そんな魔物の元に一人の少女が来た。
この少女は生贄。
この魔物に捧げられる生贄である。
生贄、なのだが……
「私、龍様が好きです!」
「え?」
そんな感じのお話です。
今回は「生贄少女」が出てくる作品を作ることにしました。
理由としてはTwitter見てたら
「なんか最近生贄系の漫画を見かけるな~
そろそろ異世界転生から、此方が主流になるのか?
よし、この波に乗っておこう! そしてあわよくば、読者様がなんかそういうの書いてくれるだろう!(人任せ)」
とまぁ、なんか『生贄系』が流行る気がしたからです。
なんだ、この少女は。
そんな疑問を抱いているのは、様々な物語で『強敵』と言われている火を吐ける生物。つまりは龍である。
脚は丸太のように太く、踏まれたら一溜まりも無いほどの大きさである。
手から伸びる爪は綺麗に手入れされており、少なくとも血で濡れたような形跡は無い。
頭からは一本の大きな角が這えており、その両端にはよく声が聞こえそうな大きな耳が付いていた。
また、洞窟が暗いので龍のライトのような瞳しか確認できないが、体は見てると吸い込まれそうになるような真っ黒な色をしている。
この龍は1000年以上も前から同じ洞窟に住んでいる。
そんな龍が住んでいる洞窟の周りには幾つのも村がある。そして、ある年月が立つと何処かの村から生け贄が捧げられるのだ。
もちろん、生け贄を喜んで受け入れるような人物なんて殆ど居ない。
だとしたら何故村から逃げないのか。これが疑問に浮かぶだろう。
理由としては、龍が村を守っている為である。この龍が居る洞窟の近くは、龍を恐れて近づかないのだ。
そして生け贄を捧げる理由は、村を攻撃してもらわないようにするための、言わば貢ぎ物である。
「……貴様」
「なんですか?
5日前に強そうな魔物が来たので、戦ってみたら弱くて拍子抜けした龍様」
なんというか、これはあれだ『恐怖』に近い感情では無いかと龍は考えた。
それにその事は周りに人なんて居なかった筈だと。
龍はこの少女を最初は只の『生け贄』としか考えていなかったが、その考えは『警戒』へと変わっていった。
「何故、それを知っている」
その魔物を追い出したあと、腹いせに周りを焼け野はらにしたので生きている生物は誰も居ないと思っていたのだ。
「私が龍様を好きだからです! 龍様のことはなんでも知ってます!」
龍は困惑した。
今までの生け贄は、村の為と言って抵抗しなかった者。死にたくないと発狂していた者。このパターンしかなかったのだ。
しかしこの少女はどうだろうか。
自分のことが好きだと言う。龍は馬鹿馬鹿しい、只の命乞いか。と、相手にしないことにした。
だが次の少女の言葉で龍の態度は変わる。
「龍様は基本的に夜目覚めます。そしてたまに体を寝違えて、痛い思いをしてますね。
この前来た生け贄が逃げ惑うので、炎を吐いて脅かしたら威力を間違えて森を燃やしかけたことも知ってますよ。
そして一週間に一度、空を飛んで食料を取りに行きにますね。実は龍様が草食派だったのは最初知ったとき驚きました。
まぁそれよりも驚いたのは、生け贄を街まで送ってることですね。その巨大な体から間違えられて、肉食と思われてるんですか、大変ですね。
それに龍様は巨体ですので、何処行っても目立つのが困ってるのも知ってますよ。35日前は、なんとなく別の所で食事をしていたら勇者に攻撃されていましたからね。でも、流石龍様。勇者を返り討ちに!
それと龍様が愛用しているベッド……まぁ草で作られてるものですが。そのベッドを寝てるときに間違えて、炎を吐いて燃やしてしまったのも知ってますよ。あの時は危なかったですね。龍様の丸焼きが出来るところでした。
それに───」
「そうか、もういい」
龍は少女の話を無理矢理止めた。
話を止めた少女は、キラキラとした目で龍の方を見ている。
この少女の話を聞いて龍はあるひとつの感情が涌き出てきた。
それは『恐怖』。勇者との戦いでも、危うく丸焼きになりかけた時でも感じなかった感情である。
龍はこの少女を食らおうか考えた。
しかしこの考えは止めることにした。
自分を愛していると言っている者だ。食ったところで喜ぶだろうし、消化されずに腹の中に残りそうで怖いからだ。
「最後に、どうやって知ったんだ?」
龍はこの洞窟から脱出することにした。
けれども逃げる前にこの質問をしなければならない。
何故知っているか知らなければ、逃げた所で追い付かれるからだ。
「え? 跳躍したり、隠れたり、気配をけして龍様の近くいたからですよ」
あ、これ駄目だ。
龍はもう諦めることにした。
「では、これから同居させてもらいます!」
「……分かった」
龍は疲れてきたので少女のことを気にしないことにした。
いつか、この少女が寿命で亡くなるまで。
「あ、私は自作の不老不死の薬を飲んだので、こらからずっと一緒ですよ」
「」
龍は考えるのを止めることにした。
自分で作って思ったこと。
「なんか予想の斜め上行った」