~一年C組~
「(楽に許嫁ねぇ)」
俺は席に座り、頬杖をついて窓際を覗き込んでいた。
昨日、一条家で義父の話を聞いていたのだが、楽には許嫁が居るという。そのことを、義父が楽に伝え忘れてていたらしく、最近思い出したらしい。
「は~い、全員注目!今日は突然だけど、転校生を紹介するぞ~~!」
キョーコ先生が前扉を開けて教室に入り、「それじゃあ入って来て、橘さん」と促すように手を向けていた。
「はい」と返事をし、橘と呼ばれた転校生は教壇に上がって一礼した、見た感想としては、清楚な女の子。と言った所だろうか。
「皆さん初めまして。橘万里花と申します。何卒、よろしくお願いします」
橘さんを見たクラスの奴らは、
『うおぉぉおおおー。またしても美人!』
『どうなってんだ!このクラスは!』
『モデル!モデルなの!?』
『オレ、このクラスで本当によかった!』
と、かなりの騒ぎである。……てか、橘って見たことがあるんだが。……――そう、警視総監の娘だ。“昔”、騒ぎの後始末を押し付けていた記憶がある。
「楽様~~~!ずっと、お会いしたかったですわ~~~!」
転校生が楽に抱きついたので、またしてもクラスメイトから声が上がる。
『はあぁぁああ!どういうことだよ!』
『転校生が一条に抱きついたぞ!』
『ちくしょう!また一条なのか!?』
彼女の話によると、橘は楽と許嫁関係にあるらしい。確かに、昨日義父が「ギャングよりある意味、厄介というか……」って言っていた理由が解った。
すると、隣席の小咲が、
「歩夢君は、転校生に興味ないの?」
「まあな」
俺が好きなのは、小咲と羽さんだけだしな。と伝えると小咲は顔を真っ赤にして「ありがとう、嬉しいよ」と微笑んでくれた。
「ふふ。わたしも羽さんも、歩夢君が大好きだからね」
「……でも俺は、世間一般で言うと、優柔不断、二股野郎になるが」
「気にしないで。わたしと羽さんが“了解”を出してるんだから問題ないよ。他所は他所、自分は自分。だよ」
「そっか」
と、俺は頷く。
ともあれ、楽は修羅場?というやつに遭遇していた。んで、鶫が拳銃を向けると、盾を持った警察官が教室に突入する……いつも思うが、銃刀法違反に引っ掛からないのが不思議である。
まあこの後は、橘は仮病?を使い、楽に保健室に連れて行ってもらっていた。
「今後、何事もなければいいんだけど」
「歩夢君、それをフラグって言うんだよ」
小咲にそう言われ、俺はガックリと肩を落とした。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
~屋上~
翌日。
怒涛の一日?が経過し、現在は放課後の屋上。この場には、小咲、桐崎さん、橘、楽、俺が集まっていた。
「……は?俺も過去に会ってる?」
楽に「そうだ」と言われて、俺は目を丸くする。
いやいや、俺の記憶では“天駒高原”で出会ったのは、小咲と羽さんだったはず。楽、橘、桐崎さんと出会った記憶は無い。
「ああ。千棘の親父さんはそう言った。この場に、再び四人集まったのは運命かもね。ってな。んで、橘も昔、オレたちと一緒に居たそうだ」
「……悪い、全く思い出せないわ。俺には、小咲と羽さん、二人と一緒に居た思い出しかない」
楽は『羽さん』の名前を聞き、目を丸くし、橘はギョッとしていた。話を聞いた所、楽は羽さんと幼馴染の関係であり、橘は、昔の顔見知りだということ。
それに、小咲と桐崎さんは一目見た時、お互いが仲良くなれるとほぼ確信していたそうだ。んで、橘と桐崎さんは、楽のペンダントに合うかもしれない鍵を持っている。で、小咲は俺が昔あげた、月形が括りついた銀色のネックレスを首からかけている。
「へぇ。そのネックレスは、歩夢があげたものだったんだね」
「お、おう。十年間持っててくれたのは、よ、予想外だったけどな」
桐崎さんにそう言われた、俺は言葉を詰まらせながら答えた。
小咲は、ネックレスをぎゅっと握りしめた。
「このネックレスは、わたしの宝物だから。肌身離さず身に付けるって決めてたんだ」
「でも、重い女なのかな?」と、小咲が呟いたので俺は「いや、全く、全然」と呟いた。つーか俺は、可愛い子に想われるとか最高に嬉しいことでもある。
ともあれ、放課後のチャイムが鳴り完全下校になった所で、オレたちは帰路に着いたのだった。
歩夢君は、羽さんとの思い出を最近思い出しました。(思い出全て)
では、また次回(@^^)/~~~