ニセコイ~夢に紡ぐ物語~   作:舞翼

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二年生編です。


二年生編
イモウト


 春。

 暖かな風が桜の枝を揺らし、髪をくすぐる。――そんな四月の頃。

 私の名前は――小野寺春。

 私は今日から高校一年生。念願叶ってお姉ちゃんと同じ高校である、凡矢理高校の受験を合格。今まさに、新しい生活に期待に胸を膨らませている所です。

 高校一年生初日は、空も真っ青で、桜も咲き、何だか素敵な恋とか始まっちゃいそうな予感です。

 

「お嬢ちゃん可愛いね。高校生?」

 

「学校なんて行かないで、オレたちと遊ぼうぜ」

 

 なんだか初日からピンチです!

 あわわ……どうしよう。ただでさえ中学が女子校で男の人って苦手なのに……。――でも、昔遊んだ男の子は例外だったんだけど。

 

「ほら、こっちに」

 

 私の肩に男の人の右手が触れようとする。……誰か助けて!

 ……ああダメだ。だんだん意識が遠く。

 

「男が群がってナンパとか恥ずかしくないの?てか、男が数人で女子高校生を囲むとか――」

 

「…………え?誰?」

 

 そう呟き、私の意識は遠くなる。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「料理当番がこんなに長引くとは」

 

 いつもなら小咲と待ち合わせをしてから登校するのだが、「今日は遅れるかも知れない」とメールを送り、別々の登校である。

 

「……ん?ナンパか?」

 

 不良が複数で女子高生をナンパするのは見過ごせない俺である。

 そんなことを思いながら俺が女の子の前に立ち、男の一人が女の子の肩に触れようとしている手を片手で弾く。だが女の子は目を閉じ体を強張らせている。

 

「男が群がってナンパとか恥ずかしくないの?てか、男が数人で女子高校生を囲むとか――」

 

 喧嘩には勝てそうな相手だが、この場で暴れるのは避けた方がいいだろう。

 

「あ、なんだよてめぇ」

 

「楯つくと容赦しねぇぞ、テメェ」

 

「そんなつもりはないけど。それにこの子の親は警官だぞ。てか、この子に何かあったら両親は黙ってないと思う。あ、ちなみに、俺はこの子の従妹だから、この子の親に報告してあんたらを捕まえることが出来るんだけど」

 

 咄嗟の思い付きだが、 “警官”という言葉は不良たちを追い払うのは十分な言葉だと思う。

 まあ、不良たちが手を挙げたら、俺も正当防衛をするけど。

 

「……ちっ、行こうぜ。警察(サツ)の世話になるのはごめんだ」

 

 そう言って、不良たちは去って行った。

 俺は後ろを向き、その場で座り込む女の子を見る。どうやら力が抜け座り込んでしまったのだろう。てか、意識があるようでよかった。

 

「大丈夫か?立てる?」

 

 俺が右手を差し出すと、女の子はそれを両手で握り立ち上がる。

 そして俺の姿をハッキリと捉えると、声を絞り出す。

 

「…………歩夢君、だよね?」

 

「そうだけど。何で俺のこと知ってるんだ?」

 

 いや、よくよく見るとこの子、小咲にかなり似ている。ちなみに俺と解った理由は、俺に昔の面影を見たらしい。

 

「間違っていたら申し訳なんだけど、小野寺春?」

 

「う、うん。覚えててくれたんだ」

 

「お、おう。美人になってて最初は気づかなかったけど」

 

 それに髪も長くなっていて、サイドテールになっていたので雰囲気が違ったのもある。

 俺の記憶の春は、短髪で活発な女の子だったのだ。

 

「び、美人!?」

 

 目を丸くする春。

 いやまあ、傍から見ても美人に部類すると思うんだが。

 

「まあうん。俺の記憶では、活発な少女だったし」

 

「……うん。昔の私はそうだったかも」

 

 昔を思い出し、納得する春。

 ともあれ、今の時刻を近場の時計で確認すると、8時30分を回ろうとしている。この場から凡矢理高校目指して走っても完全に遅刻だろう。

 ところで、入学式の集合時間は何時なのだろうか?

 

「なあ春。入学式って何時からだ?」

 

「えーと、8時40分にクラス分けの教室に集合ってなってるよ」

 

「……残念な知らせだが、今から凡矢理まで走っても10分以上かかる。入学式開始は9時00分からだろうけど、色々と個人で準備することもあるだろうから、それを考えると完全に遅刻決定だ」

 

 まあ俺も8時40分までに席に着席しとかなければいけないので、完全に遅刻だが。

 

「仲良く遅刻するか。今から走っても間に合わないし」

 

「うぅ。高校生初日から遅刻なんて……完全に問題児あつかいだよぉ」

 

「まあいいじゃん。学年の有名人になれるぞ」

 

「……悪い意味で名前が広がる、ってことでしょ」

 

「悪いかは解らないけど、不良的な感じで捉えられるだろうなぁ。たぶんだけど」

 

「花の高校生デビューが散々だよぉ」

 

 ガックリと両肩を落とす春。

 まあうん、ドンマイ。としか言えない俺である。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 ~凡矢理高校、掲示板前~

 

「あ、私C組だ」

 

 春は掲示板を見て、自身のクラスを言う。

 

「俺も二年ではC組だぞ。お揃いだな」

 

「……いやいや。組がお揃いだとしても、何かが変わるわけじゃないでしょうが。てか、遅刻の言い訳、どうしよう……」

 

「正直に、ナンパされて遅れました。でいいんじゃないか?教員もわかってくれるさ……たぶん」

 

 春は「歩夢君、たぶんって予防線じゃ」と言って、溜息を吐く。

 いやだって、確実に解ってくれるとは言えないじゃんか。もしかしたら、怒られるかも知れないし。……それは俺にも言えることなんだけどね。

 

「まあ仲良く体育館に入ろうか」

 

「うぅ。わかったよ」

 

 そんなやり取りをし、俺と春は仲良く体育館に入り、注目を集めたのだった。




春ちゃんと歩夢君は幼馴染設定なので、タメ語で話してますね。やっぱり、敬語よりタメ語だよなぁ。と思いまして。

てか、過度のナンパは警察の御世話になるのか解らないので作者の独自解釈です
歩夢君は制服で、女の子(春)が凡矢理の高校生だと認識してます。

春ちゃん立ち位置アンケート

  • 幼馴染であり徐々にヒロイン
  • 幼馴染のみ継続
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