夏休みの終盤、残りの日数は後1週間だ。
そんな時、集英組の知り合いが民衆ビーチのチケットを安く売ってくれたらしい。この行事を話し合った所、全員の予定が合った為、海にやって来ているのだ。
各自が簡単なTシャツ、短パン、パーカー、バレオタイプの水着、と言った恰好である。ともあれ、楽の手にはパラソル、俺の手には大き目のクーラーボックス、集の手には浮輪が下げられている。
「私、日本の海って初めて!ノースカロナ以来かな」
「私は見るだけですが、モルディブ以来でしょうか」
桐崎さんと橘の会話なのだが、高校生の発言じゃないぞ……。つか、どんだけ金持ちだよ。と突っ込みを俺は入れたくなる。
「あー楽しみ楽しみ!私いっちばーん!」
我慢ができなくなった桐崎さんが、両腕を上げながら海の方向に駆け出して行く。
ともあれ、俺たちも後を追い、指定された場所にパラソルを立て、荷物を置いていく。だが、作業をしていたら――、
『おい、なんだあの美女集団……』
『レベル高え~~~』
『芸能人?見たことないけど……』
『どこの雑誌の子だろ…………』
……いやまあ、こうなる事はわかっていたけどさ。女子のレベルは、段違いに高いし。
『それに、あのイケメン……どこかの俳優かな……』
『……カッコイイわ』
『ほら、話しかけて来なさいよ!』
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「あれだ。視線が怖いんだが……」
「し、仕方ないよ。歩夢君、カッコイイし」
小咲はそう言うが、
「そうでもないだろ。つか、小咲は可愛すぎ。正直、誰にも見せたくないな、うん」
独占欲丸出しの俺である。
「そ、そっか。あ、ありがとう?」
ともあれ、パーカーを羽織ってくれました。ちなみに集が言うには、俺たちの回りには特定の空間らしきものが見えたらしい。「お前ら、何処でもイチャイチャしてるんだな」と、溜息を吐き言われたけど。俺たちはそんなつもりはないんだが、回りから見るとそう映るらしい。
そんなこともあり、俺と小咲は肩を寄せ合って海を眺めていた。
「落ち着くな」
「うん。今度は、羽さんとも来ようね」
「そうだな」
十分に遊んだ所で、今夜の夕食当番を決める為、俺たちは集まって話し合う。
決めるのはクジ引きであり、当番は2人。早速クジを引き、当番を決めた。結果は、楽と桐崎さんだ。
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~1時間後~
準備が終わり、バーベキュウコンロの回りに立ちようにして、俺たちは具材を焼いていき、プラスチックの皿の焼けた具材を、渡された割り箸を割ると、手を合わせ、
「「「「「いただきます!」」」」」
と言って、合掌し口に運ぶ。
肉を、巡って争いもあったが、無事に夕食は完食する。夕食の片付けもクジ引きで決めたが、俺はそれを免れた。なんつーか、最初から最後まで任せっきりになったので、申し訳なくなった。
「歩夢君、隣いいかな?」
防波堤に腰を下ろし、月が照らしている海を見ていたら、小咲が話かけてくれた。
「ああ、いいぞ」
「ん、失礼します」
小咲は、俺の隣に腰を下ろした。
「不思議だね。10年越しに再会できて、一緒になって、綺麗な景色を見ることが出来るなんて想像してなかったよ」
「そうだな。でも、ここまでトントン拍子でこれて、ある意味怖いかも知れんけど」
「ふふ、そうだね」
暫しの沈黙が流れるが、それは心地良いものだった。
「……歩夢君。キスしても、いい?」
「え、あ、おう」
そこからは自然に体が動き、月明かりの中、俺たちの影が1つに重なった。