クリスマスイブが終わり、翌日のクリスマス。
「お待たせ、小咲」
「待ってないよ。わたしも今来たところ」
今日の夕方、クラス内で行われるクリスマスパーティに参加する為、オレと小咲はあの場所を待ち合わせ場所にし、そこから集が予約したホールに行く事になっているのだ。てか、イブの日に一度行われたらしいので、クリスマスパーティが二回目の開催らしい。
てことはパーティのやり直しついでで呼ばれた感じか?
「でも、どうしてもう一回開くんだろね?」
「さあな。ま、俺たちから見ればありがたいけどな」
そんな事を言いながら、俺と小咲は会場に向かって歩を進める。
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会場に到着し、会場内部に入ると、案内に従ってパーティが開かれる広場の扉を開くと、そこでは会場に既に来ていたクラスメイトたちが談笑していた。
「お、神崎に小野寺、もう始まるから早くこいよ」
「神崎君と寺ちゃんは、ホント仲良しだよねぇ」
クラスメイトにそう言われた俺と小咲は、これが普通だよな。うん、普通だよね。と目線で会話。
この目線での会話は、俺たちの特権。ともあれ、案内してくれた場所には、既に注文された飲み物がテーブルの上に並んでいた。
それから数分後、楽と桐崎さんが会場に入って来た所でパーティが開始される。……始まったのだが、クラスメイトはソワソワしている感じである。
というのは、昨日パーティを開いている時に楽が乱入し、桐崎さんを『高級スイートルーム』に連れていく発言したそうだ。まああれだ。楽から詳細を早く聞きたくて待ちきれない、って所だろう。
それから当たり障りのない感じで聞いていたクラスメイトたちであったが、痺れを切らしたクラスメイトの一人が何があったんだ!?と聞いていた。
「何か凄いことになってるね」
グラスを片手に、小咲が俺にそう聞いてくる。
「クリスマスイブだったしな、嵌めを外したんじゃないか?」
俺がそう言うと、小咲が、ふふ。と笑う。
「わたしたちも嵌めを外してもよかったんだよ」
「……あー、まあ、俺たちには早いというか……俺の甲斐性が無いっていうか。て、てか、俺たちまだ高校一年だし」
でもまあ、早い奴は中学生時代に外してそうだけど。
そんな時、窓の外を眺めると、綺麗な白が舞落ちていた。
「積もるかなぁ」
「どうだろうな。でも積もったら、登校が大変になりそうだけど」
「もうっ、歩夢君は現実的なんだから。綺麗、とか、神秘的。でいいんだよ」
「そ、そうだな。すまん……」
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パーティが進み、先程まで賑わっていたホール内が静まってきた所で、俺が外を歩かないか?と小咲に提案し、パーティ会場から出ると、外は綺麗な白に染まっていた。
そして周りを見渡すと、腕を組み歩くカップルや、家族連れで楽しそうに談笑する姿が見受けられた。
「……リア充爆発しろ」
「……うーん。傍から見たら歩夢君もリア充、かも」
そう言って、小咲は苦笑する。
……まあ確かに、
すると、小咲がぽつりと呟く。
「歩夢君と再会してもう半年かぁ。長いようで短かったかも」
「俺は短く感じたけど。てか、濃い半年だったよなぁ」
勉強会、林間学校とあるが、その中で一番と言ったら“日帰り中国旅行”だろう。
「そういえば、羽さんってお正月に帰省するのかなぁ?」
「そんな話は上がってなかったから帰省の予定は無いんじゃないか。てか、後で聞いてみるか?」
何なら、凡矢理から中国に行くのもありだと思うけど。
俺がそう言うと、小咲が微笑んだ。
「うんっ。じゃあ、わたしが後で電話してみていいかな?」
「おう。報告待ってるな」
歩道を歩きデパートの二重自動ドアを潜ると、デパートの中心に巨大なクリスマスツリーが鎮座していた。
かなり大きいクリスマスツリーだ、周りの装飾がツリーの迫力を増している。――昨日のツリーとは違う迫力である。
「……綺麗だね」
「……そうだな」
取り敢えず、近場のベンチに腰を下ろす。
小咲は何かを思いついたように鞄からスマホを取り出しカメラを起動させ、写真を撮ってからメール機能を展開させ、添付ファイルに写真を張り付けてメールを送った。
おそらく当て主は、羽さんで間違えないだろう。……いやでも、昨日一緒にツリーを見ながらショッピングモールの案内をしたんだけどね。
「羽さん、見てくれるかな?」
「見てくれるよ。てか、羽さんが拗ねている未来が見えるんだが」
羽さんスマホ越しに、『ずるい、小咲ちゃん』と言って、両頬を膨らませているだろう。……いやまあ、多分だけど。
ともあれ、俺たちのクリスマスはこのようにして幕を閉じていった。
歩夢君と小咲ちゃんの服装は、イブの日と同じ感じです。
それと今後ですが、飛ばしても問題ないかなぁ。って思う話は飛ばすスタイルで行こうと思います(*・ω・)ノ