カレーを食べ終わり一休みした所で、俺と小咲は先生たちに露見しないように班から向け出していた。
「宮本さん、マジで良い人だな」
そう。俺と小咲は班を抜け出していた。んで、このことを宮本さんに話した所『いいわよ。皆が動き出したころにメールするから、それまで楽しんで来なさい』とのこと。
「うん。わたしの大親友だから」
「そうだな」と俺は頷いた。
それにしても、小咲が俺の提案に頷いてくれたのは意外だった。
「んじゃ、行きますか」
「うんっ」
俺と小咲は、目的地に向かって歩き出した。まあ、この場から数分の場所なんだけど。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
キャンプ場を抜け出し数分歩くと、俺たちは目的の場所に到着した。
そこは隠れスポットになっており、木々に囲まれた場所で滝が地面の石をうっていた。
「凄いね。こんな場所があるなんて」
「隠れスポットらしいからな。さっきスマホで検索して、俺も吃驚したし」
俺と小咲は滝を背景にしてスマホで写真撮影をし、それからスマホで撮影した写真を覗き込む。ちなみに、頬が密着する距離感で撮影をした。
「羽さんにこれを送ろうよっ」
「……マジ。羽さんが嫉妬する未来しか見えないんだが」
俺は「まあいいか」と呟き、メール欄に移動し、本文に写真を添付し送信する。
数分間、俺と小咲はこの景色を思い出に残していた所で、小咲のスマホが震える。
「あ、時間だって」
スマホの内容は宮本さんからで『そろそろ時間よ。戻って来なさい』とのことだ。
「んじゃ、戻るか」
「だね」
俺たちがキャンプ場に戻ると、各生徒は移動する準備を整えていて、一班からバスに乗車していく所だった。ちなみ、俺たちの班は十班である。
「時間ピッタリだね」
「さすが宮本さん、逆算が完璧だな」
宮本さんは「そう。それじゃあ行くわよ」と言って、俺たちに手持ちのバックを持つように促してから、班の皆がバスに乗車する。
バスに数分揺られ、俺たちは宿舎に到着した。それから説明を受け、各班は二重ドアを潜り指定された部屋に向かう。
「結構広いんだな」
「こういうとこ、うちの学校気前良いよな」
俺と集が、部屋の内装を見て感嘆な声を上げる。てか、なぜ男女の部屋じゃないのか不思議でしょうがない。あり得ないが、もし間違いがあったらどうするのだろうか?
ともあれ、各自は肩にかけたバックを下ろし、送られた荷物を紐解いたりする。
「ところで舞子君、あなたはベランダと廊下、どっちで寝るの?」
「え!?オレ、部屋で寝ちゃダメなの!?」
宮本さんの言葉に、集が声を上げる。
まあ確かに、襖越しとはいえ男女が同じ部屋で寝るのだ。警戒して当然である。
「って、それなら楽と歩夢は?」
「そうね。一条君はそこまでの甲斐性はないと思うし、歩夢君は小咲が居るから問題ないわ」
宮本さんは楽をディスり?俺は問題ないと呟く。
このようなやり取りがあり、俺たちは罰ゲームをかけてババ抜きをすることになったのだった。……まあそこに至るまでに、集のセクハラ発言があったのだが。ちなみに罰ゲームの内容は『初恋のエピソード』ということだ。てか、俺の初恋っていつだろうか?やっぱ、天駒高原の出会い?
それから、鶫さん、集、桐崎さん、楽、小咲、宮本さん、俺の順で時計回りに座りゲームスタート。鶫さんから始まり、集が鶫さんの手札から一枚カードを引き、桐崎さんが集の手札から一枚カードを引いていくが、ジョーカーを持っている人は完全に露見していた。
「(……小咲に桐崎さん、顔に出過ぎだ。てか、宮本さん。わざとジョーカ引いたの?)」
宮本さんは、わざと小咲からジョーカーを引いたのだ。
「(俺を嵌めるつもりかも知れないけど、俺は負けても気にしないんだよなぁ)」
そんなことを考えながら一枚カードを引くと、案の定ジョーカーだった。だが俺は、ポーカフェイスが得意だったりする。んで、俺はジョーカーを引いたことを悟られないように手札を混ぜ、鶫さんの前に向ける。
俺が差し出したカードの中で、鶫さんが引いたカードはジョーカーだ。
「(ジョーカーの危機は去ったと)」
ゲームは進み、俺は一位通過。その後も、宮本さん、集、鶫さんと続き、残ったのは、小咲と桐崎さん、楽だ。
俺の予想では、小咲と桐崎さんが最後に残るはず。だが、俺の予想は外れることになり、楽が小咲が持っていたジョーカーを引き、桐崎さんとの最終対決まで縺れ込んだのだった。
「……歩夢君。あなたポーカーフェイス巧すぎだわ。きっとあの時、歩夢君がジョーカーを引いたなんて思わなかったでしょうね」
「そうか?集は感づいてそうだったけど」
「いや、全然解らなかったから。……てか、歩夢の初恋を聞いたら胸やけしそうだったから、歩夢は抜けて正解だったかもな」
「そ、そうか」
それから視線を楽たちに向けると、楽が桐崎さんのジョーカーを引こうとする場面だったが――、
「こら――!いつまで遊んでる!とっくに集合時間は過ぎてるぞ――!」
キョーコ先生が襖をバンと開けた。開始から、かなりの時間が経過していたらしい。
「…………よかったな」
楽はカードを床に落とし部屋を出た。床に落ちたカードはジョーカーじゃない。あのままゲームを続行すれば、桐崎さんが負けていた。そんなことを考えながら、俺も立ち上がり集合場所へ向かったのだった。
歩夢君、リア充やね(笑)
てか、ご都合主義があったかも知れんが、許してね(^_^;)
では、また次回(@^^)/~~~