ありふれてはない元守護者の異世界戦闘録   作:ギルオード

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お待たせしました。
原作主人公の南雲ハジメサイドの話になります。
難産でした。
今回は天之河光輝は出ないので、一人称の視点ではありません。
では、どうぞ。


番外 ハジメサイド

勇者・天之河光輝の活躍の裏側で、一人の男は奈落の底で冒険をしていた。

その男は、愛する者を作り、互いに背中を合わせて協力をしながら、共に戦っていた。

そして、その男はこの世界の真実を解放者と呼ばれる者から知り、己の力で世界を越える決意をした。

これは、その男、南雲ハジメの話である。

 

 

「もう、二度とライセン大迷宮には行かねぇ。余りにも、ウザすぎる。あの糞ミレディにあの場所で会うのは二度とゴメンだ」

「...同感。あれは解放者だとかよりも、人を苛立たせる。敵」

「私も流石に懲り懲りです~。なんで、あんなに人を煽るのが上手なんですかね~?」

 

眼帯をした男、南雲ハジメのため息交じりの意見に、金髪の女、ユエと兎耳を持つ亜人族の少女、シアが同意する。

今いる場所は、ブルックの町にあるマサカの宿で、その一室にいる。

ハジメ達は、その一室で、本日攻略の終えたライセン大迷宮のことを、思い出していた。

 

「...でも、いい話も聞けたね。ハジメ」

「ああ。どうやら、この世界から故郷に帰るには、神エヒトをぶっ倒さなければいけねぇみたいだしな」

 

ハジメにとっては、この世界の事情などどうでもよかった。

世界を超える魔法さえ見つければ、それを使ってさっさと故郷に帰るつもりだった。

しかし、存命していた解放者、ミレディは語った。

 

『神エヒトは卓越した魔法使い。アレが生きている限り、君の願いは叶わない。確実に邪魔をされるだろう』

 

「この世界がどうなろうが関係ない。だが、俺たちの邪魔をするのなら、神であろうと敵だ」

「私も、ハジメさんの足を引っ張らないように、頑張らないと!」

「...うん。ミレディが言っていた。私達はもっと強くなる必要がある。迷宮攻略で手間取っているようでは駄目。もっと力を身に付けないと」

「ああ。それに、この聖杯って奴にも魔力を貯めなきゃいけねぇ。ミレディが言うには、本物からかなり劣化した質が悪い物らしいが、ライセン大迷宮の魔力だけでも、とんでもねぇ力を宿してやがる。これが満タンになれば、神エヒトとその眷族と同時に戦っても、迷宮を全て攻略していれば、太刀打ちは出来るらしい」

 

そう言って、ハジメは銀色に輝く聖杯を見つめる。

文字通り、これがハジメ達の切り札だ。

持っているだけで、体のキレが良くなっている。

今のハジメでは、複製することすら出来ない。

解放者が、伊達ではない事を物語る代物で、そんな解放者を破った、神エヒトのヤバさというのが分かる。

 

「それに、今日は凄く疲れたな。魔法に余り頼れない戦闘がああも苦しくなるとはな」

「...うん。強力な魔法が使えないことによる、殲滅能力の低下。魔法に頼り切っていた私には、新鮮な経験だった」

「私の方は、ユエさんと違い魔法を余り使用しませんので、普段通りに動けましたが、トラップの多さに冷や汗を流しっぱなしでした。あそこまでのトラップは見たこともありません」

「兎に角、今日は寝るとしようぜ。流石にこれからのことを、今考える余裕が無い」

「...うん。お休み、ハジメ。それにシアも」

「ユエさん、ハジメさん。おやすみなさい」

「ああ。お休み」

 

そうして、ハジメ達は眠りに付いた。

翌朝、朝の日差しと共に、ハジメは起きる。

カーテンが少し空いており、その隙間から光が漏れ出し、ハジメの顔を照らし、ハジメは目を覚ましたのだ。

 

『号外!号外!号外で~す!』

 

窓を開けなくても、その声が響く。

木で作られた窓を開けて、外を見渡すと、新聞と思わしき物を売り払う人物に人が群がっている。

ハジメ自身、情報を必要としていた。

今、トータスはどういった情勢なのかを知りうる機会なのだ。

特に号外と言うことは、大きな情報が載っているのは間違いない。

ユエやシアはまだぐっすりと眠っている。

久しぶりに熟睡出来る機会なので、起こすのは忍びないとハジメは思い、一人でその文屋に向かう。

面倒くさがるも、騒ぎを無駄には起こしたくないので、しっかり並んでいると、興味深い声を拾う。

 

「フェアベルゲンが落ちたって本当かよ?」

「ああ。何でも樹海は半分以上は焼かれたって聞いたぜ?」

「勇者って奴は凄いな。彼がいれば、魔人族討伐も夢ではないのでは?」

 

信じがたい内容だった。

 

(あの天之河が、フェアベルゲンを、焼き払っただって?本当のことなのか?誰一人殺させないと言ったアイツが、皆を危険に晒すとは思えない。だが、単独であれほどの樹海を焼き払えるわけは無い。ユエにすら出来ないんだ。きっと何かの間違いのはずだ。兎に角、号外を読まないと)

 

ハジメはどこか、心のどこかで思っていた。

天之河光輝は絶対に人を殺さないと。

正義感の塊で、悪を良しとしないような正義の味方のような男が、天之河光輝だ。

そんな男はどんなことがあっても、人を殺さないと思っていた。

だが、その幻想は打ち破られる。

号外に書かれていた内容は、ヘルシャー帝国とハイリヒ王国の連合軍が亜人族と戦争をしたこと。

亜人族の七割弱が死亡ないしは捕虜になったこと。

勇者がフェアベルゲンの一部を焼き払ったこと。

勇者が亜人族の別部隊を単騎で攻め落としたこと。

勇者の演説の内容と、各国への同盟の強力を帝国と王国の両国が要請したこと。

そのほかにも、【勇者】天之河光輝についての内容が書かれていた。

戦争のことは分からない。

だが、オルクス大迷宮を勇者達が攻略したと言われていない以上、天之河は奈落に行っていないはずだ。

つまりは、ハジメ自身よりステータスは低いだろうと考え、この新聞にある単騎での戦果やフェアベルゲン焼き払いは、印象操作の可能性が高いと勘ぐる。

天之河はクラスメイトを戦場に出したのだろうと考えた。

そして、天之河は聖教教会側なのは間違いなく、俺の敵だとハジメは悟る。

ハジメは直ぐにフェアベルゲンに向かうことを決める。

情報が何処まで正確なのかを、この目で確かめるためにだ。

その為に、この新聞を部屋で眠っている二人に見せる決意をして、宿屋に戻った。

 

 

 

 

この後に、フェアベルゲンが焼かれた惨状を見て、生き残りの同族から話を聞き、一人の少女が復讐者へと変貌していく、その一歩を作ってしまう。

だが、周りの二人は同情はしても止めることはしないし、出来ない。

自分たちにもその黒い闇に似た物がこびり付いているのだから。




解放者の聖杯は、現状はただの魔力のリソースでしかありません。
願望器としての力も、サーヴァントを召喚することも出来ません。
ただ、持っているだけで力が漲ってきます。
今は所持している人間にしか加護が渡りませんが、魔力が集まっていくと...
また、ハジメ達は原作通りに動きます。
最優先事項は変わっておらず、また、敵であるエヒトに近い存在には近づかないようにするので、原作通りの動きになります。
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