンスは楽しかったでしょうか等、世間話をしたい所ではあります。ですが、日頃戦場で頑張っているこの男に褒美を頂けませんか」

「は、はい。褒美でしょうか?」

「はい。私は実のところ恋人がいないのです。当然ながら伴侶がいたこともありません。親同士の婚約者というのもいたことがありません。皆がそれぞれのパートナーと踊っている所を見ていると、私も一曲だけでも、高嶺の花と踊ってみたくなった所存です。どうか、踊るパートナーもいない、哀れな男一人に、夢を見させて頂けないでしょうか」

 

芝居も良い所だ。

だが、嘘でも無い。

今生において、俺は結婚していない。

恋人もいない。

クラスメイトからは動揺とざわめきが起きる。

リリィは顔を赤めるも、ガハルド皇帝陛下に助け船を求めた。

踊っても良いのかと眼で訴えている。

ガハルド皇帝陛下は笑う。

 

「そうだな!男なら可憐な乙女とのダンスは憧れよな!許す。此度の戦、勇者・天之河なくして、勝ちはなかった。それに対して、帝国からは当然だが、ハイリヒ王国からも少々ねぎらう必要があるだろう。リリアーナ王女。光輝の希望を叶えてやっては貰えぬか?」

 

ガハルド皇帝陛下は俺に笑いかける。

そして、息子のバイアス皇太子を指してから、手を合わせる。

 

「許可も貰ったことだ。行こうリリィ。こんなにも目出度い日だ。笑っていないと損だぞ。これ程の大きなパーティーは此処先には中々出来ないよ」

 

周りに聞こえないぐらいの音量でリリィに語りかけて、引っ張る。

 

「さあ、笑って踊りましょう。お姫様」

「はい。光輝、よろしくお願いしますね」

 

その日一番の笑顔をリリィは咲かせた。

周りからは大きな拍手を貰った。

ただ一人を除いては。

そんな一人の男性も、今日がどんな日なのかは、分かっているので表立っては騒ごうとしない。

そして、時間は過ぎ去り、パーティーは終わりを告げて、それぞれの日常に戻りだした。

俺たちもまた、迷宮攻略の日々へと戻りだした。




生前の光輝は、いい年までは生きているので、結婚も子供もいました。
光輝のいた世界線での人類は、滅亡寸前でした。
多分、人口十億人切ってると思います。
某世紀末に近い状態ですね。
こうなったのも、元凶がいて、作中でも触れましたが、元凶は光輝と相討ちになっています。

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