初投稿です。
とりあえず時間が空いたので書いてみました!
文才はないですが、読んで頂ければ幸いです。

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嘘つきな退屈

昼下がりの午後。客のいない喫茶店で、彼女はぽつりと呟いた。

 

「ねぇ、嘘と挑戦やらない?」

「なんだよそれ。聞いたこともないんだが…」

「真実か挑戦かってあるでしょ。あれの変化球版、みたいな」

 

真実と挑戦。

とある小説に登場したことで一躍有名になったパーティゲーム。元はアメリカで親しまれているものらしい。

 

相手の言う「真実」を聞き、それの成否を答える。

間違えたり、あるいは答えられなかったりすれば、相手の提示する「挑戦」に従わなければならない。要はリア充御用達のゲームである。本来ならボクのような人間には縁がないような代物だ。

いやまぁそれはいい。気になるのは…

 

「“真実”じゃなくて“嘘”なんだな」

「君、“真実”なんて言葉嫌いでしょ?」

「…あぁ、嫌いだよ。“真実”も“理想”も」

 

 

彼女の、こちらを見つめる暗い瞳から目を逸らしそう、答える。

あれらは、ただ無関係に無秩序に無意味に誰かを、自分を傷つける。

だからこそボクはあれが嫌いなままだ、昔からずっと。

 

「それに君、思ってること正直に言えるほど素直じゃないし」

「ブーメランって言葉知ってるか?」

「酷いなぁ。私は君と違って嘘はつかない、知ってるよね」

 

知ってる。彼女は嘘はつかない。ただ大事なことも何も言わないだけだ。

 

「それより、どんなルールなんだ」

「お、興味あるのかい!」

「聞かなきゃお前、めんどくさく絡んでくるだろ」

 

可愛くないなぁと言いながらも彼女は話始める。

殆ど同じルールで違うところは一つだけ。事前にその答えを紙に書いて伏せておく、ということだけらしい。

 

「じゃあ最初は軽いのから行こっか。そうだね。私の好物はハンバーグである」

「真実。前に飯食いに行った時も食ってたよな、お前」

 

正解、よく覚えてるねと伏せていた紙を見せ、少し嬉しそうに笑う。

 

「次は君の番だよ」

「そうだな…。じゃあ、私の好きなスポーツはサッカーである」

「嘘。というかスポーツ自体嫌いでしょ」

「正解。しょうがないだろ、怠いし」

「君は…。相変わらず、だね」

 

そう言った彼女はこちらに呆れている様子だった。

その後も、2、3質問をし合い、彼女の番になった。

 

「 。そろそろ本命、行こうかな」

 

ねぇ。とこっちを向いて紙を差し出して彼女は、言った。

 

「私は、君のことが、好きです」

 

息がつまる。思っても見なかった彼女の言葉にボクは酷く動揺した。

 

「…友達としてか」

「異性として、だよ」

 

見つけた逃げ道も即座に潰される。嘘、と答えたかったが彼女の真剣な声が、瞳がそれを許さない。挑戦になる訳にはいかないこの状況では何も言えなかった。

彼女はそれをどこか分かっていたようで、

 

「こたえられないよね」

 

そう言って席を立つ。もういい時間だし帰るね。と机に紙を残したまま、店を出た。

少し時が経って、漸く動けるようになって、ボクは彼女の書いた紙を裏返す。

 

その紙には

 

「…ははっ」

 

何も書いてなかった。

 

 

 

 


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