ニセコイ~夢に紡ぐ物語~   作:舞翼

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序盤の投稿はペースが守れる感じなんですけど、後半から落ちる舞翼です。
では、どうぞ。


サガシモノ

 ホームルームが終了し、俺と咲ちゃんは教室のベランダに出る。

 

「ひ、久しぶりだな。咲ちゃん」

 

「う、うん。ひ、久しぶりだね。ゆー君」

 

 手摺を握り、体重を預ける俺と咲ちゃんの会話はぎこちない。いやだって、アニメのような再会なんて予想外じゃんか……。俺、誰に言ってるだろ。

 

「じゅ、十年振りだよね。わたしとゆー君」

 

「そうだな。咲ちゃん、昔の面影があったからすぐにわかったよ」

 

「それはこっちもだよ。ゆー君も、全然変わってない。ほぼ昔のまま」

 

 「も、もちろん良い意味でだよ」と咲ちゃんは語尾に付け加えた。んで、俺は「そっか」と返事を返す。

 

「……楽しかったな、二人で遊んだ時間」

 

「も、もちろん、わたしもだよ。ゆー君との共にした時間は、わたしの宝物だから……」

 

 暫し、俺と咲ちゃんの間には沈黙が流れる。

 その沈黙は“気まずい”沈黙ではなく、“心地よい良い”沈黙だ。

 

「……ねぇゆー君。これのこと覚えてる?」

 

 咲ちゃんが首にかけている、月形が括り着けてある銀色のネックレスを右手で取り、右手掌に乗せて右手を差し出す。

 

「覚えてるよ。てか、まだ持っててくれたのか。もう、捨てたのかと思ってた」

 

「そ、そんなこと絶対しないっ!わ、わたしの宝物だもんっ!」

 

「さ、咲ちゃん、声が大きい」

 

 咲ちゃんは、顔を徐々に朱色に染める。てか、昔の咲ちゃんから考えると、こんなに声を張り上げるのは珍しい。でもそうか、咲ちゃん、これも覚えてたのか。

 

「今まで持っててくれてありがとう、咲ちゃん」

 

「ううん。あの時、ゆー君が譲ってくれた物だもん。当然だよ」

 

 「そっか」と言い、俺は苦笑したのだった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 ~一年C組、教室内部~

 

「ねぇるりちゃん。るりちゃんは、歩夢のこと聞いてたりするの?」

 

 るりの元に歩み寄った集は、るりにそう問いかける。

 

「ええ、歩夢君のことは少しだけ聞いてるわ。……でも、渾名で呼び合うのは、予想外だったわ」

 

「それねぇ、オレもビックリだよ。これを気に、二人の恋が始まったりして」

 

「それはどうでしょうね。でも、小咲が幸せになるのなら、私は口を挟むことはしないわ」

 

 その時、小咲が声を上げる。

 

『そ、そんなこと絶対にしないっ!わ、わたしの宝物だもんっ!』

 

 この声に目を丸くする、るりと集。

 

「……今の小咲、始めて見たわ」

 

「……あの小野寺が声を上げるとはねぇ」

 

 こうして、歩夢と小咲を見守っていこう。と決めた集とるりであった。

 それからチャイムが鳴り、急いで教室に入った小咲と歩夢は、授業の準備をするのだった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 一限目が終わり、俺は楽に呼ばれた。

 

「あ、歩夢。オレのペンダント、どっかで見なかったか!?」

 

 俺は「ペンダント?」と頭捻った。

 

「いつも大事に首から下げてた金色のやつか?」

 

 楽から聞いた話だと、小さい時から肌身離さず大切に持っている宝物らしい。

 何でも、十年前に出会った女の子から貰ったと言ってたような。てか、十年前か。俺と何か被るような?被らないような?ま、気にしてもしょうがないか。

 

「ああ。……きっとあの時だ」

 

「もしかして、飛び膝蹴りを食らった時?」

 

「あ、ああ。あの時しか考えられない。オレは放課後ペンダントを探すから、歩夢は先に帰っていいぞ」

 

「いや、俺も手伝うよ。一人よりも、二人。だろ?」

 

「わ、悪い。じゃあ、放課後頼んだ」

 

「あいよ」

 

 俺が席に戻った時、楽は桐崎さんに人差し指を差し、又もや痴話喧嘩?を始めてしまったのであった。楽と桐崎さんは、仲が良いのか悪いのか、今一わからん。

 ともあれ、席に戻ると咲ちゃんが話かけてくれる。

 

「ゆー君。一条君かなり焦ってたけど、何かあったの?」

 

「ああ。楽の大事なペンダントが行方不明らしい。んで、今日の放課後から探すことになった」

 

「わ、わたしも手伝うよ。一条君も早く戻ってきて欲しいはずだもん。――――それに一条君の気持ち、わたしはよくわかるから」

 

 そんな事もあり、俺と咲ちゃんペア、楽と桐崎さんペアでペンダントを探すことになったんだが、一週間経過しても発見することが出来なかった。

 ともあれ、今日の放課後も探索中である。

 

「ゆ、ゆー君はさ、運命の出会いって信じる、かな?」

 

「どうだろうな。まあ、それに似た出会いならあるんじゃないか」

 

「……それって、わ、わたしたち見たいな?」

 

 咲ちゃんは、意を決してそう聞く。

 

「俺はそう思ってるけど。俺と咲ちゃん、運命見たいなもんだろ。十年後に再会なんてそうそうあるもんじゃないと思うからな。つーか、続きしよう」

 

「う、うん」

 

 この時、咲ちゃんの顔が真っ赤になっていたことに気付かなかった俺であった。

 そんな話をしながら、座りながら草を掻き分けていると、楽から聞いていた特徴がある金色のペンダントを発見し、俺はそれを手に取る。

 

「これか?」

 

「一条君から聞いてた特徴とも一致するし、これで間違えないと思うよ」

 

 俺は「そか」と言ってから立ち上がり、未だにペンダントを探している楽たちの元へ向かった

 だが、その途中で――、

 

「うるっせぇな!だったらもう探さなくていいから、どっか行けよ!」

 

 「楽。女の子に、それはダメだろ」と内心で俺は呟く。そして、桐崎さんは無言でこの場を去ってしまった。

 

「……楽。女の子に向かってそれは無いと思うぞ。――――てか、これで合ってるか?」

 

 そう言ってから、俺はペンダントを楽に見せる。

 

「あ、ああ。これだよ!このペンダントだよ!」

 

 楽は立ち上がり、俺の手からペンダントを取ろうとするが俺はそれを躱す。

 

「返してもいいけど、桐崎さんと仲直りするのが条件な」

 

「うっ……あれはゴリラ女が」

 

 楽は俺を再び見る。

 

「わ、わかった。ちゃんと仲直りするから」

 

「なら返す。桐崎さん、まだ学校に居ると思うから」

 

「あ、ああ。悪いな」

 

 そう言って、楽はペンダントを受け取り、校舎に向かって走って行った。

 すると、ごろごろと雷が鳴り、雨が降り出す。

 

「やべ。傘持ってきてねぇや」

 

「じ、じゃあ、わたしの傘に入る?……相合傘になっちゃうけど」

 

 俺の隣に立った咲ちゃんが、そう呟く。

 

「ん、大丈夫だよ。じゃ、行くか」

 

 咲ちゃんは「うん!」と返し、俺たちは下駄箱付近に置いた鞄を持ち、折り畳み傘を差して学校を後にする。ちなみに帰りは、俺が咲ちゃんを送ってから、借りた傘を差して集英組に戻ったのだった。




小咲ちゃんと歩夢君。もう恋人に近くね?と思う作者です。
でもまあ、ここから長い気がするんですけど。
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