質には期待しないで下さいm(__)m
サイカイ
「またね、――――ちゃん」
少年がそう問いかけると、少女は目許の涙を右手人差し指で拭いながら、
「わ、わたし。は、離れたくないよ……」
少年は「まったく」と溜息を吐いた。
少年は首にかけていた、月形が括り着いた銀色ネックレスを外し、少女の右手に置いた。
「これやる」
「……これって――――君の宝物じゃ?」
「やるって。だから、泣きやんでくれ。最期の別れじゃないんだし」
少女は目許を、右手人差し指で拭った。
「……うん。わたし、泣かない……」
「うし。じゃあ、俺は行くな。――――ちゃん元気で。また会えたらいいな」
「うん!またね!――――君!」
こうして少年は去って行き、少女の方は頃合いを窺っていた母親が迎えに来たのだった。これは、とある少年の記憶の一幕である――。
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~集英組、とある部屋~
「起きろ、歩夢。今日は転校初日だろ」
そう言って、俺を起こしに来たのは一条楽。
集英組の二代目と言われてる一人息子だ。
「あ、ああ。今起きる」
「んじゃ、居間に来いよ」
楽はそう言って、この場を後にする。
俺は布団から出て立ち上がり、伸びをする。
「時差ボケがここまでキツイとなぁ。つか、懐かし夢を見たなぁ」
んで、俺の名前は
俺が小学生に上がるまでは日本に居たのだが、ある事情があり、五年アメリカで、もう五年中国で、計十年海外で過ごしていた。ちなみに、転校する高校は、凡矢理高校と言われる高校だ。
ともあれ、布団を畳み、ハンガーで壁際にかけている制服に袖を通す。
「さて、行くか」
俺は部屋を出て、居間に向かうのだった。
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「「「「「おはようごぜぇます!歩夢坊ちゃん!」」」」」
顔を洗い、居間に移動すると野太い男たちの声が響く。――そう、集英組のヤクザさんである。てか、俺っていつの間に“坊ちゃん”になったんだよ……。つーか俺は先に出ないと、転校初日の挨拶回りしなくちゃいけないし。
椅子に座り、眼前の箸を取って用意してくれた飯を食い終わった俺は、食べ終わった食器を厨房で洗い、食器を元の場所に戻して居間に戻る。
「俺は先に出るな」
「て、てめぇら整列しろ!歩夢坊ちゃんの送り出しだ!」
「「「「「へい!」」」」」
ヤクザさんの皆はそう言い、席を立ってから襖までの道程を作るのだった。
「行ってらっしゃいませ!歩夢坊ちゃん!」
「「「「「行ってらっしゃいませ!」」」」」
「お、おう。行って来ます」
そんな事があり、俺は鞄を持ち、集英組を出て凡矢理高校に向かうのだった。
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~職員室~
「これから一年間、よろしくお願いします」
俺は職員室に顔を出し、編入するクラスの先生に挨拶をする。
「担任の日原教子だ。神埼は、そう畏まらなくていいぞー」
「了解です。キョーコ先生」
その時、勢い良く扉が開かれ、金髪美少女が俺の隣に立つ。
「おおー、ギリギリだったな桐崎」
「お、遅れてごめんなさい」
そう言った彼女の名前は、桐崎千棘。アメリカから転校してきた、日本人とアメリカ人の両親を持つハーフだそうだ。
ともあれ、キョーコ先生の後を追い、職員室を出て編入するクラスに向かう、俺と桐崎さん。
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~一年C組、教壇上~
「初めまして、神埼歩夢です。これからよろしくお願いします」
「初めまして、アメリカから転校してきた桐崎千棘です。母が日本人で、父がアメリカのハーフですが、日本語はバッチリなので気軽に話しかけて下さいね」
淡白に自己紹介を終わらせる俺と、にっこりと微笑み終わらせる桐崎さん。
とまあ、無事に自己紹介が終わると思ったのだが――、
「「あ――――――ッッ!!」」
互いに、桐崎さんと楽は右手人差しを差し合う。つか、登校中に飛び膝蹴りって……楽、ドンマイ。つーか、指を差し合うのは止めようね……。
それから距離を縮めて痴話喧嘩?を始めるが、楽が言った「猿女」が決定打になり、楽は桐崎さんに右手で殴られ、後方に飛ばされた。ともあれ、俺はキョーコ先生に指定された席に腰を下ろした。席は、真ん中の列の最後尾だ。で、隣を振り向くと、茶髪で左側のサイドの髪が長い、アシンメトリーな髪型が特徴の女の子と目が合い、俺は目を丸くする。
「……え?さ、
「……ゆ、
――――――そう。俺が言った“咲ちゃん”の本名は小野寺小咲。俺が小学生高学年まで、かなり仲良くしていた女の子だ。