林間学校二日目。
俺が椅子に着席して味噌汁を啜っていたら、前に座る集が身を乗り出した。
「なあ歩夢。お前今夜のイベント知ってるか?」
「肝試しだっけ?」
「そ、肝試し。でもただの肝試しじゃないぜ。――クジを使って、男女二組組まれるのだ。更に、重要なルールがもう一つ……」
集は勢いよく立ち上がり、
「ペアになった男女は、必ず手を繋がなくてはならない!どうだ、燃えてきただろっ!」
「手を繋ぐだけだろ、燃える要素がないと思うんだが」
俺は平静に答える。
「淡白な反応すぎるぞ、歩夢。……歩夢のことだし、手を繋ぐのは慣れてそうだけどよ」
「いや、慣れてないから。女の子と手を繋ぐは緊張するからね」
そんなことを話しながら、朝食を食べ終えてから立ち上がり、お盆を返却口に返して部屋に戻る。
戻っている最中に小咲と会い、二階に点在する自動販売機の近くにある長椅子に座る。
「おはよう、歩夢君。昨日はよく眠れた?」
「何とかな。てか今日の肝試し、一緒のペアになれたらいいな」
「そうだね。でも、同じ番号を引くのはかなりの確率だろうし、難しいんじゃないかなぁ」
「そりゃそうか。ま、一緒になったらよろしくな」
「うんっ、よろしくね」
んで、時は経過し、集合時間となり山を登る事になりました。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
~夜~
「これより、恒例の肝試し大会を開始する!準備はいいか野郎共――――!」
「「「「「おお――――――!!」」」」」
キョーコ先生の合図により、歓声が上がる。つか、先生たちは晩酌ですか……。まあ、こういう機会にしかできないと思うけど。
「それでは、女子からクジを引いてくださーい!」
このようにして女子がクジを引いていき、次いで男子が引いていく。
「で、歩夢は何番よ?」
隣に立つ集が俺に聞き、俺はクジを開く。
「――十二番だ」
「……小野寺も十二番らしいし、お前らの運命力ハンパなさ過ぎ。ある意味怖いわ」
「そうか?」と首を傾げる俺。
ともあれ、十二番が出発となり、
「んじゃ行きますか」
「ん。よろしくね、歩夢君」
そう言ってから、俺と小咲の右手と左手は自然に繋がれる。
歩いていると、木々に繋がる暗い道が広がる。
「小咲怖がりすぎだ。てか、昔からお化けがダメだっけ」
「う、うん。今でもお化け屋敷は、全然ダメで……」
俺は、昔の記憶を呼び起こす。
「そうだった。昔から、俺の背に隠れてたのを思い出したよ」
「あ、歩夢君は、昔から平気そうだったよね」
「作り物だし、殴れば血が出るしな。そう考えたら、全く怖くないな」
「ち、小さい時から、げ、現実的に考えてたんだ……」
「まあな」と俺は頷く。
「ほら、怖くない怖くない」
俺は小咲の頭を右手でくしゃくしゃと撫でる。
「あ、歩夢君。わ、わたしそこまで子供じゃないよ」
「悪い悪い。小咲が小動物っぽかったから、つい」
そう言ってから、俺は苦笑した。
小咲は、俺の右腕にぎゅっと抱きつく。
「ふふ。褒めてるのか微妙なところだなぁ」
「いや、褒めてるからね」
「まったく」と俺は呟きながら、歩を進める。
なんつーか、周りのお化けも驚かすのを止めているように見えるのは気のせいだろうか?
「「「「「(((((……ここでイチャついてんじゃねぇよ!)))))」」」」」
お化け役の心の声が重なった見たいだが、俺たちが気付くことは無かった。
それから数分歩き、出口に到着。
「……あんたら、楽しそうに出て来たわね」
こちらに歩み寄った宮本さんが、そう呟く。
「まあ、ずっと話しながら来たし。てか、お化けは最初しか視界に入らなかったから。何でか解らないけど」
「たしかに、なんでだろう?」
「……あんたらの、甘い空気の当てられて脅かすのを諦めたからでしょうが」
宮本さんにそう言われるが、俺と小咲は首を傾げる。
このようにして、林間学校が終わりを迎えたのだった。
これで、林間学校が終わりですね。
歩夢君は、有名お化け屋敷もいけたりしちゃいます(笑)
では、次回(@^^)/~~~
追記。
長椅子に座って話していた小咲と歩夢君は、テルテル坊主事件?についても話してますね。