七月下旬。俺が小野寺家に泊まった5日後のこと。
「「「「「こんにちは~!」」」」」
集英組には、集、鶫、小咲、るり、桐崎さんが玄関を上がり、廊下を歩いていく。
「いやぁ~、楽んチで皆と勉強会すんのも二回目かぁ~。しかし、何でこんなタイミングで勉強会?」
「さあな。鶫の発案らしいけど」
「誠士朗ちゃんが。こりゃまた珍しい」
集がそう呟くと、フン。と鼻を鳴らして鶫が口を開く。
「夏休みの宿題など、早めに終わらせておくのに越した事はないだろう?」
「真面目だねぇ~」
と、集は笑みを浮かべる。
「楽様あ~!お会いしたかったですわぁ~!」
いつの間にかやって来ていた橘が、楽に抱きつき頬擦りをしている。
そんな中、楽は顔を赤くしていた。
「た、橘!くっつくな!」
楽は、橘を引き離そうとするが、橘は楽を抱き続ける。
鶫の話によれば「貴様らは呼んでないぞ……」と、いうことだ。
「まあいい。では、参りましょう」
居間に到着し指定された席に座り、鞄から勉強用具を取り出そうとするが、桐崎さんがある機械に目を向ける。
そこには、大きめの機械に電源ケーブル、端から線に繋がれた2本の棒を鶫が掴んでいた。
「……鶫、企んでるのよ?」
「何も企んでいませんよ、お嬢。この機械は、勉強会の合間のレクリエーションにでも使おうかと……」
鶫が、桐崎さんの言葉を否定すると、
ビ――――――!
と、音が鳴る。
鶫はネットで見つけたと言っていたが、この機械は明らかにネット上で売られている製品ではない。
俺の予想だと、ビーハイブが開発した嘘発見器(仮)だと思う。
「へー、面白そうじゃん!せっかくだし、早速試してみようぜ!」
つーか、楽。それはマズイ気が……。
桐崎さんとの恋人関係を聞かれたら、鶫には秘密にしているので非常にマズイ……。その証拠に、桐崎さんもかなり焦っている。
そんなこんなで、鶫からやってみることになった。
「私ですか。じゃあ、どなたか私に質問してもらえますか?」
「じゃあ、わたしがしていいかな?」
「小野寺様?」
手を上げたのは小咲だ。
「鶫さんは、今好きな人はいますか?」
「ぶふっ!小野寺様!いきなり何を!?――んん、前に話した通り、私に好きな人はいませんよ」
ビ――――――!
と、嘘発見器は、それを否定するように音を響かせる。
「やっぱり!」
「違います!」
鶫はそれからも否定するが、嘘発見器はそれを否定する。
「嘘発見器なんて元々あてになるようなもんじゃありませんし、そもそも、質問がいけなかったのかもしれません」
「うーん…………あ、じゃあ!」
「鶫さんは恋をしてますか?」
「だからしてませ――」
再び、鶫の発言を否定する嘘発見器。
そして、鶫は嘘発見器を殴りつける。
「おかしいな?うん、この嘘発見器は壊れてるに違いない。そうだ、壊れてる」
鶫は楽に、嘘発見器の棒を渡す。
「私のことはどうでもいいんですよ。一条楽。次は貴様の番だ」
「えっ、オレ!?」
「そうだ。お前はお嬢を本気で愛している?イエス、ノー?さあ、答えろ」
……知ってた。これを(間接的に)やりたかったんだろう。
「そ………そんなもん、イエスに決まってんじゃねぇか」
楽がそう言うと、部屋の中には静寂が流れる。
嘘発見器の針も動いていない。
「くっ……!ど、どうやら本当のようだな……」
悔しげに呟く鶫。
……いや、俺も内心ではかなり驚いてる。てか、何で反応しないの?楽と桐崎さん、偽の恋人だよね?
ともあれ、楽から渡された、嘘発見器の棒を橘が持つ。
「それでは、私が。何方か質問をして下さらない」
挙手したのは、桐崎さんだ。
「ダーリンとキスしたって言うのは本当?」
「それはもちろん……本当ですわ♡」
満面の笑みを浮かべた橘がそう答え、桐崎さんは怒りの形相で楽を見ている。
兎に角、楽と橘にそのような事があったとは驚きである。
そして、橘から棒を受け取った桐崎さんの番。
「私から質問しますわ。桐崎さんと楽様は、キスはもう済ませたのかしら?」
「「なぬっ!」」
驚愕の声を上げる、楽と桐崎さん。
桐崎さんは顔を引き攣らせ、
「いや、それはまだ……。私たちはピュアなお付き合いを……」
否定した桐崎さんだが、嘘発見器が反応を見せていた。
「「「「「えっ!?!?」
全員が驚愕の声を呟く。
「してないしてない!断じてしてない!」
「つ、次は歩夢よ!」と言って、桐崎さんは嘘発見器の棒を俺に投げ、俺はそれを受け止める。
「ほら!誰か質問しなさいよ!」
「あ、じゃあオレが!」
そう言ったのは集である。
「噂で聞いたんだが、歩夢。お前は、小野寺以外に好きな人がいるのか?」
――こ、この質問は拙い。場合によっては、社会的に拙い……。
「こ、この質問って答えないと駄目……?」
全員(小咲を除く)が、首を縦に振り首肯する。
俺は「えー、逃げ道無いじゃん……」と内心で溜息を吐き、口を開いた。
「ま、まあ」
「「「「「マジか!」」」」」
と、今日一番の驚愕の声。
「あ、あとあれだ。こ、
「それはホントなの?小咲ちゃん」
桐崎さんが小咲にそう聞くと、
「本当だよ、千棘ちゃん」
「そ、そうなんだ。理由を聞いていいかな?」
小咲は、右手人差し指を唇に当てる。
「えっとね――わたしたちは歩夢君が大好きだから、今の答えになったんだ。どちらかが振られちゃう選択したくなかった。っていう要素もあるんだけどね」
「へぇ」「そういう選択もあるのねぇ」「二股野郎だわ」という様々な反応だ。
なんつーか、肩身が狭いです……。
「つ、つか。何で恋話になってんだよ。勉強しようぜ、勉強」
と、俺は無理矢理話題を変えるのだった。
この後、からかわれたのは別のお話。
ついに、二股がばれてしまいました(笑)
ですが、歩夢君にはその甲斐性はある筈です!
では、次回(@^^)/~~~