ニセコイ~夢に紡ぐ物語~   作:舞翼

7 / 34
ダンガンツアー#2

 俺は、小咲と羽さんの間に挟まれるように中華街を歩いていた。

 

「わ、わたし、あれ食べたいっ」

 

 そう言った小咲が指差した露店は小龍包(しょうろんぽう)屋だ。確かに“中国と言ったら”という品かも。

 ともあれ、俺と小咲、羽さんは小龍包(しょうろんぽう)屋に向かい、俺が親仁に注文する。ちなみに、俺は中国語と英語習得済みなので、日常会話で困ることはない。

 

「あ、歩夢君。いつの間に中国語を?」

 

 小咲が俺にそう聞く。

 

「中国に居た頃に教えてもらったんだよ。……でもあれは苦い思い出だな」

 

 殺気の出し方や、戦闘訓練の享受もしてもらったけど。

 すると、羽さんが「ふふ」と笑みを零す。

 

(イエ)ちゃん『粋のいい弟子ができたよ』って喜んでたもんね」

 

「……そ、そうらしいね」

 

 師匠の修行(勉強)は、物理的にも精神的にも追い詰められるので、もう勘弁である。

 そう話していたら、注文していた小龍包(しょうろんぽう)ができたらしく、注文した三つの小龍包(しょうろんぽう)を受け取り、俺が代金を払う。ちなみに三つの種類は、豚、鶏、野菜である。

 割り箸を使って一口食べると、薄皮の中に入った具と熱いスープが洩れ出す。

 

「歩夢ちゃん。――あーん」

 

「わ、わたしも――歩夢君、あーん」

 

 小咲と羽さんは、紙皿の上に乗った一口サイズの小龍包(しょうろんぽう)を割り箸で取り、俺の口許までもってくる。

 

「お、おう」

 

 そう言ってから、俺は口を開けて小龍包(しょうろんぽう)を食べ、飲み込んでから、

 

「美味いよ」

 

 そう感想を言ってから、俺と小咲、羽さんはお互いに食べさえあいながら間食した。……まああれだ、傍から見れば“リア充爆発しろ”的な光景なのだろう。証拠に、男子からの嫉妬の眼差しが凄い……。

 それから、お腹を満たした所で中華街を回ることになった。

 

「(それにしても、日本の横浜中華街と、中国の中華街はあんまり変わらないなぁ)」

 

 まあ、そう似せて建設したからかも知れないけど。

 最後に、お土産屋である。店内には、中国限定のストラップやお菓子、文具などが陳列されていた。取り敢えず、集英組にはお菓子詰めを買っていけば問題ないだろう。

 

「歩夢ちゃん、小咲ちゃん。お揃いしようよ!」

 

 羽さんが手にしたのは、ミサンガである。てかミサンガって、括りつける腕によって意味があるんだっけ?

 ともあれ、羽さんが手にとったミサンガは、ピンク色と水色、黄色で組み合わさったミサンガである。

 

「うん!」

 

「まあいいけど」

 

 んで、羽さんの話によると、ミサンガは利き腕に括りつけよう。ということ。んで、俺が代金を払い、土産袋を片手に購入したミサンガを利き腕に括りつけた。ちなみに俺と小咲で、星形が括り着いた銀色ネックレスを選び、それを羽さんに送った。小咲が言うに「ミサンガをお揃いにするなら、ネックレスもだね!」ということらしい。

 お土産を選び終わり時間を確認すると、俺と小咲が予約した便の時間に差し迫っていた。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 ~中国空港~

 

 バックを肩にかけた俺と小咲は、羽さんとゲート入り口で向かい合っていた。

 

「羽さん。そろそろ時間、だよ」

 

「そうだぞ、羽さん。てか、最期の別れじゃないんだから泣きそうになるなよ」

 

「……やっぱり、今日帰っちゃうの?」

 

 甘えるような、悲しいような声音で、羽さんが問う。

 

「そ、そうだな。つか、明後日学校だし」

 

 「……そっか」と言って、羽さんは顔を伏せた。

 

「ゆ、羽さん。また電話するからっ。め、メールでも構わないよっ」

 

 小咲も、顔を伏せた羽さんを見てしどろもどろである。

 羽さんは顔を上げ、

 

「……ん。なら我慢する」

 

「じゃあ、そろそろ行くね――わぷっ!」

 

 小咲の後半の声は、羽さんが抱きついた時に無意識に洩れたものだ。

 

「またね、小咲ちゃん」

 

「うん。羽さんも元気で」

 

 そう言ってから、羽さんと小咲は抱擁を解き、次いで、俺の胸の中に羽さんが飛び込んでくる。

 俺は優しく抱きしめ、

 

「またね、歩夢ちゃん」

 

「羽さんも元気で」

 

 それから、俺と羽さんは抱擁を解いた。そして俺と小咲は踵を返しゲートに入って行く。その間、後方を見ながら片手を振っていたのは言うまでもない。こうして、俺と小咲の弾丸ツアーの幕が閉じた。




次回から、本編に戻る予定です。でも、どこか飛ばす所が出てくるかも。

追記。
帰りの際、歩夢君たちはエナメルバック等をターンテーブルに乗せてます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。