ニセコイ~夢に紡ぐ物語~   作:舞翼

10 / 34
テンコウセイ

 ある廃墟で、ビーハイブの幹部であるクロードは、とある人物を呼び出していた。

 クロードは、眼鏡をくいっと上げて話し出す。

 

「……来たか。待ちわびていたぞ」

 

「はい。私が呼ばれた理由はなんでしょうか?」

 

 クロードは、とある人物に写真を渡す。

 

「こいつがお前の次の任務――標的(ターゲット)の、一条楽。既に聞き及んでいると思うが、お嬢は今この男と恋人関係にある」

 

 クロードはわなわなと震えながら、

 

「しかし私は、お嬢はこの男に騙され利用されていると睨んでる。滑稽なガキだ……」

 

 この言葉に鼓舞されるように、とある人物が握っている手に力が入り、写真がクシャクシャになる。

 

「ゆ、許せませんね。一条楽……」

 

「……私では直接動向を探ることはできない。だが、私が育てた優秀な部下のお前ならば、あのクソガキからお嬢を救い出すことが出来るはず」

 

「……了解しました。お嬢は、私が必ず救い出します」

 

 この一件が、とある廃墟で行われたのだった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「……かなり眠い」

 

「もしかして、羽さんに掴まってた?」

 

 「ああ」と返事をする俺。

 聞いた所、小咲も羽さんに掴まったことがあるらしく、翌日寝不足になったらしい。それから教室に入り、桐崎さんたちに「おはよう」と声をかけてから、自身の席に着席し腕を組んで寝る体勢に入る。てか、集たちの話によると、転校生がこのクラスに来るらしい。

 そんなことを思っていたら、教室の前の扉が開き、キョーコ先生が入って来る。なので、俺は顔を上げた。

 

「よーし、早く座れ。出席とるぞー」

 

 キョーコ先生の言葉によって、生徒が各々の席に着く。キョーコ先生が教壇で出席を取り終わり、

 

「突然だけど、今日は皆に転校生を紹介するぞー。鶫さん、入って来て」

 

「はい」

 

 教室のドアを開けて入って来たのは、ザ・イケメン。っていう者だ。

 

「はじめまして。鶫誠士郎と申します。どうぞ、よろしく」

 

 自己紹介が終わると、凄まじい歓声が巻き起こる。……まあ、主に女子からだが。

 キョーコ先生が空いている席に着いてと鶫さんに言い、鶫さんが楽の隣を通りながらフッと微笑む。すると、楽の隣に座る桐崎さんが立ち上がり鶫さんの名前を呼ぶ。

 

「鶫!?」

 

「お久しぶりです、お嬢――!」

 

 鶫さんが桐崎さんに抱きつき、クラスからは、

 

『転校生が桐崎さんに抱きついた!』

 

『なんだ、なんだ~~~!』

 

 と、声が上がる。

 

「ちょ、いきなり抱きつかないの!?皆が見てるでしょ!?」

 

「ああ、お嬢……!お会いしとうございました……!と、ところでお嬢、ここの教室には歩夢殿がいると聞いているのですが?」

 

「歩夢?歩夢なら、小咲ちゃんの隣よ」

 

 桐崎さんの視線を追うように、鶫さんは俺を見て、俺の前まで歩み寄る。

 

「歩夢殿、お久しぶりです」

 

 俺は「目立ちたくないなぁ」と思いながら、口を開く。

 ――そう。俺がアメリカで在住していた時、俺は鶫さんと銀行強盗たちを鎮圧した経験が何度かあるのだ。

 

「鶫さんも元気そうで」

 

 鶫さんの経験値を見ると、ただの転校生とは言えない。面倒なことが起きなければいいんだけど。

 ともあれ、転校生が一年C組にやって来たのだった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 時は経過し放課後の教室。

 

「歩夢君は、見に行かなくてよかったの?」

 

「ああ。何か面倒な未来しか見えないし」

 

 小咲、俺と呟く。

 ちなみに、俺と小咲、宮本さんで輪になるように椅子に座っている。

 

「私気になってたんだけど、歩夢君と小咲の出会いって、どんな経緯からなのかしら?」

 

「そうだなぁ。家族旅行って言えばいいのかな」

 

 俺と小咲が出会った場所は、天駒高原という所だ。

 帰り道も同じということもあって、小野寺家は神埼家の車で帰省したのだ。そして偶然もあってか、俺と小咲が通う幼稚園も同じだったのだ。

 これを聞いた宮本さんは関心したように、

 

「凄い運命力ね、歩夢君と小咲」

 

「でも、俺の家はちょっと特殊でな。小学生に上がる前に海外に引っ越したんだよ」

 

 そう、俺の家は裏の世界で暗部(・・)だったのだ。

 今は力が無くなり叉焼会(チャーシューかい)に吸収される形になった。なので、俺の両親は叉焼会(チャーシューかい)の傘下に入り仕事をしている。んで、俺がここにいる理由は『高校生活で楽しい思い出を作って来なさい』って両親が送り出してくれたからだ。

 

「でも十年越しに再会なんて、そうそうあるものじゃないわよ」

 

 まあ確かに、このような偶然はそうそうあるものじゃない。俺から見ても、まるで漫画のようであった。

 

「でも納得が言ったわ。小咲が歩夢君に惹かれた理由」

 

「そうなのか、小咲?」

 

「う、うん。わたし、この時から歩夢君を好きだったんだよ」

 

 小咲は、頬を桜色に染めて言う。

 宮本さんは「一気に甘くなったわね」と呟いてから、

 

「それじゃあ、私は聞きたいことは聞けたから先に帰るわね。――歩夢君、小咲をお願いしてもいいかしら?」

 

「ああ、任せてくれ」

 

 宮本さんは「そう」と頷いてから、傍らに置いてあるバックを肩に下げ、椅子から立ち上がり教室を後にした。

 

「気を使わせちゃったのかな?」

 

「わからん。でも宮本さん、そういう線引きは巧いよな」

 

 そんなやり取りがあり、俺と小咲は支度をしてから椅子から立ち上がり教室を後にした。

 後から聞いた話だが、決闘の結果は楽が勝利したらしいが、鶫さんの性別が露見してしまったということだ。




まだ幼いのに、銀行強盗を鎮圧する歩夢君と鶫のスペック高いなぁ。ちなみ、アメリカに居た時の歩夢君は武道を少しだけかじってます。
本格的な戦闘を覚えたのは、五年後の中国でですね。

追記。
天駒高原の帰りは、神埼家の車で帰ってます。小野寺家は、行きは電車だったということですね。
小野寺家と神崎家の繋がりは、偶々高原であって、偶々帰り道が同じでした。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。